心不全患者は、症状が改善しても投薬を止めるべきではない
(Health Day)2018年11月13日
投薬を止めたいと考えている拡張型心筋症の心不全の患者さんには悪いニュースがあります。
もし心臓病薬の服用を止めると投薬時に見られた効果が消えていく可能性が高いという新しい臨床試験の結果が示されています。
主任研究者であるブライアン・ハリデイ氏によると、小規模の研究では患者の約40%が、心機能が低下し、再び薬物治療に戻されているそうです。
彼は、インペリアルカレッジロンドンの心臓血管研究員です。
「機能の改善は、多くの患者の恒久的な改善ではなく、寛解を意味します。」
とハリデイ氏は説明します。
拡張型心筋症の人の心臓は、心臓の左心室が伸びて薄くなっているため十分な強さで圧送することができません。
利尿薬、ベータブロッカー、ACE阻害薬、ミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト(MRA)などのいくつかの異なるタイプの薬物は、心拍の改善に役立ちます。
しかし、これらの薬剤は、副作用がありなおかつ経済的な負担をかけることがあるとハリデイ氏は述べています。
心機能が回復した患者さんは、しばしば投薬を止めてもよいかどうか尋ねます。
ハリデイ氏と彼の研究グループは、それが可能かどうかを確認するために、51人の心不全患者を募集し、心臓薬を徐々に撤回させました。
患者は定期的に臨床的レビューを受け、6ヶ月後に評価を受けました。
10人の患者のうち約4人が薬物離脱期間中に再発し、直ちに投薬を再開せねばなりませんでした。
「投薬を再開したら回復したようです。」とハリデイ氏は語ります。
その一方で、患者の約半数が、投薬に戻らずに追跡期間を完了したと、研究者らは報告しています。
この発見は、シカゴで開催されたアメリカ心臓協会の年次総会で日曜日に発表されました。
しかし研究内容は、査読された雑誌に掲載されるまで暫定的なものとみなされます。
シカゴのノースウェスタン大学のファインバーグ医科大学の心臓学助教授である、ジェーン・ウィルコックス博士は、これらの結果について「患者が投薬を止めたいと言っても、軽く扱うべきです。」と述べています。
症状が再発した患者では、彼らの心不全は「投薬を止めてから8週間以内に再発戻ってきました。8週間、たった2ヶ月です。」とウィルコックス博士は述べました。
「回復と寛解の問題は、このパイロット研究によって潜在的に解決されています。2018年現在、真の回復の兆しはありません。」とウィルコックス博士は述べました。
「これらの患者が心臓寛解という状態にあるのは確かです。」
ドナルド・ロイド・ジョーンズ博士は、ノースウェスタン大学で予防医学の主任を務めています。
そして、この研究について、「常に重要な臨床上の疑問があります。」と伝えています。
「患者は必要以上に薬を服用したくないと考えているため、これは、私たちが薬物療法を止めるためには、将来どういった状態の患者が薬物療法の選択をした方が良いのかを理解しようとする道を押し下げるものです。」と、ロイド・ジョーンズ博士は述べました。
「当分の間、こういった患者さんたちは、もっと理解が深まるまで投薬を継続せねばなりません。」
【以下のウェブサイトより引用】