心臓病患者の8人に1人が費用が原因で薬を避けたり、量を制限している
- 報告によると、心臓病患者の多くが、費用の懸念から処方通りに薬を服用していないといいます。
- 新しい研究では、心臓病患者の8人に1人が薬を制限したり、避けていることが判りました。
- 長期的に見ると、入院することになった場合、結果的にさらに費用が嵩むことになります。
心臓発作やその他心血管障害を患う人の8人に1人が処方通りに薬を服用していないことが、新しい研究で示されました。
新らしく行われたこの研究で研究者は、人々は薬を飛ばしたり、買い足す時期を遅らせたり、処方量よりも少ない量を服用することで、処方薬の費用を節約していることが判りました。
費用のためにこのような薬の制限を行うと、再び心臓発作や脳卒中、その他心血管イベントのリスクを大幅に高めることになりかねません。
薬を制限したり飛ばしたりすると、患者により多くの費用負担がかかることになります。
これは、結果的に緊急医療を受けたり、入院する羽目になった場合、将来的に医療費が上昇することに繋がる可能性があるためです。
デボラ・レビン博士は、ミシガン大学ヘルスケアポリシーおよびイノベーション研究所の内科医兼研究者です。
レビン博士は、この研究結果は、2018年に彼女が実施した脳卒中の生存者に関する研究を含む、過去の研究で示された結果を裏付けるものだと話しています。
「多くのアメリカ人は、自身の薬を購入するのに苦労しています。これにより、薬を控えたり、制限するケースが多くなっています。」と、レビン氏は言います。
彼女はこの新しい研究には携わっていません。
「結果として、彼らは予防できたはずの合併症を発症しています。」
<多くの人が心臓病の薬を飛ばしている>
この研究では、イェール大学とその他研究所の研究者が、2013年から2017年に行われた、国民健康調査(National Health Interview Survey)にある米国成人に関する情報を調べました。
研究は、11月25日にアメリカ心臓協会のサーキュレーション誌で発表されました。
研究者は、冠状動脈性心疾患、心臓関連の胸痛、心臓発作、脳卒中を経験した14,279人に集中して調査を行いました。
結果、8人に1人が、費用が原因で薬を処方通り服用していないことを報告していました。
この結果に基づき、研究者らは、米国では毎年220万人の心臓病患者が、お金を節約するために処方薬を飛ばしたり、減らしたりしていると推測しています。
費用関連の服薬不履行は、メディケア(アメリカの高齢者および障害者向け公的医療保険制度)の対象となる高齢者よりも、65歳未満の成人において3倍高くなりました。
65歳未満の患者の内、一部の集団は費用が原因で処方薬を服用しない傾向がより高くなりました。
これは、女性や低所得者、健康保険のない人達です。
研究者はまた、4分の1を超える人が医師に低価格の薬を処方するよう求めていたことを発見しました。
内4%は、代替の非処方療法を用いて症状を治療していました。
費用のために処方通りに薬を服用していなかった人は、こうした2つの節約方法を取る傾向が高くなりました。
<心臓発作後は処方薬が不可欠である>
心臓発作や脳卒中、その他心血管イベントを経験した人が薬の服用を順守するには、1日複数の錠剤を服用する必要があることがあります。
2006年の研究では、脳卒中の生存者は、3~27種類の範囲、平均11種類の薬を服用していることが判明しました。
しかし、こうした厳しい服薬スケジュールに従うことで、長く健康でいることができるのです。
「既に心血管イベントを起こした人は、再度発症するリスクが高くなっています。」と、レビン氏は言います。
「2回目の心血管イベントの最大80%、もしくはそれ以上が、血圧やコレステロール、糖尿病のコントロールを行い、アスピリンやその他より強力な血液希釈剤を服用することで、予防できるのです。」
また服薬順守により、医療費も減少させることができます。
これは、入院する確立や追加の診察を受ける必要性が減るためです。
しかし、処方通りに薬を服用しない人がいる原因は費用だけではありません。
薬剤師のジュリー・コッパー氏は、ノースカロライナ州にあるハイポイント大学循環器臨床化学科の助教授を務めており、この新しい研究は携わっていません。
彼女は、その人の社会的サポートや生活環境、ヘルス・リテラシー能力などのその他要因もあると話します。
医療システムに対する信用の欠如や、薬局に行くことができないこと等も、要因の一つである可能性があります。
<保険で薬の費用を減らす>
健康保険に入ると、薬の費用面で役立ちます。
しかし、これは部分的な解決策にすぎません。
「私たちの(2018年の)研究およびその他研究では、保険で薬が求めやすくなり、患者の費用負担が減る一方、保険ではこの問題が解決されないことが示されています。」と、レビン氏は言います。
「保険に加入している患者でさえも、薬を買うことが困難だと感じているのです。」と、彼女は付け加えました。
部分的な原因として、費用負担額が上昇していることが挙げられます。
これには薬だけでなく、保険控除対象や患者負担額、入院費も含まれます。
高齢者は、薬の負担額が高くなる傾向にあり、これは治療が必要な慢性疾患にかかる確立が高いためです。
しかし新しい研究では、高齢者は若年成人と比べて順守率が高いことが示されました。
「若いアメリカ人の費用関連の服薬不履行が多いことに驚いた人もいるようです。」と、コッパー氏は言います。
しかし彼女は、多くの若者が保険に加入していない一方、高齢者はメディケアを使用することが出来る点を指摘しています。
2017年、非高齢者の27.4%が保険に加入していないと、カイザー家族財団は発表しています。
結果として、若いアメリカ人は「心血管疾患の新規発症リスク」にさらされていると、コッパー氏は言います。
<処方薬の費用を削減する>
一部の研究によると、患者に低価格もしくは無償で効果的な薬を提供できれば、服薬順守が向上し、医療費の削減に繋がる可能性があることがわかっています。
しかし、広く普及する薬の価格が近い将来改定されることはなさそうです。
それまでの間、コッパー氏は薬代の支払い苦労する人に対して、以下のアドバイスを示しています。
- 医師や薬剤師に、価格の低いジェネリック医薬品や先発医薬品を処方してもらえるよう頼む
- 保険が無い場合、オンラインの薬局も含め、薬局毎の価格比較を行う
- 割引や無償の処方薬提供を行う医療補助プログラムについて調べる
- 自分のコミュニティのプログラムや、地元の医療システムの中から、保険未加入もしくは保険が不足している人をサポートするサービスを探す
出典: 2019年11月25更新 healthline『1 in 8 People with Heart Conditions Avoid or Ration Meds Due to Cost』(2019年12月3日に利用)
https://www.healthline.com/health-news/1-in-8-people-with-heart-disease-avoid-or-ration-meds-due-to-...