心血管疾患は、新しい蛍光プローブで早期診断が可能に
研究者は、血栓や脳卒中を引き起こす可能性のある問題に関連する酵素を検出すると光る探り針を開発しました。
インペリアルカレッジロンドンの国立肺心臓研究所と化学科の研究者チームは、彼らが製作したプローブ(探り針)が改変大腸菌細胞の酵素を迅速かつ正確に検出することを実証しました。
彼らは現在、Journal of the American Chemical Society誌に掲載され、British Heart Foundation(BHF)の資金提供を受けている、この概念実証研究を心血管系の問題の迅速な検査と長期追跡が可能な方法として進めています。
アテローム性動脈硬化症として知られる動脈内のプラークの蓄積は、冠状動脈疾患や脳卒中を引き起こす可能性があり、西欧諸国においては主要な死因の1つです。
アテローム性動脈硬化症が進行すると、プラークの一部が動脈壁から離れ、プラーク内出血(IPH)が発生する可能性があります。
こういった発作により、プラークが脆弱になり血栓の形成につながる可能性があり、心臓や脳への血流を制限し、慢性疾患や脳卒中などの壊滅的な疾患につながる可能性があります。
IPHとその影響を検出することは、それゆえに、警告システムの役割があり、血管の状態を早期に診断できます。
研究チームは、IPHに伴う酵素レベルの上昇やIPHに先行するプラークの脆弱性さえも検出できる化学プローブを設計しました。
インペリアルカレッジの化学科の研究共同リーダーであるニコラス・ロング教授は、次のように述べています。
「初期の心血管疾患の分野での進歩はかなり限られており、ペースも遅いですが、この新しいプローブは私たちが既に開発しているプローブは、診断用酵素に対してリアルタイムに簡単に反応し測定が可能であるため、これの対処に大いに役立ちます。」
研究の共同リーダーである国立心臓肺研究所のジョー・ボイル博士は、次のように付け加えました。
「最終的に、これらのプローブは、一般医や救急車、または病院での心血管疾患の迅速な特定のための診断テストの基礎となる可能性があります。
これは、血管疾患に関与する基礎となる生物学的プロセスのリアルタイム分析を行い、慢性疾患の進行を追跡するための新しい洞察と潜在的に新しい方法となります。」
研究チームのプローブは、ヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)と呼ばれるIPH中に大量に放出される酵素を検出することによって機能します。
HO-1をスクリーニングする以前のテストは信頼性が低く、リアルタイムの変化を検出するために使用することはできませんでしたが、新しいプローブはこれらの問題の両方に対処します。
プローブは、蛍光分子を受容できる2つのコンポーネントで構成されています。
1つは蛍光分子を「アクセプター」、そしてコンポーネントに転送する「ドナー」です。
プローブがHO-1と接触すると、2つのコンポーネント間の結合が切断され、ドナーコンポーネントに蛍光分子が蓄積します。
この蓄積により、分光法を使用して検出できるプローブの蛍光強度が増加します。
ヒトHO-1を含む改変大腸菌細胞を使用したテストで、チームはプローブの蛍光の6倍の増加を検出しました。
BHFのアソシエイトメディカルディレクターであるジェームズ・ライパー教授は、次のように述べています。
「IPHを検出する現在の方法は、時間と費用の両方がかかる、病院における画像技術を用いた検査に依存しています。この技術は、IPHの早期発見を可能にするために、患者が最初に症状を示したときに使用できる高速で感度の高い診断テストを作成することを目的としています。
このような検査を使用することで、IPHに苦しむ患者のより迅速な治療と改善された転帰が可能になります。」
患者が最初に症状を示してIPHの早期発見を可能にするとき。このような検査を使用すると、IPHに苦しむ患者のより迅速な治療と改善された転帰が可能になります。」
チームは現在、研究を哺乳類とヒトの細胞にまで広げています。
彼らは最近、プローブの特許を取得し、British Heart Foundationから資金提供を受け、他の心血管疾患や神経変性疾患での新世代のプローブを作成し、根本的なメカニズムのより詳細な生物学的調査を実施しています。
【以下のリンクより引用】
Cardiovascular disease could be diagnosed earlier with new glowing probe
Medical Xpress