悲劇的なニュースを繰り返し読むことで負のサイクルに陥る
ほとんどの人は、Facebookに憂鬱なニュース記事を繰り返し投稿する友人が周囲に1人はいるでしょう。
あるいは、銃乱射や自然災害の大々的な報道から目が離せなくなっているかもしれません。
しかし、こうした悲劇的な事件に思わず引き込まれるのには、心理的な理由があるようです。
新しい研究によると、2013年のボストンマラソン爆弾テロ事件や2017年のハリケーン・マリアによる壊滅的被害のような「集団的なトラウマ」に繰り返し曝されることで、苦痛のサイクルに陥り、より多くの「悪いニュース」を見るようになるといいます。
アメリカで4,165人を対象に3年間の追跡調査を行った研究に基づくと、こうした事件のニュース報道を見ることになった人は将来に不安を感じる可能性が高くなり、次に動揺させるようなニュースが見出しに出た時には、そうしたニュースを見る時間が増える可能性が高くなるといいます。
この調査を行った研究チームによると、その後このサイクルが繰り返されることで苦痛が増大し、メディアの利用が増えることに繋がるといいます。
カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)の研究者の1人である、心理学者のRoxane Cohen Silver氏は、次のように述べています。
「テロや壊滅的なハリケーンが発生したときに、人々が懸念や不安を感じることは当然のことです。」
「こうした事件のメディア報道は、24時間継続するニュース番組やモバイル技術の拡大により促進されており、多くの場合繰り返し報道され、画像や映像、センセーショナルなストーリーが含まれています。これにより、直接事件に巻き込まれていない人にも、影響が広がります。」
この研究は、2013年のボストンマラソン爆弾テロ事件と2016年に起こったフロリダ州オーランドのナイトクラブ「パルス」で発生した銃乱射事件の間の期間に実施されました。
これまでの研究では、こうした事件のニュース報道を頻繁に見ることとメンタルヘルスへの悪影響の関連性が見出されてきましたが、今回の研究では、時間の経過による長期的な影響に焦点が当てられました。
この研究に参加したボランティアは2013年から2016年にかけて、ボストン爆撃から2〜4週間後と6ヶ月後、2年後、そしてパルス銃殺の5日後の、計4回のインタビューを受けました。
研究者らは、ボストン爆撃後のニュース視聴増加と、6カ月後の心的外傷後ストレスの間に関連があることを見出しました。
同じ対象者は、その後パルス射撃の大々的な報道により注目する傾向が見られました。
カリフォルニア大学アーバイン校の心理学者Rebecca Thompson氏は、以下のように述べています。
「私たちの研究は、被験者を数年にわたり追跡した大規模なサンプルが、長期的に、複数の事件にわたって、繰り返しメディアの集団暴行や苦痛ににさらされるパターンを実証した最初の研究です。」
「各報道機関は、視聴者に過度な心配や苦痛を与えないように、こうした事件のニュース報道におけるセンセーショナルな側面を緩和することを推奨します。」
研究者らは、ひどい事件が起こった時にニュース報道を繰り返し視聴し、ソーシャルメディアにかじりついてしまうことは、理解できることを認めています。
私たちは、こうした出来事の後に何が起こり、どのようにして安全を確保すれば良いのかを知りたいと感じるのです。
同時に、これには適切なバランスがあります。
こうした悲劇を見て、聞いて、読むことににあまりにも多くの時間が費やされると、抜け出すのが難しい負のスパイラルに陥ることがあります。
こうした事件の報道に集中しすぎることによってもたらされる余計なストレスは、将来その他のストレスに関連する問題のリスクを高める可能性があります。
このため、報道機関やソーシャルメディア運営会社は、より慎重なアプローチを取るべきであると、研究者らは指摘しています。
「メディアへの接触と苦痛のサイクルは、公衆衛生にも同様に影響を及ぼしているようです。」と、Thompson氏は話しています。
「集団的なトラウマのニュース報道に繰り返し曝されることは、直接事件を経験していない人にも、直後の余波や心的外傷後のストレス反応としてフラッシュバックのような精神衛生上の悪影響が出たり、長期にわたる身体機能障害が起こることに関連しています。」
この研究はScience Advancesに掲載されました。
出典:2017年4月25日更新Science alert『Obsessively Reading About Tragedies Can Trap You in a Cycle of Misery, Study Finds』(2019年4月25日に利用)
https://www.sciencealert.com/study-shows-news-about-tragedies-can-trap-us-in-a-negative-emotional-cy...
あるいは、銃乱射や自然災害の大々的な報道から目が離せなくなっているかもしれません。
しかし、こうした悲劇的な事件に思わず引き込まれるのには、心理的な理由があるようです。
新しい研究によると、2013年のボストンマラソン爆弾テロ事件や2017年のハリケーン・マリアによる壊滅的被害のような「集団的なトラウマ」に繰り返し曝されることで、苦痛のサイクルに陥り、より多くの「悪いニュース」を見るようになるといいます。
アメリカで4,165人を対象に3年間の追跡調査を行った研究に基づくと、こうした事件のニュース報道を見ることになった人は将来に不安を感じる可能性が高くなり、次に動揺させるようなニュースが見出しに出た時には、そうしたニュースを見る時間が増える可能性が高くなるといいます。
この調査を行った研究チームによると、その後このサイクルが繰り返されることで苦痛が増大し、メディアの利用が増えることに繋がるといいます。
カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)の研究者の1人である、心理学者のRoxane Cohen Silver氏は、次のように述べています。
「テロや壊滅的なハリケーンが発生したときに、人々が懸念や不安を感じることは当然のことです。」
「こうした事件のメディア報道は、24時間継続するニュース番組やモバイル技術の拡大により促進されており、多くの場合繰り返し報道され、画像や映像、センセーショナルなストーリーが含まれています。これにより、直接事件に巻き込まれていない人にも、影響が広がります。」
この研究は、2013年のボストンマラソン爆弾テロ事件と2016年に起こったフロリダ州オーランドのナイトクラブ「パルス」で発生した銃乱射事件の間の期間に実施されました。
これまでの研究では、こうした事件のニュース報道を頻繁に見ることとメンタルヘルスへの悪影響の関連性が見出されてきましたが、今回の研究では、時間の経過による長期的な影響に焦点が当てられました。
この研究に参加したボランティアは2013年から2016年にかけて、ボストン爆撃から2〜4週間後と6ヶ月後、2年後、そしてパルス銃殺の5日後の、計4回のインタビューを受けました。
研究者らは、ボストン爆撃後のニュース視聴増加と、6カ月後の心的外傷後ストレスの間に関連があることを見出しました。
同じ対象者は、その後パルス射撃の大々的な報道により注目する傾向が見られました。
カリフォルニア大学アーバイン校の心理学者Rebecca Thompson氏は、以下のように述べています。
「私たちの研究は、被験者を数年にわたり追跡した大規模なサンプルが、長期的に、複数の事件にわたって、繰り返しメディアの集団暴行や苦痛ににさらされるパターンを実証した最初の研究です。」
「各報道機関は、視聴者に過度な心配や苦痛を与えないように、こうした事件のニュース報道におけるセンセーショナルな側面を緩和することを推奨します。」
研究者らは、ひどい事件が起こった時にニュース報道を繰り返し視聴し、ソーシャルメディアにかじりついてしまうことは、理解できることを認めています。
私たちは、こうした出来事の後に何が起こり、どのようにして安全を確保すれば良いのかを知りたいと感じるのです。
同時に、これには適切なバランスがあります。
こうした悲劇を見て、聞いて、読むことににあまりにも多くの時間が費やされると、抜け出すのが難しい負のスパイラルに陥ることがあります。
こうした事件の報道に集中しすぎることによってもたらされる余計なストレスは、将来その他のストレスに関連する問題のリスクを高める可能性があります。
このため、報道機関やソーシャルメディア運営会社は、より慎重なアプローチを取るべきであると、研究者らは指摘しています。
「メディアへの接触と苦痛のサイクルは、公衆衛生にも同様に影響を及ぼしているようです。」と、Thompson氏は話しています。
「集団的なトラウマのニュース報道に繰り返し曝されることは、直接事件を経験していない人にも、直後の余波や心的外傷後のストレス反応としてフラッシュバックのような精神衛生上の悪影響が出たり、長期にわたる身体機能障害が起こることに関連しています。」
この研究はScience Advancesに掲載されました。
出典:2017年4月25日更新Science alert『Obsessively Reading About Tragedies Can Trap You in a Cycle of Misery, Study Finds』(2019年4月25日に利用)
https://www.sciencealert.com/study-shows-news-about-tragedies-can-trap-us-in-a-negative-emotional-cy...