慢性的な胸焼けは喉頭、食道癌の可能性を高める
2021年2月22日 - 慢性的な胸焼けのある人は、いくつかのまれな種類の癌のリスクが高まる可能性があると米国政府の大規模な研究が示しています。
研究者は、49万人以上の50歳以上のアメリカ人の中で、胃食道逆流症(GERD)の患者は、食道または喉頭(のどぼとけ)の癌を発症するリスクが約2倍あることを発見しました。
GERDは、胃酸が慢性的に食道(喉と胃をつなぐ筋肉の管)を通る際に発生します。その最も一般的な症状は胸焼けです。
米国国立衛生研究所(NIH)によると、この状態は非常に一般的であり、推定でアメリカ人の20%が罹患しています。
GERDは、食道腺癌の危険因子として長い間知られてきました。
食道腺癌は、米国では、食道で発生する最も一般的なタイプの腫瘍です。
医療誌『Cancer』で2月22日に公開された新しい研究は、GERDをのどぼとけで発生する扁平上皮癌と呼ばれる第2のタイプの食道癌、および喉頭癌と関連付けています。
専門家は、絶対的なリスクは低いことを強調しました。GERDの大多数の人々が癌を発症するということでは決してなく、それはかなり稀です。
「私たちの発見によりGERDと診断された人々は驚く必要はありません。」
と、研究を主導した米国国立癌研究所の研究者であるクリスチャン・アブネット氏は述べました。
しかし、世界中で、扁平上皮癌は実際には食道癌のはるかに一般的な形態であると彼は指摘しました。これが、GERDとの関連を調査することが重要である理由の1つです。
胸焼けが癌に関係する問題になるのはなぜでしょうか。
食道は、酸や消化酵素など、胃や小腸に存在する「苛性」物質には慣れていないと、アブネット氏は説明しました。
腺癌に関する長年の理論では、これらの物質へ慢性的に晒されることが、時折、癌につながるような食道組織へ損傷を与える可能性があるというものです。
NIHによると、実際、GERD患者の約10%~15%は、バレット食道として知られる食道内膜の異常を引き起こすほど重度の逆流症を患っています。
また、バレット食道のある人が食道腺癌を発症するリスクは、年間約0.5%です。
アブネット氏によると、同様のメカニズムが食道の扁平上皮がんや喉頭がんにも寄与する可能性があります。
GERDの治療がこれらの癌のリスクを減らすかどうかは「未解決の問題のまま」であると彼は述べました。
また、彼は、米国ではここで研究された癌の主な原因は喫煙と大量飲酒であると述べました。
「したがって、これらの曝露を回避することが最も重要な予防策です。」
とアブネット氏は述べています。
この研究結果は、研究開始当初50歳から71歳までの年齢であった490,600人を超える米国の成人に基づいています。彼らのほぼ4分の1がGERDでした。
約16年間で、900人以上の参加者が食道腺癌と診断され、約300人が扁平上皮癌を発症しました。また、一方で、876人が喉頭がんと診断されました。
平均して、アブネット氏のチームは、喫煙、飲酒習慣、体重を考慮した後でもGERDのある人はGERDのない人の約2倍の確率で3種類の癌を発症したことを発見しました。
アメリカ癌協会の疫学研究の科学長であるピーター・キャンベル氏は、この研究を「堅実だ」と述べました。
がんの標準的なスクリーニング検査はありません。
しかしキャンベル氏は、GERDの人は、嚥下障害、胸痛、嗄声や声の変化、慢性の咳、体重減少などの潜在的な症状に気付く可能性があると言います。
これらの兆候や症状があるからといって、必ずしもこれらの臓器部位の1つに癌があるとは限らないことに注意することが重要であるとキャンベル氏は強調しました。
しかし、彼は、これらの症状に気付いたGERDの人は誰でも医師に相談するべきだと述べました。
同様に、アブネット氏は、GERDの症状のある人は、ライフスタイルの変更や役立つ薬について医師に尋ねるべきだとも述べました。
胃食道逆流症(GERD)を管理するためのライフスタイルの調整には、健康的な食事をとること、喫煙をやめて飲酒を制限すること、そしてダイエットをして減量するなどがあります。
アブネット氏は、偶然にもこれらの同じ対策が多くの異なる種類の癌のリスクを抑えるのに役立つ可能性があると指摘しました。
【以下のリンクより引用】
Chronic Heartburn Raises Odds for Cancers of Larynx, Esophagus
Healthday