手洗いはハンドサニタイザーよりもウイルス殺菌効果が高い
患者を診る度にハンドサニタイザーを使う医療従事者は、都度時間をかけて手洗いを行う医療従事者よりも、インフルエンザウイルスを拡大させる可能性が高いことが最近の調査で示されました。
これは、感染患者から分泌されたばかりの粘液が、ハンドサニタイザーに含まれるアルコールの機能を妨げ、風邪のばい菌を不活性化するのに必要な濃度に満たなくなるためであると、研究者はmSphereへの取材に答えています。
これまでは、ハンドサニタイザーで手をこすることと、抗菌洗浄剤で手洗いを行うことは、インフルエンザウイルスに対する同様の消毒作用があると考えられていたと、この研究を率い、日本にある京都府立医科大学の感染症研究であるリョウヘイ・ヒロセ博士は述べています。
「しかしこの研究では、粘液の物理的特性が、エタノールベースの消毒剤によるA型インフルエンザウイルスの不活性化を阻害することが示されました。」と、ヒロセ氏はメールの中で述べています。
「これにより(活性インフルエンザウイルスの)拡大リスクが高まり、院内感染症の根絶を阻害します。」
研究者らは一連の試験およびコンピューターシミュレーションを行い、エタノールベースの消毒サニタイザーの使用および抗菌洗浄剤による手洗いの後に残ったA型活性インフルエンザウイルスの量を調べました。
A型インフルエンザは、最も一般的な形態の季節性インフルエンザです。
感染患者の持つ湿った粘液内のインフルエンザウイルスは、サニタイザーに2分間さらされた後も死滅せず、ウイルスが完全に不活性化するまでに、約4分間かかりました。
一方手洗いでは、わずか30秒で不活性化が見られました。
粘液がウイルスへの対抗を妨げることを確認するため、研究者らはボランティアの指に、インフルエンザウイルスを含む粘液もしくは食塩水を軽く塗りました。
その後、ウイルスが不活性化し、感染力を失うまでのするまでの時間を測りました。
エタノールベースのハンドサニタイザーは、食塩水内のインフルエンザウイルスを30秒で不活性化できました。
またサニタイザーは、乾燥した粘液内のインフルエンザウイルスも、8秒未満の間に不活性化することができました。
しかし粘液では、ほとんどの場合3分近く時間がかかりました。
消毒効果を示すために必要となるアルコール濃度に達したのはわずか30%と少しだけであり、これはゲル状の新鮮な粘液においてより時間がかかる結果となりました。
この調査結果は、感染した粘液が完全に乾くまでは、ハンドサニタイザーを使用した後も、活性インフルエンザウイルスは手指に残り続けることを示していると、研究チームは結論付けました。
またこの調査では、インフルエンザウイルスを含む粘液は、乾燥するまでに30分以上かかることがあることがわかりました。
一方手洗いは、湿った粘液および乾燥した粘液いずれに存在するインフルエンザウイルスにおいても効果的に、すばやく不活性化することが、この試験で示されました。
ひとつの欠点は、実験室以外の、医療従事者が患者を診る毎に手を消毒する状況における調査が行われていないことです。
しかし、アルコールベースのサニタイザーは物理的に有機物を除去することができないため、手に粘液が付着している場合、手洗いが最善の方法であることに変わりないと、ニューヨーク州にあるコロンビア大学メールマン公衆衛生大学院の研究者を務めるイレーン・ラーソン氏は述べています。
「手洗いは、細菌を殺菌するのではなく、手の付着物を機械的にシンクに洗い流すことによって物理的に取り除くのに良い方法です。」と、研究に携わっていないラーソン氏はメールの中で述べています。
「アルコールは細菌を実際に殺菌する方法としては好ましく、効果的で迅速な方法ですが、汚れや有機物の残留物を取り除くことはできません。」とラーソン氏は付け加えました。
「しかし、シンクや洗浄道具(石鹸やタオル)が使用できない状況においては、まぎれもなく最善の選択しとなるでしょう。」
出典: 2019年9月20日更新 Asia one 『Handwashing beats sanitiser for killing flu virus on hands』(2019年10月8日に利用)
https://www.asiaone.com/lifestyle/handwashing-beats-sanitiser-killing-flu-virus-hands
これは、感染患者から分泌されたばかりの粘液が、ハンドサニタイザーに含まれるアルコールの機能を妨げ、風邪のばい菌を不活性化するのに必要な濃度に満たなくなるためであると、研究者はmSphereへの取材に答えています。
これまでは、ハンドサニタイザーで手をこすることと、抗菌洗浄剤で手洗いを行うことは、インフルエンザウイルスに対する同様の消毒作用があると考えられていたと、この研究を率い、日本にある京都府立医科大学の感染症研究であるリョウヘイ・ヒロセ博士は述べています。
「しかしこの研究では、粘液の物理的特性が、エタノールベースの消毒剤によるA型インフルエンザウイルスの不活性化を阻害することが示されました。」と、ヒロセ氏はメールの中で述べています。
「これにより(活性インフルエンザウイルスの)拡大リスクが高まり、院内感染症の根絶を阻害します。」
研究者らは一連の試験およびコンピューターシミュレーションを行い、エタノールベースの消毒サニタイザーの使用および抗菌洗浄剤による手洗いの後に残ったA型活性インフルエンザウイルスの量を調べました。
A型インフルエンザは、最も一般的な形態の季節性インフルエンザです。
感染患者の持つ湿った粘液内のインフルエンザウイルスは、サニタイザーに2分間さらされた後も死滅せず、ウイルスが完全に不活性化するまでに、約4分間かかりました。
一方手洗いでは、わずか30秒で不活性化が見られました。
粘液がウイルスへの対抗を妨げることを確認するため、研究者らはボランティアの指に、インフルエンザウイルスを含む粘液もしくは食塩水を軽く塗りました。
その後、ウイルスが不活性化し、感染力を失うまでのするまでの時間を測りました。
エタノールベースのハンドサニタイザーは、食塩水内のインフルエンザウイルスを30秒で不活性化できました。
またサニタイザーは、乾燥した粘液内のインフルエンザウイルスも、8秒未満の間に不活性化することができました。
しかし粘液では、ほとんどの場合3分近く時間がかかりました。
消毒効果を示すために必要となるアルコール濃度に達したのはわずか30%と少しだけであり、これはゲル状の新鮮な粘液においてより時間がかかる結果となりました。
この調査結果は、感染した粘液が完全に乾くまでは、ハンドサニタイザーを使用した後も、活性インフルエンザウイルスは手指に残り続けることを示していると、研究チームは結論付けました。
またこの調査では、インフルエンザウイルスを含む粘液は、乾燥するまでに30分以上かかることがあることがわかりました。
一方手洗いは、湿った粘液および乾燥した粘液いずれに存在するインフルエンザウイルスにおいても効果的に、すばやく不活性化することが、この試験で示されました。
ひとつの欠点は、実験室以外の、医療従事者が患者を診る毎に手を消毒する状況における調査が行われていないことです。
しかし、アルコールベースのサニタイザーは物理的に有機物を除去することができないため、手に粘液が付着している場合、手洗いが最善の方法であることに変わりないと、ニューヨーク州にあるコロンビア大学メールマン公衆衛生大学院の研究者を務めるイレーン・ラーソン氏は述べています。
「手洗いは、細菌を殺菌するのではなく、手の付着物を機械的にシンクに洗い流すことによって物理的に取り除くのに良い方法です。」と、研究に携わっていないラーソン氏はメールの中で述べています。
「アルコールは細菌を実際に殺菌する方法としては好ましく、効果的で迅速な方法ですが、汚れや有機物の残留物を取り除くことはできません。」とラーソン氏は付け加えました。
「しかし、シンクや洗浄道具(石鹸やタオル)が使用できない状況においては、まぎれもなく最善の選択しとなるでしょう。」
出典: 2019年9月20日更新 Asia one 『Handwashing beats sanitiser for killing flu virus on hands』(2019年10月8日に利用)
https://www.asiaone.com/lifestyle/handwashing-beats-sanitiser-killing-flu-virus-hands