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承認済みの筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療法

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、運動ニューロン(随意筋を制御する神経細胞)の進行性消失を特徴とする重度の神経変性疾患です。
これは全体的な筋力低下などの症状を引き起こし、動作や呼吸、食事、会話が困難になります。

現状ALSを完治する方法はありませんが、症状の改善を助ける治療法があります。
特定の病状緩和に役立つ医薬品が存在します。
米国食品医薬品局(FDA)は、特にALSの進行を遅らせることを目的とした2つの治療法を承認しています。
これは、リルテック(成分名:リルゾール)と、ラジカヴァ(成分名;エダラボン)です。
リルテックはカナダやオーストラリア、ヨーロッパ各地でも承認されています。
ラジカヴァの承認は、多くの国で未だ検討中となっています。

リルテックとラジカヴァは、既にALSによって生じた損傷を元に戻す作用は示されていませんが、
患者の平均寿命を延ばすことができるかもしれないと考えられています。
これらの薬は通常対症療法と組み合わせて使用され、患者の生活の質を向上させます。


- リルテック(リルゾール)
リルテックは経口薬(錠剤)で、呼吸能力の低下を遅らせ、重症患者の平均寿命を、通常3〜5ヵ月延ばすことができます。

リルテックは1995年に、ALSの進行を遅らせ生存期間を延ばす最初の全身治療薬としてFDAに承認されました。
ラジカヴァが利用可能になるまで、20年以上にわたって米国で唯一のALS全身治療薬でした。

それ以降、このALS治療法は多くの国々で承認されました。
例としてリルテックは、1996年以来ヨーロッパ医薬品庁(EMA)により、ヨーロッパにおける承認を得ています。

リルテックは、ALS患者の脳や脊髄の毒性を高め、近くの神経細胞を損傷するとされる神経伝達物質
または細胞シグナル伝達分子であるグルタミン酸の過剰放出(蓄積)を防ぐと考えられています。
この蓄積を減少させることで、リルテックは、グルタミン酸によって誘発される運動ニューロンの劣化を防ぐとされています。


- ラジカヴァ(エダラボン)
2017年5月にFDAより承認されたラジカヴァは、静脈注射として投与されます。
ラジカヴァの販売は、2018年10月現在、カナダ保健省よる承認も受けています。
日本と韓国では、エダラボンは2015年よりラジカットのブランド名で販売されています。

ラジカヴァはヨーロッパではまだ利用できませんが、ヨーロッパ医薬品庁(EMA)は2018年5月24日、
販売承認を検討するために、エダラボンの新しい申請を受け入れました。
現状ラジカヴァはオーストラリアでは利用できず、医薬品行政局(TGA)への承認申請は行われていません。

ラジカヴァはリルテックとは異なるプロセスで作用すると考えられていますが、正確な作用機序は完全に分かっていません。
ラジカヴァは、抗酸化剤(いわゆるフリーラジカルスカベンジャー)として作用すると考えられています。
フリーラジカルは、細胞によるエネルギー生産の副産物として形成されます。
通常、フリーラジカルは体から素早く除去されますが、除去されないままでいると損傷を引き起こし、
酸化ストレスと呼ばれるプロセスを通じて細胞死を招く可能性があります。
これは、フリーラジカル生成と、フリーラジカル中和作用のある抗酸化剤における不均衡として定義されます。
フリーラジカルによる損傷は、ALSの特徴である進行性神経細胞死のメカニズムの1つであると考えられています。
ラジカヴァは迅速なフリーラジカル除去を助けることで神経系へのダメージを減らし、病気の進行を遅らせることができると考えられています。

出典:『Approved Treatments』ALS NEWS TODAY(2019年4月3日に利用)
https://alsnewstoday.com/approved-treatments/