抗うつ薬が効いているかどうかはどうやって知るのか
抗うつ薬を数週間服用していますが、何が起こっているのかわかりません。
確かに、少しエネルギッシュになってきたことには気づくかもしれませんが、そうであっても希望がなく、落ち込み集中できないといったことになおも苦しんでいます。
更に、薬を服用した直後に吐き気を催したりします。
「この抗うつ薬は効いているのだろうか」と自問し、不安を感じていてもそれはあなただけではありません。
抗うつ薬はすべての人に異なる影響を及ぼし、それらの効果が出ているのかどうかは必ずしも明確ではありません。
言うまでもなく、完全な効果を感じるまでに6週間以上かかる場合があり、医師は数回に渡り用量を増やす必要がある場合があります。
抗うつ薬に期待すべきことと、抗うつ薬が効いているかどうかを知る方法をわかりやすくするために、2人の精神科医にこの疑問に対するアドバイスを伺いました。
抗うつ薬とは何ですか?
現在、うつ病、不安、強迫性障害(OCD)などの精神的健康疾患の治療に25種類以上の抗うつ薬が使用されています。
抗うつ薬は、一般に5つの主要なグループに分類されます。
・三環系抗うつ薬(TCA)
・モノアミン酸化酵素阻害薬(MAOI)
・選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
・セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)
・非定型抗うつ薬(ブプロピオン;商品名ウェルブトリン,Wellbutrin、トラゾドン;
商品名Oleptro、ボルチオキセチン;商品名ブリテントリックス,Brintellixなど)
すべての抗うつ薬の作用はわずかに異なりますが、製薬会社はエスケタミンなどのまったく新しい選択薬でのテストを開始しています。
しかし、基本的な前提は同じです。それらは脳と体で利用可能なセロトニン、ドーパンまたはノルエピネフリンの量を増やします。
専門家は、抗うつ薬が多くの人にどのようにまたはなぜ作用するのかについては、正確にはわかっていないもののこれらの神経伝達物質は、気分から記憶、集中力、睡眠に至るすべてに影響を与えます。
抗うつ薬の服用開始で何が期待できるのか
抗うつ薬を服用し始めると、誰もが異なる反応を示します。しかし、専門家は服用を始めるにあたっての基本的なことをいくつか知っています。
おそらく最もよく耳にすることは、気分が良くなるまで4週間〜6週間かかるということです。
ペンシルベニア州に拠点を置く精神科医のトーマス・ウィンド氏によると、より早くメリットを感じるかもしれません。
「患者はもう少しエネルギーを感じる傾向があり、人によってより良く眠れたり、食欲が改善したりします。これは通常最初の2週間以内に起こります。」
とウインド医師はThe Mighty誌に語りました。
次の2週間以内には、周囲の人々にもより良好に見えるようになりますが、それでも必ずしも気分が良くなったとは限りません。
たいていの抗うつ薬は実際には、5週目と6週目に効き始め、適切な薬で、適量を服用していれば、本当に気分が良くなり始めます。
多くの場合、医師は、治療範囲で推奨される用量を下回る低用量で抗うつ薬の処方を開始します。
たとえば、SSRIセルトラリン(商品名:ゾロフトZoloft)は、1日50mg〜200 mgの用量で最も効果的です。
医師はセルとラリン25mgなどの、この範囲以下で処方を開始し、その後、数週間または数か月にわたって徐々に用量を増やして、副作用を最小限に抑えながら、症状を監視します。
抗うつ薬が効いているのはどうやってわかるの?
それでは、抗うつ薬が実際に作用していることはどのようにして知るのでしょうか?
ウィンド医師と、ニューハンプシャー州に拠点を置く精神科医のジョン・J ミラー医学博士によれば、それは個々の精神健康状態に基づいて、個人により非常に異なります。
ミラー博士は最初の診療で、医師は患者が最も悩んでいる症状を記録し、抗うつ薬を開始したらそれらを注意深く監視するべきだと述べました。
「各人は独自の症状があるのでフォローアップのたびにそれらの症状を再度確認することが望ましいです。」
とミラー博士はThe Mighty誌に述べました。
「抑うつ気分や自殺傾向が改善する前によく眠れるようになったなど、他の人よりも睡眠の問題が早く改善する人もいます。そして、おそらく彼らの不安感が最初に改善され、次に無力感、絶望感、罪悪感が良くなります。」
ウィンド医師はまた、再診察の予約中に状況がどのように改善されているかを追跡するために、患者に各主要症状の重症度を1から10の10段階評価を求めることができると述べました。
彼が言う究極の目標は、症状が、最低でも普通だと思え自分らしいと感じることです。
「人に普通だと感じてほしい。私にとって、それが真の抗うつ薬を使用する目標です。」
とウィンド医師は言いました。
「薬を服用する人の最大70%で気分を約50%良くするためには多くの作業が必要です。そうなると良いですが、それは目標ではありません。彼らが常に自分は普通だと感じることなのです。」
The Mighty誌のメンタルヘルスコミュニティのメンバーは、抗うつ薬が効いていることをどのように知ったのかについて、次のように知らせています。
-サバンナさんの経験―
2年弱、ウェルブトリンを服用していましたが、もっとシャワーを浴びたくなりました。
そしてこの恐ろしい雑用に変わり人々とより良い交流を持つのが好きになりました。
8月にトリテントリクスTrintellixを開始したときには、周りの人たちは私がそれほど不安感がないことに気が付きました。そして、数週間後、言葉を吐き気にならなかったことに気づき、数週間後、手に汗握ることもなく静かに雨の中を運転することができました。そして私はずっと事故を起こすという不安もありませんでした。
-KTさんの経験 ―
意識して微笑むと、それは効果があることがわかりました。それは本当に久しぶりでした。
それ以外では、日常の基本動作以外のことをするためのエネルギーが沸いてきました。
休憩中に職場で居眠りをするのを止めることができ、ついに、夜間眠れるようになりました。
-ケビンさんの経験-
私の人生で初めて、食欲がでました。そして簡単に眠りにつくことができるようになりました。ただし、強迫性障害(OCD)はまだ克服していないため、完全に機能しているかどうかはわかりませんが、自分の症状の管理が少し簡単になりました。
投与量が増えるにつれ良くなっているようです。
プラセボでも効果はありますか?
抗うつ薬のプラセボ効果と、薬が本当に人々を救済するのかどうかには多くの議論があります。
抗うつ薬はすべての人に効果があるわけではなく、あらゆるタイプの抗うつ薬に良い反応を示すことはできません。
ただし、一般的に、抗うつ薬は多くの人に良い影響を与えることが研究により示されています。
精神的健康のために薬を服用しても何も問題はありません。
ミラー博士は、自分で感じた改善がプラセボ効果に一部関係しているとしても、それは治療の開始時に必ずしも悪いことではないと述べました。
助けを求めて精神障害治療を開始するだけで、また、適切な薬と用量を見つける過程だけでも少し希望を感じるということがあります。
「常に“提案”と“期待”による力を活用したいと思います。」
とミラー博士は述べました。
「数日以内に気分が良くなるかもしれませんが、少なくとも6週間の間、十分な量を服用するまで薬が効かないとは言えません。」
副作用については何を知っておくべきでしょうか?
抗うつ薬は、ほとんどの薬と同様に、副作用を引き起こす可能性があります。
最も一般的な副作用には次のものがあります。
吐き気
嘔吐
下痢
便秘
刺激性の増加
睡眠の問題
性的機能不全
自殺念慮の増加
多くの場合、抗うつ剤の副作用は服用開始後2週間で消えるか改善しますが、その間は楽しく過ごせません。
ウィンド医師は、副作用について、考えられることを患者に伝え、どんな症状であれば副作用が重すぎるのか、また、副作用があまりにも深刻である場合、副作用がなくなるのを待つのではなく、別の薬を試す必要があるかもしれないことを伝えています。
「副作用の問題は、それらのほとんどが最初の2週間以内にピークに達し、4週目〜6週目あたりまで気分は良くならないものです。」とウィンド氏は付け加えました。
それはバランスを取る行為です。バランスを取ることを好む人もいればそうでない人もいます。
それは単に個人的な好みですが、私は彼らにそれを超えると作用するということを伝えます。
また、一対一で直接話すことができるよう、副作用が見られたら私へ連絡を取るように勧めています。
ミラー博士はまた、薬の副作用を経験している場合は医師が助けになることがあるため、医師に電話することが重要であることを強調しました。
たとえば、吐き気や嘔吐がある場合、医師は空腹時ではなく、食事の直後に抗うつ薬を服用することを提案する場合があります。
薬の副作用や気分や精神的健康の症状がどのように変化するか心配なときはいつでも、気軽に医師へ連絡してください。
抗うつ薬が効かなかった場合の対処方法
抗うつ薬が効かない場合や薬の効果に確信が持てない場合は、医師に相談してください。
時間が経っても症状が改善しない場合は、投薬量を増やすか、完全に別の薬を試す必要があるかもしれません。
ウィンド医師は、別の選択肢として、第二の薬(通常はセロトニン関連薬と相互作用しない非定型の抗うつ薬または抗精神病薬)を追加して、長引く副作用の症状に対処したり、抗うつ薬の有効性を高めたりすることを示しました。
医師は、診断、病歴、症状、および副作用に基づいて、どの処置が最適かを判断します。
ミラー博士はまた、社会的支援や食事、運動、睡眠などのライフスタイルについての懸念など、患者の健康の全体像を見るためにクライアントと協力していることも述べています。
主要な生活上のストレスに対処している場合、またメンタルヘルスの追加サポートとして、セラピストに頼ることもできます。
研究では、薬物療法と心理療法の組み合わせが精神的健康で苦労している人々に最も効果的であることが多いことが示唆されています。
抗うつ薬が働き始めるのに数週間待つのはイライラすることもありますし、あなたが最初に試す薬が役に立たない場合はなおさらです。助けを求めることは大きな一歩であり、あなたが一人ではないことを知っています。
抗うつ薬の服用期間は?
抗うつ薬をしばらく服用し、ほとんどの時間を自分らしく過ごすことができるように感じたら、医師の助けを借り、維持療法に切り替えたり、抗うつ薬の服用を完全にやめることができます。
この決定は、多くの場合、うつ病の発症数に依存します。
医師は、再発を防ぐために抗うつ薬を使用するように提案する場合があります。
「私は永遠に薬を処方するわけではありませんが、患者がそれを必要とする限り、薬を服用しています。気分が良いからといって、それが必要ないというわけではありません。」
とウィンド医師は付け加えました。
長時間うつ状態になっていなかった人のうつ病の最初の治療は、薬の服用を検討する前に、6ヵ月~18か月間は正常であったと本人が認識しているか、そして、うつの症状の深さによります。
うつ病の発症が2度目であれば、薬を服用する前に少なくとも2年〜3年は正常であったことを感じ、薬が必要であったかどうかを確認してもらいます。
医師により抗うつ薬の投与量が漸減し始めると、あなたはまだ低用量で薬が必要であることに気づくかもしれません。
たとえば、ゾロフトを50 mgから25mgに、次に12.5 mgにとゆっくり減らします。
しかし、12.5 mgでは症状が再発し始めるため、医師は25 mgを薬の維持用量としたままにするかもしれないとミラー博士は言います。
ミラー博士は投薬量を減らすことと無症状を維持することの「バランスポイント」を見つけたいと言いました。
とにかく、薬の中断による影響やその他の合併症を避けるために、薬を変更または中止する前には必ず医師に相談してください。
抗うつ薬は、すべてを「治す」ものでなくても、メンタルヘルスをサポートするためには本当に役立つ手段である可能性であることを覚えておいてください。
また、セラピー、ソーシャルサポート、ライフスタイルの変更など他の治療やサポートと一緒に行うことで最適に機能し、生活を自分らしく送れると感じられるようになります。
「抗うつ薬はあなたを幸せにするものではありません。」
とウィンド医師は述べました。
「それらはあなたを普通の人であるように感じさせるものなのです。」
【以下のリンクより引用】
How Do You Know If Your Antidepressants Are Working?
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