抗がん剤が入院中のCOVID患者の命を救う可能性
2022年7月6日(ヘルスディニュース)- 癌治療に使用される実験薬は、COVID-19患者の死亡リスクを約55%減らす可能性があると新しい研究が示唆しています。
その薬剤とはサビザブリンで、以前認可された薬剤よりも、重症のCOVID-19患者の回復に効果的であることがわかったと研究者はニューイングランドジャーナルオブメディシン(the New England Journal of Medicine)において7月6日に報告しています。
マイアミを拠点とする医薬品開発者であるVeru社は、米国食品医薬品局に緊急許可を申請しました。承認は、入院患者に対しての別の治療手段となります。
「これは非常に印象的です。」
と、カナダのアルバータ大学の感染症専門家であるイラン・シュワルツ博士はニューヨークタイムズ紙に語りました。
「死亡率を改善する重篤な疾患の患者に対する治療法は少数ですが、死亡率をさらに減らすことができる別の治療法は大歓迎です。」
しかし、研究のサンプルサイズは比較的小さく、この薬剤を投与されたのは134人の患者のみでした。
「全体的に非常に期待が持てるとは思いますが、より大規模で独立した確認研究を行う必要があるでしょう。」
と、研究に関与しなかったシュワルツ博士は述べました。
錠剤として服用すると、この薬は細胞が細胞のある領域から別の領域に物質を輸送することを目的とした分子ケーブルを構築するのを阻止します。
サビザブリンは当初、テネシー大学の研究者によって、腫瘍細胞間のこの種の高速接続を遮断し、癌細胞の急速な成長を防ぐことによる癌治療のために開発されました。
しかし、この薬剤は、生命を脅かす肺の炎症を軽減するため、COVID患者に効果があるようです。
この研究には、COVIDの治療のために入院し、酸素または人工呼吸器の装着が必要な患者が含まれていました。
彼らには、肥満や高血圧などの他の危険因子があったため、この病気で死亡するリスクが高い状態でした。
このため、COVIDによる死亡リスクを3分の1に減らすと言われているデキサメタゾンのようなステロイドなど、他の薬で治療することが許可されました。
しかし、この薬剤を服用した134人のボランティアとプラセボを摂取した70人のボランティアを比較したところ、2つのグループの死亡率は60日後には劇的に異なっていました。
プラセボ群の45%以上が死亡したのに対し、サビザブリンを服用した群の約20%は、全体的な死亡リスクが55%減少しました。
タイムズ紙と話をしたミネソタ大学の感染症専門家であるデビッド・ボールウェア博士は、プラセボの死亡率が驚くほど高かったと述べました。
対照的に、彼は、COVID患者に投与された関節炎薬の試験ではプラセボ群の死亡が8%未満であったことを指摘しました。
いくつかの抗ウイルス薬は、COVID患者の入院を防ぐことが示されていますが、一般的に中等度から重度のCOVIDではうまく作用しないと専門家は言います。
パキロビッド(Paxlovid)は、通常、病気の初期段階で投与されるそのような薬剤の1つです。
Veru社は、独立した諮問委員会がこの薬が非常に効果的であり、一部の患者にプラセボを投与し続けることは非倫理的であると判断したため、予定より早く試験を中止したと述べました。
しかし、「早期に中止された試験は、通常、その効果を過大評価しているものです。」
とボールウェア博士はタイムズ紙に語りました。
「効果が55%であることには懐疑的です。」
【以下のリンクより引用】
Cancer Drug May Be Lifesaver for Hospitalized COVID Patients