新しい研究が塩分の摂取と減量との関係を明らかにする
高血圧は、米国で1億5,000万人を超える成人に影響を及ぼしており、それは心臓発作や脳卒中などのさまざまな健康上の問題のリスクを高めます。
塩分の摂取は、喉の渇きを刺激して水分摂取量を増やし、高血圧に寄与すると考えられているため、食塩摂取量の削減は血圧を下げるためには 重要であると広く考えられています。
対照的に、最近の研究では、塩分の摂取量が多くとも喉の渇きや水分摂取は促進されず、体の総エネルギー需要が変化することで体重の減少が 促進されることが示唆されています。
ベスイスラエルディーコネスメディカルセンター(BIDMC)の医学助教授である、ステファン・ジュラチェック博士が率いる新しい研究では、 これらの矛盾した発見に新たな光を投げかけています。
研究者は、血圧が上昇傾向にあるか、または高血圧である成人の塩分摂取量を減らすと、のどの渇き、尿量(水分摂取量の目安)、および血圧は 低下するものの、代謝エネルギーの必要性には影響を及ぼさないことを発見しました。
高血圧ジャーナル(the journal Hypertension)に掲載されたこれらの結果は、塩分摂取量を減らすことが高血圧の管理に重要であるという従来の概念を支持し、この最近の研究には異議を唱えています。
2001年に発表された、ナトリウム試験での無作為化摂食研究である、『高血圧を止めるための完全なる食事療法( the completed Dietary Approaches to Stop Hypertension , DASH)』を使用して、研究者は、2つの異なる内容の食事を摂取した後の、研究参加者の血圧に対する、低、中、高の3つの 異なる塩分レベルでの効果について調査を行いました。
2つの異なる食事とは、典型的なアメリカンダイエット(対照食)と、健康的な食事(DASHダイエット)です。
DASHナトリウム試験での二次分析では、研究者たちは、参加者のエネルギー摂取量、体重、自己申告による喉の渇き、24時間の尿量などを 参照とし、塩分摂取による影響について測定しました。
研究者は、塩分の摂取量を減らしても安定した体重を維持するために必要なエネルギー量には影響はない一方で、参加者の喉の渇きを軽減したことを発見しました。
さらに、塩分摂取量が減ると、尿量は変化しないか、より少なくなりました。
総合すると、これらの結果は、血圧が高い傾向がある、または高血圧である成人では、塩分摂取量を減らすと、喉の渇き、尿量(および水分摂取量)が減り、そして、血圧が低下することを示唆しています。
これらの変化は、体重を一定に保つために必要なエネルギー量を変えることなく発生していました。
「私たちの研究はこの科学的議論に有意義に貢献し、血圧を下げる手段として、塩分の削減の重要性を強調しています。」
とジュラチェック博士は述べました。
「血圧管理のためのナトリウム摂取量を減らすことを目的とした公衆衛生の推奨事項は、体重増加につながるということを恐れずに継続すべきです。」
次のステップとして、ジュラチェック博士と彼の同僚は、糖尿病の成人におけるナトリウムの効果をより長期間に渡り研究を継続して行うことを計画しています。
そして同時に、臨床試験や国民健康栄養調査(NHANES)などの全国規模などの大規模なデータセットを利用し、臨床結果に対する水分摂取の影響について調査を行う予定です。
【以下のリンクより引用】
New study debunks notion that salt consumption contributes to weight loss
Science Daily