新型コロナウイルス:臨床医が知っておくべきこと
新型コロナウイルスのほとんどの症例は中国で報告されていますが、米国を含む26か国でも報告されています。
主要なデータ
・初期のデータでは新型のコロナウイルスが過去20年間に発生した他の2つのコロナウイルスよりも感染力が高く、死亡率が低いことを示しています。
・新型コロナウイルスの潜伏期間は、最長14日間になる可能性があります。
・ある研究では、新型コロナウイルスの患者の平均年齢は55.5歳であることが判明しました。小児で報告された症例はほとんどありません。
今週、アメリカ医師会誌に公開された記事では、中国で始まった新しいコロナウイルスの発生についての臨床的な洞察が紹介されています。
アメリカの疾病管理予防センター(CDC)は、新しいコロナウイルス2019年の新規コロナウイルス(the new coronavirus 2019 novel coronavirus , 2019-nCoV)と呼んでいます。
2019-nCoVの症例は主に中国で報告されており、この流行は湖北省武漢市で始まり、アメリカの11症例を含む26か国で症例が報告されているとJAMAに掲載された記事では伝えています。
2月4日現在、20,000件以上の感染が報告されており、そのうちの98.9%が中国であり、ウイルスにより400人以上が死亡しているとJAMAの記事は述べています。
CDC のホームぺージでは、2019-nCoVの広がりと流行への対応に関する情報を更新しています。
またJAMAの記事では、臨床医にとって重要な情報がいくつか紹介されています。
中国の震源地以外で2019-nCoVが最も多く発生しているのは、中国からの移動量が多い5つの都市、バンコク、香港、シンガポール、台北、東京です。
武漢での2019-nCoVの最初の症例は、動物からヒトに広がったと考えられています。
過去20年間には2つの人獣共通コロナウイルスの発生がありました。
それは、重症急性呼吸器症候群(SARS)と中東呼吸器症候群(MERS)です。
初期のデータは、2019-nCoVがSARSおよびMERSよりも感染力が高く、死亡率が低いことを示唆しています。
ある研究では、2019-nCoVの潜伏期は5.2日間であると報告されていますが、最長で14日間になる可能性があります。
感染した人が無症候性である場合にウイルスが伝染する可能性がありますが、ほとんどの伝染は感染した人が症候性の時に起こります。
武漢のコロナウイルス患者99人に関する研究では、ほとんどの症状のある人に発熱と乾いた咳が見られ、患者の約3分の1が息切れを経験していることがわかりました。
その他の症状には、頭痛、のどの痛み、下痢などがあります。
この研究で、患者の平均年齢は55.5歳であることがわかりました。
小児で報告された症例はほとんどありません。
ほとんどの症例は軽度であるようです。入院が必要な患者は肺炎にかかっており、入院患者の約3分の1は急性呼吸窮迫症候群を発症し、集中治療室に入院しています。
患者が発熱や呼吸器症状、特に乾いた咳がある場合、臨床医は旅行歴を確認する必要があります。
これらの患者が過去14日間に湖北省に旅行したことがある場合は、調査対象者(PUI)と見なす必要があります。
PUIと確認された場合、臨床医はできるだけ早く症例を、医療施設の感染予防スタッフと地方または州の保健部門に報告する必要があります。
現在、CDCでは2019-nCoVのすべての診断テストを実施しています。
臨床医は他の呼吸器病原体についてPUIをテストする必要があます。そして、インフルエンザ検査が完了するまで、オセルタミビルの処方を検討する必要があります。
PUIが2019-nCoVであるという疑いが高い場合、患者はすぐにフェイスマスクを着用し、介護者はN95マスクを着用する必要があります。
2019-nCoVへのワクチンはありません。
また、ウイルスに対する効果が証明された薬もありません。
主に緩和ケアとなります。抗ウイルス薬のレムデシビルは、米国での最初のコロナウイルス患者に処方されました。
手洗い、そして、咳をするときは口を覆う、病気のときは家にいるなどの呼吸に関するエチケットといったSARSの流行時に効果的だった公衆衛生対策は、2019-nCoVの拡大の予防に効果的である可能性があります。
【以下のリンクより引用】
NOVEL CORONAVIRUS: WHAT CLINICIANS SHOULD KNOW
Health Leaders