早期治療が求められるCOVID-19 患者の重症化を防ぐのにメトホルミンが有効である可能性が示される
New England Journal of Medicine に掲載された研究は、ミネソタ大学医学部と公衆衛生学部の研究者らが主導しましたが、一般的に処方される糖尿病治療薬である「メトホルミン」が、COVID-19による救急外来受診、入院、または死亡の可能性を40% 以上低下させることを発見しました。また、発症後早い段階で処方された場合では50%以上であることがわかりました。
この研究では、イベルメクチンまたは低用量のフルボキサミンによる治療ではプラスの効果が見られないこともわかりました。
本研究の主任研究者であるキャロリン・ブラマンテ医学博士は次のように述べています。
「広く利用可能な治療薬で、COVID-19の 治療全般に関する知識体系に貢献できることを嬉しく思います。」
「私たちの試験は、メトホルミンがCOVID 19による緊急治療室での治療や、入院の必要性を減らす可能性があることを示唆しています。」
ブラマンテ博士は、これは試験の二次的な結果であると述べました。
主要転帰には、家庭用酸素モニターを用いて低酸素状態にある人が含まれており、試験ではどの薬剤も主要転帰を防げませんでした。
この『COVID-OUT 試験』は、2型糖尿病の治療薬であるメトホルミンの有効性を調査した国内初の試験でした。
低用量抗うつ薬であるフルボキサミン、抗寄生虫薬のイベルメクチン、またはそれらの組み合わせは、患者の緊急搬送や入院、および後遺症を防ぐための可能な治療法として役立つ可能性がありました。
研究デザインはいたってシンプルで、3 つの薬剤のいずれかを患者はランダムに割り当てられ、個別に投与されるか、プラセボを投与するか、メトホルミンとフルボキサミンまたはメトホルミンとイベルメクチンを組み合わせて投与されました。
この研究は正確に一致するプラセボ錠剤を用いたプラセボ対照試験でしたが、ブラマンテ博士は、参加者の83%が既存のデータに裏付けられた投薬を受けたと述べています。
各参加者は、3日から14日間の治療期間中、2種類の錠剤を受け取り、その治療薬の割り当てについては伏せられていました。
各参加者は症状を追跡し、14 日後に調査を完了しました。
試験に参加した1,323人の参加者は、BMIが25 kg/m2 以上の過体重とみなされる成人に限定されていました。これは、たとえば、身長が 少なくても5 フィート 6 インチ(約168cm)で体重が155 ポンド(約70㎏s)を超える人々です。
この研究に参加する資格を得るために、参加者はCOVID-19 検査で陽性が出てから3日以内に登録されました。
これは、妊婦も含めたCOVID-19の最初のランダム化臨床試験のひとつです。
この研究には、ワクチン接種を受けた人と受けていない人が含まれていました。
これは、参加者の大多数がワクチン接種を受けていて最初の公表された試験となります。
「COVID-19ワクチンが非常に効果的であることはわかっていますが、一部の新しい株は免疫を回避する可能性があり、また、ワクチンは世界中どこででも利用できるわけではない可能性があることはわかっています。
そのため、安全に利用が可能で安価な外来治療による治療選択をできるだけ早く研究する必要があると感じました。」
とブラマンテ博士は述べました。
「外来治療により、病気にかかった場合に、より多くの人が病気を克服し、長期的な症状が少なくなることを保証できるかどうかを理解することは、パンデミックでの対応においては、重要な部分です。」
臨床試験は研究者がコンピュータ モデリングと観察研究を通じて、外来でのメトホルミンの使用が COVID-19 による死亡または入院の可能性を低下させるように見えることが特定された後となる2021年1月に始まりました。
彼らの研究は、United Health Group との協力によりJournal of Medical Virology と The Lancet Healthy Longevity の各誌に掲載されました。
試験管研究では、また、メトホルミンが COVID-19 ウイルスを阻害することもわかりました。
これらの研究結果は、高用量のフルボキサミンとイベルメクチンの使用を支持する追加の前向き研究とともに、3 つの薬剤すべてと併用療法を含む証拠を提供しています。
「観察研究とインビトロ実験は決定的なものではありませんが、一連の証拠の一つとなっています。」
と、M Health Fairview の内科医および小児科医でもある ブラマンテ博士は述べています。
【以下のリンクより引用】
Medical Xpress