朝の高血圧にはどんな意味がある?
血圧が一日の内で変動するのは自然なことであり、起床時に上昇する傾向にあります。
しかし、朝に血圧が異常に上がる人がたくさんいます。
医師はこれを、早朝高血圧と呼んでいます。
早朝高血圧は、心臓発作や脳卒中リスクを高めることがあります。
このような医療措置を必要とする緊急事態は、血圧が上昇する早朝に起こることが多いのです。
本記事では、早朝高血圧の原因や影響を探っていきます。
また、症状を予防したり抑制する方法についても、併せて話していきます。
<正常な血圧パターン>
血圧とは、心臓が循環系に血液を送る力を指しています。
血圧には次のような、いくつかの要因が影響することがあります。
血圧を測る時、測定値として二つの数字が表れます。
上の数字は収縮期血圧であり、心臓が収縮する時の圧力を示しています。
下の数字は拡張期血圧であり、心臓が弛緩する時の圧力を示します。
血圧測定器では、水銀柱ミリメートル(mm Hg)と呼ばれる測定単位を用い、血管内の圧力を測ります。
正常な血圧は、120/80 mm Hg以下です。
測定値が120/80 mm Hgから139/89 mm Hgの間にあると、高血圧発症リスクがあることを示しています。
そして、測定値が140/90 mm Hg以上になると、高血圧の診断が下ります。
血圧は、日中から夜にかけて上下します。
寝ている間、血圧は10~30%下がります。
その後起床時間が近くなると、また上昇します。
一部の人はこの上昇率が大きくなり、早朝高血圧を引き起こします。
異常な血圧パターンがある人には、心臓発作や脳卒中などの合併症リスクがある可能性があります。
2010年の研究レビューでは、脳卒中やその他深刻な心イベントは、起床後最初の4~6時間で最も高くなると述べられています。
<原因>
早朝高血圧の潜在原因には、次のようなものがあります。
●薬
人によっては、高血圧を抑制するために降圧薬を服用します。
2018年の研究レビューによると、
早朝高血圧のコントロール不全は、こうした薬の用量や種類に問題によって引き起こされている可能性があると言います。
特に、早朝高血圧は以下のいずれか一つ、もしくは複数の要因が組み合わさって起きている可能性があります。
人によっては、朝よりも就寝前に薬を飲んだ方が、血圧コントロールが上手く行くと感じる人もいるかもしれません。
もしくは、1日の用量を分割し、半分を朝に、もう半分を就寝前にに飲む必要がある人もいるでしょう。
場合によっては、降圧薬の種類をすべて変更する必要があるかもしれません。
薬に変更を加える前に、医師に相談することが大切です。
●健康障害
特定の健康障害は、高血圧リスクを高めることがあります。
これには次のようなものがあります。
●生活習慣要因
特定の生活習慣要因も、高血圧リスクを上げることがあります。
例としては、以下の通りです。
●リスクがある人
以下の要因は、早朝高血圧発症リスクを上昇させることがあります。
<血圧を測定するタイミングおよび測定方法>
自宅の血圧測定器を定期的に使用することで、自分の血圧変動をより良く理解することができます。
また、早朝高血圧の発症を特定することができます。
アメリカ心臓協会(AHA)は、袖口式血圧測定器の使用を推奨しています。
このタイプの装置は、指や手首に付けるタイプの測定器よりも正確な結果を示します。
AHAはまた、自宅での血圧測定において次のガイドラインを提供しています。
血圧測定前:
<症状>
高血圧は、血圧が危険な程高い場合でも、通常何も症状を引き起こしません。
高血圧がある人には、特定の症状がより一般的に見られることはあります。
しかし、こうした症状は直接高血圧が原因で起こる訳ではない場合もあります。
これには、以下のような症状があります。
<診断>
早朝高血圧の診断には、通常その人が自己報告した測定値を使用します。
この測定値によっては、医師が24時間の血圧モニタリング検査を推奨することがあります。
検査では、1日中昼から夜まで血圧を測定する装置を身に付けます。
また医師は、患者の既往歴を調べ、身体検査を実施することがあります。
必要があれば、診断を確定する、また可能性を排除するために、以下の様な追加の検査を行うことがあります。
<危険の有無>
早朝高血圧がある人は、早朝の血圧値が正常な人と比べ、心血管イベントリスクが高くなります。
早朝高血圧を抑制することで、心臓発作や脳卒中、その他心血管イベントリスクを減らすことができます。
<治療>
早朝高血圧の治療には、根本原因への対処が含まれます。
もし根本の健康障害が原因である場合は、その疾患を治療することで早朝高血圧の減少に役立つ可能性があります。
降圧薬の問題により早朝高血圧が起きている場合、医師に問題を解決してもらう必要があります。
これには、用量や薬の服用時間の変更が含まれることがあります。
場合によっては、医師が追加の薬の服用を進めることもあります。
一部の人は、特定のライフスタイル要因が原因で早朝高血圧を発症します。
特定の食事や運動、もしくは禁煙に関する情報を、医師に確認してみましょう。
まだ降圧薬を服用していない人は、服用を開始する必要があるかもしれません。
<予防と抑制>
健康的なライフスタイルを送ることで、早朝や、1日の他の時間に起こる高血圧の抑制に役立ちます。
高血圧を管理することで、心臓発作や脳卒中などの合併症リスクを低下させる効果があります。
健康的なライフスタイルには、次のようなものが含まれます。
<まとめ>
血圧は日中から夜、1日をかけて変動し、朝方には自然に上昇します。
しかし、朝の血圧値が異常に高い場合、心血管イベントリスクが高いことを示しているかもしれません。
血圧を慎重に観察することで、その人の早朝高血圧発症傾向に気付くことができます。
健康的なライフスタイルを送り、迅速な治療を行うことで、心臓発作や脳梗塞、その他の高血圧の合併症予防に役立ちます。
出典:2019年11月28日更新 Medical News Today『What does high blood pressure in the morning mean?』(2019年12月13日に利用)
https://www.medicalnewstoday.com/articles/327151.php#summary
しかし、朝に血圧が異常に上がる人がたくさんいます。
医師はこれを、早朝高血圧と呼んでいます。
早朝高血圧は、心臓発作や脳卒中リスクを高めることがあります。
このような医療措置を必要とする緊急事態は、血圧が上昇する早朝に起こることが多いのです。
本記事では、早朝高血圧の原因や影響を探っていきます。
また、症状を予防したり抑制する方法についても、併せて話していきます。
<正常な血圧パターン>
血圧とは、心臓が循環系に血液を送る力を指しています。
血圧には次のような、いくつかの要因が影響することがあります。
- ストレスや不安
- 身体活動
- 食事
血圧を測る時、測定値として二つの数字が表れます。
上の数字は収縮期血圧であり、心臓が収縮する時の圧力を示しています。
下の数字は拡張期血圧であり、心臓が弛緩する時の圧力を示します。
血圧測定器では、水銀柱ミリメートル(mm Hg)と呼ばれる測定単位を用い、血管内の圧力を測ります。
正常な血圧は、120/80 mm Hg以下です。
測定値が120/80 mm Hgから139/89 mm Hgの間にあると、高血圧発症リスクがあることを示しています。
そして、測定値が140/90 mm Hg以上になると、高血圧の診断が下ります。
血圧は、日中から夜にかけて上下します。
寝ている間、血圧は10~30%下がります。
その後起床時間が近くなると、また上昇します。
一部の人はこの上昇率が大きくなり、早朝高血圧を引き起こします。
異常な血圧パターンがある人には、心臓発作や脳卒中などの合併症リスクがある可能性があります。
2010年の研究レビューでは、脳卒中やその他深刻な心イベントは、起床後最初の4~6時間で最も高くなると述べられています。
<原因>
早朝高血圧の潜在原因には、次のようなものがあります。
●薬
人によっては、高血圧を抑制するために降圧薬を服用します。
2018年の研究レビューによると、
早朝高血圧のコントロール不全は、こうした薬の用量や種類に問題によって引き起こされている可能性があると言います。
特に、早朝高血圧は以下のいずれか一つ、もしくは複数の要因が組み合わさって起きている可能性があります。
- 服用中の薬の用量が低すぎる
- 長時間作用型ではなく、短時間作用型もしくは即効型の薬を服用している
- 複数の薬の配合薬ではなく、1種類の降圧薬のみを服用している
人によっては、朝よりも就寝前に薬を飲んだ方が、血圧コントロールが上手く行くと感じる人もいるかもしれません。
もしくは、1日の用量を分割し、半分を朝に、もう半分を就寝前にに飲む必要がある人もいるでしょう。
場合によっては、降圧薬の種類をすべて変更する必要があるかもしれません。
薬に変更を加える前に、医師に相談することが大切です。
●健康障害
特定の健康障害は、高血圧リスクを高めることがあります。
これには次のようなものがあります。
- 未治療の高血圧
- 高コレステロール
- 循環器疾患
- 閉塞性睡眠時無呼吸
- 糖尿病
- 甲状腺障害
- クッシング症候群
- 狼瘡
- 強皮症
- 腎臓病
●生活習慣要因
特定の生活習慣要因も、高血圧リスクを上げることがあります。
例としては、以下の通りです。
- 喫煙
- 過度の飲酒
- 塩分や飽和脂肪の多い食事
- 運動不足
●リスクがある人
以下の要因は、早朝高血圧発症リスクを上昇させることがあります。
- 65歳以上である
- アフリカ人もしくはカリブ人である
- 高血圧を患う親戚がいる
- 過体重もしくは肥満がある
- 飲酒
- 喫煙
- 不安や過度のストレス
- 睡眠不足
- 夜間シフト勤務など、睡眠の妨げがある
<血圧を測定するタイミングおよび測定方法>
自宅の血圧測定器を定期的に使用することで、自分の血圧変動をより良く理解することができます。
また、早朝高血圧の発症を特定することができます。
アメリカ心臓協会(AHA)は、袖口式血圧測定器の使用を推奨しています。
このタイプの装置は、指や手首に付けるタイプの測定器よりも正確な結果を示します。
AHAはまた、自宅での血圧測定において次のガイドラインを提供しています。
- 膀胱を空にする
- 血圧測定前は5分間、快適で静かな状況で休憩する
- 血圧測定前の30分間は、喫煙や飲酒、運動を控える
- 毎日同じ時刻に測定する
- 背筋をまっすぐ伸ばして座り、脚を組まず、足の裏を床に付ける
- 上腕が心臓の位置に来るよう、腕を平らな表面に置く
- 装置に付いた袖口のボタンが丁度ひじのしわにくるように、袖口を腕にあてがう
- 約1分間の間隔を空け、2~3回測定する。その後平均値を計算する
- 医師が最適な治療方法を判断するのに役立つため、全ての測定値の記録を残しておく
<症状>
高血圧は、血圧が危険な程高い場合でも、通常何も症状を引き起こしません。
高血圧がある人には、特定の症状がより一般的に見られることはあります。
しかし、こうした症状は直接高血圧が原因で起こる訳ではない場合もあります。
これには、以下のような症状があります。
- 目の中の血斑
- 顔の紅潮
- めまい
<診断>
早朝高血圧の診断には、通常その人が自己報告した測定値を使用します。
この測定値によっては、医師が24時間の血圧モニタリング検査を推奨することがあります。
検査では、1日中昼から夜まで血圧を測定する装置を身に付けます。
また医師は、患者の既往歴を調べ、身体検査を実施することがあります。
必要があれば、診断を確定する、また可能性を排除するために、以下の様な追加の検査を行うことがあります。
- 心臓の超音波検査である心エコー図
- 心臓の電気的活動を追跡する心電図(EKG)
- 血液検査
- 尿検査
<危険の有無>
早朝高血圧がある人は、早朝の血圧値が正常な人と比べ、心血管イベントリスクが高くなります。
早朝高血圧を抑制することで、心臓発作や脳卒中、その他心血管イベントリスクを減らすことができます。
<治療>
早朝高血圧の治療には、根本原因への対処が含まれます。
もし根本の健康障害が原因である場合は、その疾患を治療することで早朝高血圧の減少に役立つ可能性があります。
降圧薬の問題により早朝高血圧が起きている場合、医師に問題を解決してもらう必要があります。
これには、用量や薬の服用時間の変更が含まれることがあります。
場合によっては、医師が追加の薬の服用を進めることもあります。
一部の人は、特定のライフスタイル要因が原因で早朝高血圧を発症します。
特定の食事や運動、もしくは禁煙に関する情報を、医師に確認してみましょう。
まだ降圧薬を服用していない人は、服用を開始する必要があるかもしれません。
<予防と抑制>
健康的なライフスタイルを送ることで、早朝や、1日の他の時間に起こる高血圧の抑制に役立ちます。
高血圧を管理することで、心臓発作や脳卒中などの合併症リスクを低下させる効果があります。
健康的なライフスタイルには、次のようなものが含まれます。
- ナトリウムや精製糖、飽和脂肪の少ないバランスの取れた食事をとる
- 飲酒量の制限する
- タバコを避ける
- 毎週90~150分運動する
- BMI値を18.5~24.9の範囲に維持する
- ヨガや瞑想などのストレス管理およびリラクゼーション方法を実践する
- 処方通りに降圧薬を服用する
- 高血圧に寄与する可能性のある、根底の健康障害を治療する
<まとめ>
血圧は日中から夜、1日をかけて変動し、朝方には自然に上昇します。
しかし、朝の血圧値が異常に高い場合、心血管イベントリスクが高いことを示しているかもしれません。
血圧を慎重に観察することで、その人の早朝高血圧発症傾向に気付くことができます。
健康的なライフスタイルを送り、迅速な治療を行うことで、心臓発作や脳梗塞、その他の高血圧の合併症予防に役立ちます。
出典:2019年11月28日更新 Medical News Today『What does high blood pressure in the morning mean?』(2019年12月13日に利用)
https://www.medicalnewstoday.com/articles/327151.php#summary