果物や野菜を摂ると大腸がんリスクが下がるメカニズム
大腸がんの予防治療としてのアスピリンを初めて調査したとある研究では、果物や野菜がこの疾患の発症リスクを減少させる理由の根拠となり得るメカニズムが、偶然発見されました。
世界中で、毎年100万人以上が大腸がんの診断を受けています。
米国では、がんによる死亡の3番目に多い原因となっています。
専門家らは2019年、米国だけでも、結腸がんの新規症例数は101,420件、直腸がんの新規症例は44,180件となると推定しています。
また彼らは、2019年の大腸がんによる死者数は51,020人となると予測しています。
大腸がんの危険因子には、牛肉や羊肉、豚肉などの赤身肉や、ホットドッグなどの加工肉といった、特定の食事要因が含まれます。
その他の危険因子には、過体重や肥満であることが挙げられます。
現在研究者らによって、フラボノイド代謝物が大腸がんを予防する可能性があることがわかりました。
この化合物は、ブラックベリー、ブルーベリー、赤ブドウ、リンゴ、赤玉ねぎ、ブロッコリー、ザクロ、イチゴ、アプリコット、赤キャベツ、紫色のナスの皮、チョコレートやお茶などの果物や野菜に含まれています。
<アスピリンから果物へ>
ブルッキングスにあるサウスダコタ州立大学のジャヤラマ・グナヘ准教授らは、当初、がんを予防する方法としてアスピリンを研究していました。
研究の中で、フラボノイドに関する新たな情報、およびフラボノイドが大腸がんの予防に役立つ可能性に関する詳細が明らかになりました。
彼らは最近、Cancers誌でこの調査結果を発表しています。
過去の研究では、果物や野菜に含まれる天然化合物であるフラボノイドががんを抑制することが確認されていましたが、その理由についてはわかっていませんでした。
「私たちの研究室では10年以上にわたって、大腸がんの発症を減少させることが知られているアスピリン(アセチルサリチル酸)によるがん予防のメカニズムに取り組んできました。」と、グナヘ氏はMedicalNewsTodayへの取材に対して説明しています。
「この現象を調査する中で、私たちはアスピリン代謝物およびその他サリチル酸の歯生物が、がん細胞の増殖を阻害する能力についての実験を行っていました。」
この過程で研究チームは、腸内細菌がフラボノイドを分解するときに生成される化合物である2,4,6-トリヒドロキシ安息香酸(2,4,6-THBA)が、細胞分裂に関与する酵素を阻害することを発見しました。
グナヘ氏は、「興味深いことに、2,4,6-THBAは赤ワインにも少量含まれています。恐らく、発酵プロセス中にブドウのフラボノイド化合物が分解することによるものです。」と付け加えています。
「この発見に感化され、私たちは2,4,6-THBAがフラボノイドのがん予防特性に寄与する可能性があるという仮説を立てました。その後の実験により、2,4,6-THBAは機能的輸送タンパク質(SLC5A8)を発現する細胞のがん細胞増殖を阻害することが証明されました。」と、グナヘ氏は言います。
「このようにして、元々はアスピリンを調査する目的であった研究が、フラボノイド化合物の研究につながったのです。」
<新しい治療法への道を開く>
「がんの治療薬はたくさんありますが、予防薬はほとんど皆無であると言えるでしょう。」と、グナヘ氏は言います。
「がんは自然に無くなることは無いため、予防法を見つける必要があります。そのため、がん細胞の増殖を阻害する2,4,6-THBAの発見に興奮しています。」
彼らは実験室で増殖した複数のヒトのがん細胞株を使用して、2,4,6-THBAががん細胞の増殖を効果的に阻害することを見出しました。
研究者らは、アスピリンに含まれるサリチル酸の派生物である2,4,6-THBAががん細胞の成長を阻害する可能性があることを確認した後は、このがん予防化合物を含む天然供給源を探し始め、結果フラボノイドにたどり着きました。
彼らの理論は、大腸がんを減少させるのは親化合物ではなく、フラボノイドの分解によるものであるというものでした。
「しかし、動物モデルではこの結果は確認されていません。これが、この研究の限界点です。」と、グナヘ氏はMNTへの取材の中で説明しています。
とは言え、研究者らは、がん細胞阻害剤としての2,4,6-THBAの有効性を実証することが不可欠であると主張しています。
「この化合物はがん予防薬として使用できる可能性があると考えていますが、さらなる研究(動物実験や臨床試験などの)を行う必要があります。」と彼は述べました。
「腸内細菌叢は腸内におけるフラボノイド分解に関わるため、私たちは現在、2,4,6-THBAを生成できる特定の細菌種を特定しようとしています。このような細菌は、(既に市販されている)フラボノイドサプリメントと併せて、プロバイオティクスとして使用することで、がん予防効果が期待できます。」
グナヘ氏は、フラボノイド成分を含む果物や野菜を食事に取り入れることが不可欠であると繰り返し述べ、これを研究の結論としました。
出典 2019年12月26日更新 Medical News Today『How do fruit and veg reduce colorectal cancer risk?』(2020年1月6日に利用)
https://www.medicalnewstoday.com/articles/327307.php#6
世界中で、毎年100万人以上が大腸がんの診断を受けています。
米国では、がんによる死亡の3番目に多い原因となっています。
専門家らは2019年、米国だけでも、結腸がんの新規症例数は101,420件、直腸がんの新規症例は44,180件となると推定しています。
また彼らは、2019年の大腸がんによる死者数は51,020人となると予測しています。
大腸がんの危険因子には、牛肉や羊肉、豚肉などの赤身肉や、ホットドッグなどの加工肉といった、特定の食事要因が含まれます。
その他の危険因子には、過体重や肥満であることが挙げられます。
現在研究者らによって、フラボノイド代謝物が大腸がんを予防する可能性があることがわかりました。
この化合物は、ブラックベリー、ブルーベリー、赤ブドウ、リンゴ、赤玉ねぎ、ブロッコリー、ザクロ、イチゴ、アプリコット、赤キャベツ、紫色のナスの皮、チョコレートやお茶などの果物や野菜に含まれています。
<アスピリンから果物へ>
ブルッキングスにあるサウスダコタ州立大学のジャヤラマ・グナヘ准教授らは、当初、がんを予防する方法としてアスピリンを研究していました。
研究の中で、フラボノイドに関する新たな情報、およびフラボノイドが大腸がんの予防に役立つ可能性に関する詳細が明らかになりました。
彼らは最近、Cancers誌でこの調査結果を発表しています。
過去の研究では、果物や野菜に含まれる天然化合物であるフラボノイドががんを抑制することが確認されていましたが、その理由についてはわかっていませんでした。
「私たちの研究室では10年以上にわたって、大腸がんの発症を減少させることが知られているアスピリン(アセチルサリチル酸)によるがん予防のメカニズムに取り組んできました。」と、グナヘ氏はMedicalNewsTodayへの取材に対して説明しています。
「この現象を調査する中で、私たちはアスピリン代謝物およびその他サリチル酸の歯生物が、がん細胞の増殖を阻害する能力についての実験を行っていました。」
この過程で研究チームは、腸内細菌がフラボノイドを分解するときに生成される化合物である2,4,6-トリヒドロキシ安息香酸(2,4,6-THBA)が、細胞分裂に関与する酵素を阻害することを発見しました。
グナヘ氏は、「興味深いことに、2,4,6-THBAは赤ワインにも少量含まれています。恐らく、発酵プロセス中にブドウのフラボノイド化合物が分解することによるものです。」と付け加えています。
「この発見に感化され、私たちは2,4,6-THBAがフラボノイドのがん予防特性に寄与する可能性があるという仮説を立てました。その後の実験により、2,4,6-THBAは機能的輸送タンパク質(SLC5A8)を発現する細胞のがん細胞増殖を阻害することが証明されました。」と、グナヘ氏は言います。
「このようにして、元々はアスピリンを調査する目的であった研究が、フラボノイド化合物の研究につながったのです。」
<新しい治療法への道を開く>
「がんの治療薬はたくさんありますが、予防薬はほとんど皆無であると言えるでしょう。」と、グナヘ氏は言います。
「がんは自然に無くなることは無いため、予防法を見つける必要があります。そのため、がん細胞の増殖を阻害する2,4,6-THBAの発見に興奮しています。」
彼らは実験室で増殖した複数のヒトのがん細胞株を使用して、2,4,6-THBAががん細胞の増殖を効果的に阻害することを見出しました。
研究者らは、アスピリンに含まれるサリチル酸の派生物である2,4,6-THBAががん細胞の成長を阻害する可能性があることを確認した後は、このがん予防化合物を含む天然供給源を探し始め、結果フラボノイドにたどり着きました。
彼らの理論は、大腸がんを減少させるのは親化合物ではなく、フラボノイドの分解によるものであるというものでした。
「しかし、動物モデルではこの結果は確認されていません。これが、この研究の限界点です。」と、グナヘ氏はMNTへの取材の中で説明しています。
とは言え、研究者らは、がん細胞阻害剤としての2,4,6-THBAの有効性を実証することが不可欠であると主張しています。
「この化合物はがん予防薬として使用できる可能性があると考えていますが、さらなる研究(動物実験や臨床試験などの)を行う必要があります。」と彼は述べました。
「腸内細菌叢は腸内におけるフラボノイド分解に関わるため、私たちは現在、2,4,6-THBAを生成できる特定の細菌種を特定しようとしています。このような細菌は、(既に市販されている)フラボノイドサプリメントと併せて、プロバイオティクスとして使用することで、がん予防効果が期待できます。」
グナヘ氏は、フラボノイド成分を含む果物や野菜を食事に取り入れることが不可欠であると繰り返し述べ、これを研究の結論としました。
出典 2019年12月26日更新 Medical News Today『How do fruit and veg reduce colorectal cancer risk?』(2020年1月6日に利用)
https://www.medicalnewstoday.com/articles/327307.php#6