概日時計は癌の経路にどう影響?
Scripps Research Institute(TSRI)の科学者たちが率いる新しい研究では、癌成長に影響を及ぼす日々の「概日」時計に関わるタンパク質の予期せぬ役割について説明しています。
Journal Molecular Cellに最近掲載されたこの研究は、概日リズムの混乱がcYCと呼ばれる重要な癌に関連するタンパク質の値をチェックしないことを示唆しています。
TSRIの生物学者でこの研究の上級著者であるカチャ・ラミア博士は、「これは、概日リズムと癌との関係に大きな影響を及ぼすと思われる。」と述べています。
シフト作業などでの頻繁な時間ぼけが人の癌のリスクを高めることがあり、毎日のリズムと細胞増殖の間の関連を示唆する証拠が増えています。
「この関係が存在することはわかっているが、理由までは分かっていません。」とラミア博士は語りました。
研究者らは、光を感知し、日光によって引き起こされるDNAの損傷を修復する細菌タンパク質から進化したクリプトクロムと呼ばれるタンパク質に焦点を当てました。ヒトにおいてはCRY1およびCRY2と呼ばれるこれらのタンパク質が、毎日、何時に疲れたり、空腹になったりすることに影響を及ぼす概日時計を調節します。
研究者らは、マウスモデルの細胞を用いて、CRY2を発現する遺伝子を欠失させることにより、細胞がcMYCと呼ばれるタンパク質を分解する能力を低下させることを実証しました。
研究者らは、 CRY2が正常レベルに保たれていないと、癌に見られる異常な増殖と同様に、細胞増殖の増加が見られました。
タンパク質構造のさらなる研究は、CRY2が、分解のためのcMYCを「マークする」過程における鍵となる働きをすることを示唆しました。
研究者らは、多くの他のクリプトクローム機能のように、タンパク質が既に産生された後、遺伝子の転写中ではなく、転写後にこのプロセスが起こることが重要であると述べました。
TSRI研究員のアンロウ・ヒューバ博士は、「これは以前には見られなかった概日タンパク質の機能です。」と述べました。
研究者らは、人間の組織における概日時計と癌との、この関係を確認するために、より多くの研究が必要であると述べています。
(記事元)http://medicalxpress.com/news/2016-11-circadian-clock-cancer-pathway.html#nRlv