武漢の新型ウイルスについて今知っておくべきこと
2020年1月23日(HealthDay News)- 中国が自国内、および他の国々に急速に広がる新しいコロナウイルスの発生を封じ込めようと急いでいますが、米国の感染症の専門家は新興ウイルスに関する疑問に回答しています。
中国で流行している新型コロナウイルスとは何ですか?
コロナウイルスは、風邪の4症例のうちの約1症例の原因となるウイルスの大きなファミリーだとボルチモアにあるジョンズ・ホプキンス健康安全センターの上級学者であるアメシュ・アダルヤ博士は述べました。
SARSやMERSなどの一部のコロナウイルスは、より危険であり、生命を脅かす肺炎につながる深刻な症状を引き起こします。
『2019-nCoV』と名称がついたこの新しいコロナウイルスは、中国の武漢で最初に出現しました。
武漢は、北京から約700マイル(約1,126km)南に位置する主要な輸送ハブで、人口は1,100万人を超えています。
アメリカの公共放送サービスであるPBSによると、中国は昨年12月30日にウイルスの発生を報告し、武漢での症例数は600件を超えています。
ウイルスは動物、潜在的にヘビから発生して人間に飛びうつった考えられています。
流行の初期に診断された患者の多くは、武漢の大規模なシーフードと生きた動物を扱う市場と何らかの関連があったと米国予防接種呼吸器センターのナンシー・メッソニエ博士は述べました。
遺伝子分析により、新しいコロナウイルスがSARSおよびMERSに類似していることが示されているため、保健当局は懸念しています。
症状には、発熱、咳、呼吸困難などがあります。
「これらは私たち人間にとっては新しいウイルスです。」
と、米国感染症学会のトーマス・ファイル博士は述べています。
「私たちはそれらに免疫がないため、深刻な病気を引き起こす傾向があります。」
ウイルスの感染力はどのの程度?命にかかわる?
ウイルスが人々の間でどれほどの強さで感染し、どれほど危険であるかを伝えるのは時期尚早ですが、専門家は初期の兆候は心強いものだと言います。
「人から人への感染が発生しましたが、持続しない可能性があります。つまり、三次的な症例はありません。」
とアダルジャ氏は述べました。
重要なことは、症状を発現する前に、新しいウイルスを感染させる可能性があるかどうかであり、そのことがウイルスの広がりを抑えるための対策での大きな妨げとなるでしょう。
「インフルエンザのようなこれらのウイルス感染の多くは、症状が出る前に伝染する可能性があります。」
とファイル博士は述べています。
「さほど具合が悪くなくても、ウイルスを感染させる可能性があります。」
とりわけ、SARSは患者が症状を発症するまで個人間では感染しなかったとファイル博士は述べています。
この新型ウイルスがその特性を共有している場合は、封じ込めるのは簡単です。
中国は、このウイルスに感染した人の中で18人が死亡したと報告しており、これは約3%の死亡率だとファイル博士は述べました。
比較すると、SARSの死亡率は約10%、MERSは約35%です。
中国での死者は主に、すでに合併症のリスクが高い他の疾患がある年配の男性であったようです。これらの疾患には、肝硬変、高血圧、糖尿病、パーキンソン病などがあります。
中国はウイルスを封じ込めるために何をしているのか?
PBSは、中国当局がウイルスの拡散を食い止めるために、1800万人以上の人々が住んでいるいくつかの都市を閉鎖したと報告しています。
武漢の空港と鉄道駅は木曜日に閉鎖され、中国は近くの黄港と鄂州の鉄道駅が金曜日までに閉鎖されることを発表しました。
フェリー、地下鉄、バスのサービスは停止され、劇場やインターネットカフェなど、人が集まる場所は閉鎖されました。
中国はまた、土曜日に行われる旧正月の大規模な祝祭を取りやめたと伝えているとファイル博士は述べました。
「このコロナウイルス株がSARSのような動きをする場合、人々を隔離し移動を制限することは、ウイルスの拡散を減らすことに大きな影響を与えるはずです。」
とファイル博士は述べました。
米国の保健当局はどのように準備しているのか?
米国疾病管理予防センター(CDC) は、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ニューヨーク、アトランタ、シカゴの5つの米国の都市の主要空港に保健当局を配置しています。
中国中部からのすべてのフライトは、これらの空港のいずれかを経由するため、中国からのすべての旅行者はウイルスの兆候がスクリーニングされます。
CDCはまた、ウイルスへの対応を支援するために緊急オペレーションセンターを発動し、全国の保健部門と病院に警報を送りました。
CDCでは、中国の研究者が共有するウイルスの遺伝分析を備えており、米国で発生する可能性のあるあらゆる症例を確認することができます。また地元の保健当局と共有できるテストの開発に取り組んでいます。
ファイル博士によると、コロナウイルスに対するワクチンは存在せず、すぐに予防接種が使用できる可能性はありません。
彼は、ウイルスが2012年に最初に報告されたMERSのワクチンは、今現在で、臨床試験にやっと入っていると指摘しています。
また、タミフルがインフルエンザ患者に対して行っているような、患者の症状を最小限に抑えるために利用可能な抗ウイルス薬がありません。
しかし、医薬品メーカーのノババックス社 (Novavax, Inc.)は、コロナウイルスのワクチンの開発にすでに取り組んでいると発表しました。
コロナウイルスに感染した1人の患者がCDCのスクリーニングが実施される前に米国に入国し、米国内で最初の症例となっています。
ワシントン州スノホミッシュ郡に住むこの30代の男性は、1月15日に武漢からの直行便でシアトル・タコマ国際空港に到着しました。
中国で感染したのではないかと思った彼は1月19日に症状が出て医師へ連絡しました。
CDCの職員は翌日までに彼の症例を確認しました。
保健当局は、健康状態が良く公衆衛生上の脅威とは思われないものの、この男性と密接に接触している16人を監視しています。
彼は、念のため、ワシントン州エベレットのプロビデンス地域医療センターで隔離されています。
自分自身と家族を守るために何ができるのでしょうか?
コロナウイルスを心配している人々は、他のウイルスの拡散の予防と同様に、下記のような同じような衛生管理を実践する必要があると専門家は言います。
・定期的に手を洗ってください。
・目、鼻、口に、直接手が触れないように注意してください。
・皿、コップ、または食器を他の人と共有したり、他の人が使用したティッシュペーパーやハンカチは直接触らないでください。
・病気の人との接触を避けてください。
新型コロナウイルスは他の疾患を抱える人々がかかりやすいように思われるため、自分自身、そして周りの愛する人々を守るためにインフルエンザの予防接種を受けることも考慮すべきだとファイル博士は付け加えています。
【以下のリンクより引用】
What You Need to Know Now About the Wuhan Virus
Health Day