母方および父方の炎症性疾患は妊娠の結果に影響を与える可能性
2021年の欧州リウマチ学会 (EULAR)会議で発表されたデータによると、関節リウマチ(RA)に罹患する女性は、特に早産や低出生体重児といった、妊娠の結果に悪影響を与えるリスクが高くなっています。
炎症性関節炎の男性がパートナーである場合、出生率が低く、流産する可能性が高いことも初めて示されました。
ただし、疾患活動性、抗リウマチ治療の種類とタイミング、およびこれらの結果のリスクの間の関連性は不明なままです。
カリン・ヘルグレン氏と同僚らは、RAの女性の疾患活動性と抗リウマチ治療に関連した妊娠の結果を調査しました。
スウェーデンとデンマークからのこの一致したコホート研究では、妊娠前および妊娠中の母親の病気の活動と抗リウマチ治療の使用に関連して、母親のRAと早産(PTB)、または低出生体重児(SGA)との関連を調査しました。
著者らは、全国の医療出生記録とリウマチ記録を使用して、RAに罹患する女性1,739人の妊娠、そして、17,390人一般集団を対照とし妊娠時の状況を管理しました。
全体として、RAの女性は早産になったり、低体重児を出産する可能性が高くなりました。
妊娠中にRAが活発であった場合は、PTBとSGAの両方との関連が強まりました。
抗リウマチ治療の種類によって結果を層別化しても、結果は実質的に変化しませんでした。
ただし、妊娠前の9か月間での経口ステロイド剤、および/またはcsDMARD(従来型抗リウマチ薬)との併用療法は、PTBおよびSGAのリスク増加と関連していました。
妊娠中、RAであった女性では、疾患活動性がPTBおよびSGAの最も重要な危険因子であるように思われます。
調査結果は、特に広範囲の治療を受けている女性、または残存疾患活動のある女性においては、妊娠中のRAをモニタリングすることの重要性を強調しています。
しかし、妊娠の結果に影響を与える可能性があるのは、母体の基礎疾患だけではありません。
父親が高齢であること、精子DNAの完全性、および特定の遺伝的欠陥は、妊娠転帰の悪化と関連していますが、炎症性関節炎の男性が妊婦のパートナーであることは非常に稀です。
EULAR 2021で発表された別の要約では、ルイス・フェルナンド・ペレス‐ガルシア氏と同僚は、この疑問を調べるために8軒のオランダの病院で『多施設横断的後ろ向き研究』を実施しました。
合計で、40歳以上の関節リウマチ、若年性特発性関節炎、脊椎関節炎の男性628人が研究に招待され、妊娠関連、人口統計学的、臨床的質問を含んだデジタルアンケートに参加しました。
父親の炎症性関節炎の診断が妊娠の発覚前か発覚後といった2つのグループに分類されました。408人の男性が897件の妊娠を報告し、うち出産までたどり着いたのは794人でした。
父親が炎症性関節炎と診断後に妊娠した場合では、妊娠時の父親と母親の平均年齢が高く、自然妊娠の割合が低いことがわかりました。
炎症性関節炎の診断を受けた後に妊娠した場合、出生率が低く(86.36%対89.22%)、流産率が大幅に高い(12.27%対7.53%)ことがわかりました。
中絶、早産、妊娠合併症の発生率について、2つのグループ間に統計的に有意な差はありませんでした。
これは、炎症性関節炎と診断された男性がパートナーである場合の妊娠の特徴と結果を説明する最大の研究であり、父親の病気が流産のリスクが高いことを示した初めての研究です。
これらの発見を裏付けるには、更なる前向き研究が必要です。
【以下のリンクより引用】
Maternal and paternal inflammatory disease can affect pregnancy outcomes
News medical Net