母親の職場での溶剤の使用と子供の自閉症との結びつき
2019年6月27日(HealthDay News) - 職場で溶剤化学薬品を使用することが多い母親の子供たちは、
自閉症のリスクが高いように思われるという新しい研究があります。
この約1,000世帯の家族で行った研究では原因と結果を証明することができませんが、研究者は自閉症の子供の母親は、
自閉症のない子供の母親よりも頻繁に溶剤にさらされたことを報告しています。
全体として、溶剤にさらされた母親は自閉症の子供を持つ可能性が1.5倍高かったのです。
また、溶剤以外の他の化学物質を使用していても、子供の自閉症リスクには影響がないようだと研究では見出されています。
「この研究は、自閉症スペクトラム障害の潜在的な危険因子として『溶媒』を同定した以前の報告と一致します。」
とエリン・マッカニーズ博士が率いる研究チームは述べました。
彼女は米国労働安全衛生研究所にある、健康影響研究室に所属しています。
研究に関与していなかったある自閉症専門家は、立ち止まって考えることだと述べました。
「溶剤と自閉症スペクトラム障害との間に弱い関連があったという事実は懸念すべきことであり、否定できません。」
と、アメリカ・ニューヨーク州ニューハイドパークにあるコーエンチルドレンズメディカルセンターで小児・青年期精神医学を指揮する
アンドリュー・アデスマン博士は述べました。
しかし彼は、この分析のために必要な調整が行われたときでの関連が統計的に有意ではなかったことを強調しました。
一方、調査サンプルは比較的少なかったため、調査人口が多くなればなるほど、強い関連性がある可能性があるとアデスマン博士は述べました。
この研究で、マッカニーズ博士の研究チームは、自閉症の子供たち537人の両親、および自閉症のない子供たち414人の両親の個人的、健康、
および職歴に関する情報を分析しました。
これには、妊娠の3か月前から子供の誕生までに750人の母親と891人の父親が16か所の職場での、化学物質または他の神経学的異常や
先天的異常に関連する物質の使用状況の調査が含まれていました。
薬剤には、医薬品、金属、農薬、麻酔薬、アスファルト、ブレーキ液、プラスチックおよびポリマー、放射線、洗剤/消毒剤、ならびに塗料、脱脂剤
およびその他の化学薬品などの溶剤が含まれていました。
自閉症の子供の母親は自閉症のない子供の母親よりも頻繁に溶剤に触れていました。
女性の職場においての、長期で中等度の溶剤の使用は、自閉症の子供が生まれるリスクをほぼ倍増させることと
関連していると研究チームは指摘しました。
この研究によれば、母親と父親の間で職場で他の物質を使用しても自閉症の子供を持つリスクの増加とは関連していませんでした。
この調査結果は、6月27日にジャーナル『Occupational&Environmental Medicine』のオンライン版で発表されました。
溶媒は皮膚や肺を通して吸収される可能性があり、脳内を含む多くのものが体内に残ると、研究者らは説明しました。
ケネス・スペース博士は、ニューヨーク州グレートネックにあるノース・ショア・LIJ・ヘルス・システムで産業医学および環境医学の責任者です。
彼は、それが自閉症スペクトラム障害のための環境危険因子の潜在的役割に関して科学文献の本体に、重要な情報を追加すると述べました。
「これらの溶媒の多くは脳や神経系に損傷を与えることが知られていますが、親がそれを使用することがどのように自閉症スペクトラム障害を
引き起こすかについての正確なメカニズムは解明されていません。」
とスペース博士は付け加えました。
もっと研究が必要だと彼は言いますが、その一方で、親になる人と、これらの溶媒を取り扱う人々へのこれらの化学物質についての注意を促すものとなるでしょう。
最近のデータでは、米国では68人の子供に1人が自閉症であることが示唆されています。
【以下のウェブサイトより引用】