消防士の燃え尽き症候群と睡眠障害や精神的な健康問題の関連
燃え尽きたと感じる消防士にはよく睡眠の問題がみられます。
これはまた、精神的疲労や、感情枯渇（疲れ果てた状態）などの健康問題のリスクを増大させると研究者らは言います。
米国の消防士の半数近くが、燃え尽き症候群やそれに伴う健康問題を抱えている可能性が高いと研究著者らはJournal of
Sleep Research誌で
報告しています。
この研究を主導した、オーストラリアのノッティングヒルにあるモナッシュ大学脳研究所のアレクサンダー・ウォルコウ博士は、次のように述べています。
「燃え尽き症候群は、労働者らがサービスを提供する人々、およびその組織、そして個々の労働者には、欠勤の増加や転職、健康上の問題、
パフォーマンスの低下などの結果をもたらし、悪影響を及ぼす可能性があります。」
「緊急時に地域を支援するために消防士が果たす重要な役割を考えると、これらの人々の健康を増進させるためには、
燃え尽き症候群を引き起こす要因を特定することが重要です。」
ウォルコウ博士らは66軒の消防署で6,300人以上の北米消防士を調査し、燃え尽き症候群の調査を行いました。
その調査では、消防士が助ける不特定多数の人々に対しての感情的な疲労感、そして個人の個人的な達成感についての質問が行われました。
消防士は睡眠障害についてもスクリーニングされ、うつ病、不安神経症または心的外傷後ストレス障害などの現在の精神的な健康状態について報告しました。
睡眠に関してはよく休めたと思う睡眠量について、一晩または24時間交代勤務後、 就業日のシフト中、そして2日以上仕事を休んだ後の
１日の睡眠時間を尋ねました。
調査では、消防士の49％が夜間または24時間交代勤務時には6時間以下の短睡眠だったことを報告し、
32％が夜間または24時間交代後での短睡眠だったことが報告されました。
3分の1以上の消防士が睡眠障害、特に『閉塞性睡眠時無呼吸』または不眠症についての検査で陽性でした。
消防士の約半数という高い割合で燃え尽き症候群が見られました。
不眠症について陽性と診断された人々は、感情的な疲労があるために、
睡眠障害のない人々と比べそのリスクが3倍でした。
現在の精神的健康状態があると報告した人々もまた、感情的枯渇のリスクを3倍にしていました。
眠気や睡眠不足は、たとえ睡眠障害のない人々の間でも、燃え尽き症候群、感情枯渇、脱人格化および達成感の低下といったリスクの増加と関連していました。
同時に、研究チームは、消防士が夜間または24時間体制で勤務していた期間に十分な睡眠をとることがこれらのリスクを低下させることを発見しました。
研究者らは、これらの交代勤務時の睡眠量が、燃え尽き症候群と睡眠障害または精神的健康状態との関連の主な要因であるとし、一晩勤務の交代後、または休みの間に睡眠時間を増やすよりも重要であると計算しました。
ウォルコウ博士は次のように述べています。
「この発見は、夜間のシフト中に睡眠の機会を最大化することが、燃え尽きる危険性を減らすための1つの可能な方法であることを
示唆することができるので、興味深いです。」
これらの調査結果は、夜間に電話をかけなければならない人やストレスの多い仕事をしている人を含む、他の労働者に対しても役立つ可能性があると彼は述べました。
研究に関わらないフロリダ州立大学タラハシー校のメラニー・ホム博士は、次のように述べています。
「燃え尽き症候群は、介入により防止できる可能性のある要素であることに注意することも重要です。」
これには、不眠症に対する認知行動療法などの投薬以外の選択肢も含まれる可能性があるとホム博士は付け加えました。
また同様に研究に関わっていない、ヘルシンキ大学のキア・グルシュコフ博士は、次のように述べています。
「瞑想などのマインドフルネスを実践すると、生理的ストレス反応性が低下し、ストレスに対する回復力が高まる可能性があります。」
「教育や消防などの公務員の職業では、しばしば感情的な負担を強いられるストレスがかかり、これらの職場で働く労働者はストレスの蓄積が
『燃え尽き症候群』に変わるのを防ぐためにストレスを和らげる必要があります。」
グルシュコフ博士はまた、次のように述べています。
「仕事での要求からうまく回復することは健康にとって非常に重要です。」
「睡眠は回復の基本的な部分であり、十分な量の質の高い睡眠をとることは身体的精神的健康を維持するのに役立ちます。」
【以下のウェブサイトより引用】