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減量で2型糖尿病が治る?その理由について

2018年9月17日 - ロンドンの引退した元教師であるピーター・マーヘルは、体重に関する問題を長年抱えていると言います。
しかし、数年前この問題がより深刻化してくると、彼の患う2型糖尿病がさらに管理不能な状態に陥りました。
体重はまもなく245ポンド(約111キロ)を超え、彼はその時見た鏡の中の自分自身の姿を記憶しています。

「もの凄く太った人間が私を見つめているのが見えました。」現在71歳となったマーヘルは、当時を思い出しこう述べました。
「それは、私がピンときた瞬間でした。」彼は続けました。マーヘルは何か対策を取るべきであると考え、グーグル医師を尋ねました。

マーヘルは、大幅な減量がどのように2型糖尿病を治療するかという内容の研究を発表したロンドンの医師を見つけました。
2015年後半、マーヘルはニューカッスル大学の医師であるロイ・テイラーへメールを送り、テイラーが考案した計画に参加したい旨を伝えました。
返答はこうでした。「あなたの他に2万人の参加希望者がいます。」

テイラーの計画は、これ以上の参加者を受け付けられない程人気がありましたが、マーヘルの粘りにより、テイラーは彼に詳細な指示書と計画書を送付しました。
その内容は、最初は800カロリーの厳密な流動食を用い、その後通常の食事を段階的に導入する、というものでした。
流動食は、4杯のスープもしくはビタミンが豊富に配合されたシェイクで構成されていました。

ダイエット開始から数カ月が経ち、2016年9月までに、マーヘルは66ポンド(約30キロ)の減量に成功し、抗糖尿病薬の使用も止めることができました。
マーヘルは30年もの間が糖尿病を患っていましたが、彼の主治医は、彼の糖尿病が完治したことを告げました。

【2型糖尿病からの回復】
医師の間では、減量が糖尿病を予防するだけでなく、治療することもあることが長年知られてきましたが、テイラーは最近の研究で、新たな証拠と理由を突き止めました。

テイラーは次のように述べています。「2型糖尿病は、単に脂肪誘発性損傷による影響を受けやすい人の肝臓や膵臓に脂肪が付きすぎたことが原因です。」
大幅な減量により脂肪を減らすことで、多くの場合膵臓による正常なインスリン生産を始めとした臓器機能を復活させることができます。

こうした研究結果やマーヘルの成功事例により、テイラーは他の医師にも、新規に2型糖尿病と診断された患者に対してすぐに抗糖尿病薬に頼るのではなく、
第一ステップとしての減量をより一層推奨するよう促しました。そしてテイラーは、減量スタートは早ければ早いほど良い、と付け加えました。
マーヘルは糖尿病発症から数十年経って回復しましたが、これは異例である、とテイラーは述べています。
糖尿病の理想的な治療方法は、真剣な減量努力をすぐさま開始することなのです。

「言うまでもなく、糖尿病発症後回復可能である期間は人によります。」とテイラーは述べ、また次のように続けました。「人によっては、発症後3年で手遅れとなります。」

【減量アドバイスの裏に】
初期の研究では、テイラーの研究チーム149名の患者を厳密な減量プログラムに、別の149名を通常の医薬品での治療プログラムに割り当てました。
被験者の殆どが、研究開始日から遡って6年以内に糖尿病の診断を受けていました。

1年後、通常治療を行った被験者では4%のみに糖尿病の寛解が見られましたが、減量プラグラムを行った被験者では46%が寛解しました。
中でも、より多く減量した患者程、回復する可能性が高い結果となりました。
減量が11ポンド(約5キロ)以下であった患者の寛解率は7%でしたが、33ポンド(約15キロ)以上減量した患者の寛解率は86%に昇りました。

一般に、糖尿病における「寛解」とは、正常な血糖値が保たれた状態を指します。
これを「完治」と言う人もいますが、糖尿病は一度きりの治療で直る病気ではありません。
患者の体重がリバウンドしたり、不健康な食生活に戻ってしまうことで、いつでも再発する可能性があるのです。
2009年にある糖尿病専門家グループは、「寛解」は、治療や手術無しで患者の血糖値が1年間正常であった場合に使用される言葉である、と記述しています。

最新の研究では、テイラーは糖尿病から回復した患者をさらに詳しく調べた後、次のように述べています。「我々は現在起こっていることに対して、明確な生理的操作を行う術があります。」

減量により肝臓や膵臓の脂肪が減ると、膵臓でインスリンを分泌するβ細胞が蘇りました。
「大幅な減量により、殆ど全ての人が正常に戻ります。」とテイラーは述べ、次のように続けました。「糖尿病は単純な病気です。」
しかし今後、なぜ全ての人が減量により回復しないのかについて、解明していかなければならない、とテイラーは述べています。

【セカンドオピニオン】
コロンビア大学バジェロス校の内分泌学長であるドメニコ・アクシリ医師は、この新しい研究は、最近の専門家達による2型糖尿病が進行すると何か起こるかに対する思索と結びつけられる、と述べています。
アクシリ医師は、「我々はしばらくの間、糖尿病、主に2型では、インスリンを分泌するβ細胞は死滅しておらず、単に不活性化しているだけであると考えてきました。」と述べ、次のように続けています。
「糖尿病患者に食事制限を課すことで、β細胞に驚くべきことことが起こります。」

テイラーやその他研究者による研究は、減量や運動などによるライフスタイルの変化は、これまで専門家が考えてきたよりも糖尿病に大きな影響を与えることを示している、とアクシリ医師は述べています。

カリフォルニア、サンタモニカとウェストウッドのUCLAメディカルセンターにあるゴンダ糖尿病センタ-の内分泌科医および責任者であるマシュー・フリービー医師は、
糖尿病診断後のできるだけ早い減量により、確実に患者を回復させることができることについて同意を示しています。

フリービー医師は、第1ステップとしてのライフスタイルの変化と減量を強調しています。
「我々は、薬物治療開始前に3か月の間、食事制限を行い、ライフスタイルを変化させるトライアルを行いました。」と彼は述べ、以下のように続けました。
「新たに糖尿病と診断された患者では多くの場合、減量とライフスタイルの変化により血糖値が正常値に戻りました。」
こうした現象は、元の体重より7%~10%の減量により見られたと言います。

こうした発見は素晴らしいことではありますが、フリービー医師は以下のように警告しています。
「血糖値は一度上がると、再び上がるリスクが常にあります。体重管理が非常に重要です。」

マーヘルは、減量を維持する努力は常に必要となりとても大変ですが、やる価値があると話しています。
彼は次のように述べました。「私は、極端に低い炭水化物ダイエットを継続しています。パスタやパン、米、じゃがいもは食べません。」
しかし彼の70歳の誕生日祝いの際は、スパークリングワインを数杯楽しんだとのことでした。

WebMD News, 2018年9月17日
https://www.webmd.com/diabetes/news/20180917/lose-weight-reverse-type-2-diabetes-why-it-works