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JapanRx / 減量薬が進行卵巣がんの治療に役立つ?

減量薬が進行卵巣がんの治療に役立つ?

新しい研究では、イギリスで市販されている減量薬が、治療抵抗性の卵巣がん患者を再び化学療法に反応するのを助ける可能性を示しています。

ロンドンのがん研究協会の研究者らは、化学療法抵抗性の卵巣がんに罹患したマウスを、肥満治療薬のオルリスタット(一部の痩身薬に含まれる有効成分)で治療しました。

オルリスタットは化学療法治療(シスプラチン)と併用した際、、それぞれの薬を単体で使用した場合と比較して、
卵巣がんのシスプラチンに対する反応を高め、腫瘍の成長をより遅らせるのを助けました。

この研究は国際がんジャーナル(International Journal of Cancer)に掲載され、ICRのイギリスがん研究がんイメージングセンター(Cancer Research UK Cancer Imaging Centre)より資金提供を受けました。

化学療法は卵巣がんの主な治療選択肢の1つですが、いったん耐性ができると、治療が非常に困難になります。


- 減量薬オルリスタットが、がんを治療する可能性
オルリスタットは、イギリスで販売される減量薬の有効成分です。

オルリスタットは、食べ物の脂肪を分解する胃や腸の酵素を阻害し、体内への脂肪吸収を減らすことで作用します。
また、脂肪酸合成酵素(FASN)と呼ばれる、脂肪酸を構築する細胞内の別のタンパク質の活性を妨げることもわかっています。

がんの多くは、がん細胞の増殖を助けるために通常よりも多くの脂肪酸を産生します。
このプロセスは、脂肪酸合成酵素(FASN)によって制御されています。。

FASN活性の増加はより攻撃的ながんや薬剤耐性と関連があり、オルリスタットはFASNの活性を阻害することで、がんの治療効果を強化する可能性があります。


- オルリスタットは、化学療法に対する反応を回復させる
ICRの研究者は、化学療法耐性のある卵巣がんを持ったマウスを治療するために、オルリスタットと化学療法薬シスプラチンを組み合わせて使用しました。

この研究では、化学療法治療のシスプラチンとオルリスタットを併用すると、いずれかの薬を単独で使用した場合よりもはるかに効果的であることが判明しました。

オルリスタットとシスプラチンで治療されたマウスでは、未治療のマウスと比較して、腫瘍増殖の有意な遅延が示されました。

重要なのは、この併用療法で使用した用量では、マウスの体重減少を引き起こさないことがわかったことです。

これは将来的に、がん患者にとって問題となり得る体重減少を引き起こすことなく、オルリスタットの抗がん作用を活用できる可能性を示しています。


- 試行を重ねたがん治療の予後改善
ICRのイギリスがん研究がんイメージングセンターの主任科学者であり、研究の筆頭著者であるユエン・リ・チュン医師は、次のように述べています。

「化学療法は、十分に試行されたがん治療法であり、このがん治療効果をできる限り長く持続させるための、新しい薬の組み合わせを見つけることが重要です。
私たちの研究では、過去にさまざまながんに対する抗腫瘍効果が示されてきた減量薬であるオルリスタットは、
マウスの卵巣がんのシスプラチンに対する反応を回復させることができることが判明しました。」

「この研究結果は、オルリスタットとシスプラチンの併用が、化学療法に反応しなくなった進行性卵巣がん患者に対する有効な治療方法となる可能性を示しています。」

出典:『Weight loss drug could help treat advanced ovarian cancer』ICR, The Institute of Cancer Research(2019年4月4日に利用)
https://www.icr.ac.uk/news-archive/weight-loss-drug-could-help-treat-advanced-ovarian-cancer