漏出性血管がアルツハイマー病の引き金に
最近の研究では、脳内の漏出性毛細血管がアルツハイマー病を発症する役割を果たす可能性があることを明らかにしています。
認知症はアルツハイマー病の主な種類で、世界中で約5,000万人が罹患しています。
アルツハイマー病協会によると、米国内の500万人以上の人々がアルツハイマー病に罹患しています。
この数は2050年までには1,400万人に達すると予測されています。
そのため、この健康状態を早期に診断し、その状態を減速、または予防するための新しいターゲットを見つけることがますます重要になっています。
食品医薬品局(FDA)はアルツハイマー病の症状を助けるいくつかの薬剤を承認しましたが、それらのどれも根本的な原因を治療するものではありません。
ロサンゼルスにある南カリフォルニア大学(USC)で行われた新しい研究では、より効果的な治療法への道が開られるかもしれません。
この調査結果はNature Medicineで現在紹介されています。
脳内の漏れやすい毛細血管とは
以前の研究では、2つの有毒なタンパク質、アミロイドとタウがアルツハイマー病の発生における「引き金と弾丸」であるかもしれないことが示されていました。
この研究では、可溶性形態のアミロドとタウが一緒に健康な神経細胞を損傷することを示しました。
161人の高齢者を対象とした新しい5年間の研究では、有毒タンパク質の有無にかかわらず、重度の記憶障害を抱えている人々も血管の漏れがあることが明らかになっています。
USCのケック医学部ジルカ神経発生研究所の所長であるベリスラフ・ズロコビッチ博士は、次のように話しています。
「軽度のレベルの認知障害がある場合では、タウやアミロイドとは無関係に血管に漏れが見られるという事実は、それが全く別のプロセス、または非常に初期のプロセスである可能性があることを示唆しています。」
USCドルンシフェ大学文学芸術科学部の心理学の助教授で最初の研究著者である、ダニエル・ネーション博士は次のように追加しています。
「それは人々がアミロイドまたはタウの病理を持っていたかどうかは関係ありませんでした。
彼らにはそれでもなお認知障害がありました。」
血液脳関門とは何でしょう?
血液脳関門は血管を構成する細胞によって形成される構造です。健康な脳では、この血液脳関門は強く、細胞はしっかりと接合し合い、不要な物質の侵入を防いでいます。
加齢脳では、これらの細胞間の接合部が緩み始め、そして血管が漏出し始めます。
これが起こるとき、血管は「神経細胞が必要とする栄養素と血流」を提供していません。
そして、そこに有毒なタンパク質が侵入します。
「血液脳関門が適切に機能していないと、損傷する可能性があります。」
と、共同研究者であるケック医学部のUSC Stevens Neuroimaging and Informatics
Instituteのアーサー・トーガ博士は述べています。
科学者たちは一連の課題とテストを用いて研究に参加した人々の認知能力を評価し、それが「臨床的認知症評価スコア」となりました。
博士のチームはまた、脳の血管の漏れを測定するために、脳脊髄液分析と同様に神経画像処理を使用しました。
彼らの研究結果は、認知問題と漏出性血管との間に強い関連性を示しました。
著者は、将来の研究がこの相関関係に関するより多くの詳細を明らかにするであろうことを望んでいます。
ズロコビッチ博士は、科学者たちは有毒タンパク質の役割を研究し続けるべきではあるものの、「一部の血管バイオマーカーを検査キットに追加します。」と付け加えています。
【以下のウェブサイトより引用】