特定の代謝物の低濃度が糖尿病患者のCOVIDのかかりやすさを説明する可能性
中国の多数の施設からの研究者のチームは、糖尿病患者の特定の代謝物が低濃度であることが、糖尿病患者がCOVID症状にかかりやすい理由を説明する可能性を発見しました。
Nature Metabolism誌に掲載された論文の中で、研究グループは糖尿病の人とそうでない人の代謝物を調査し比較を行った研究、そして、SARS-CoV-2感染に対して培養細胞をテストする方法と、それによって学んだことを説明しています。
世界的大流行が始まって間もなく、医師は、患者が感染した際に極端な症状にかかりやすい人がいることに気づき始めました。
そういった人々のグループの1つに糖尿病があります。
この新しい取り組みの中で、研究者たちは、彼らが信じていることがその理由である可能性が高いことを発見しました。
糖尿病患者がCOVIDに感染しやすい理由を調べるために、研究者らは糖尿病のある人とない人の間で異なる代謝物の調査を行いました。
その調査により彼らは484個の代謝物を発見し、そのうち222個を人工的に作成し、調剤しました。
研究者らは、222個の代謝物すべてのサンプルを培養し、SARS-CoV-2ウイルスのサンプルに曝露しました。
その結果、彼らは、ウイルスが他の細胞に感染する能力が低下すると、代わりに代謝物と結合していたためであることに気づきました。
これにより、代謝物のリストが7個に絞り込まれ、さらにテストを行うと、『1,5-AG』1個だけになりました。
研究者たちは、体内でこの代謝物が生成されると、腎臓にろ過され、血液に再吸収されることに注目しています。
しかし、糖尿病の人では、再吸収はうまく機能せず、尿に巻き込まれます。
つまり、血液中の再吸収が少なくなるのです。
研究者らは、『1,5-AG』と混合した細胞の感染率をテストしたところ、『1,5-AG』のレベルが低い場合にウイルス感染の負荷が高くなることを発見しました。
彼らはまた、『1,5-AG』を含む血清を細胞混合物に人工的に加えると、ウイルス量レベルが低下することを発見しました。
研究者らはまた、『1,5-AG』を混合した糖尿病マウスモデルの血清を投与しましたが、そうすることで感染後のウイルス量が減少することもわかりました。
研究者らは、糖尿病患者の『1,5-AG』のレベルが低いことが、SARS-CoV-2の症状にかかりやすい理由であることを彼らの研究が示していることを示唆しています。
ただし、そういった患者に『1,5-AG』の血清を投与することで症状を軽減できるかどうかを判断するには、さらに多くの研究を行う必要があります。
【以下のリンクより引用】
Medical Xpress