特定の糖尿病薬に痛風のリスクを低下させる可能性
2020年1月13日 HealthDay News - SGLT2阻害剤と呼ばれる薬は、2型糖尿病患者の血糖値を低下させますが、新しい研究により、これらの薬は 痛風のリスクを低下させる利点があることがわかりました。
GLP1受容体アゴニストなど別のクラスの糖尿病薬を服用している人と比較して、SGLT2薬を服用している人は、通常、足から痛み始める痛風の 発症率が36%減少しました。
「SGLT2は、2型糖尿病患者にとって最も効果的な薬物の1つですが、また、痛風のリスクも軽減する可能性があります。」
と、研究の第一著者でトロント大学の一般内科医であるマイケル・フラリック博士は述べました。
米国食品医薬品局 (FDA) によると、SGLT2阻害剤は、2型糖尿病の成人に使用される新しいクラスの処方薬です。
これらの薬剤は腎臓が尿を介して身体から糖が除去されるように作用します。
SGLT2阻害剤クラスの薬剤には、カナグリフロジン(インボカーナ)、ダパグリフロジン(フォシーガ)、エンパグリフロジン(ジャルディアンス)があります。
2型糖尿病の人は、多くの場合、血液中に尿酸と呼ばれる物質が過剰になります。
著者らは、尿酸からの結晶が関節に蓄積し、痛風を引き起こす可能性があると背景メモに記しています。
アメリカ国立関節炎および筋骨格疾患研究所によると、痛風は、数百万人のアメリカ人が罹患する関節炎の一種です。
痛風の症状は、一般的には足の親指に最初に症状が現れます。症状には激しい関節痛と腫れがあります。
SGLT2阻害剤にはリスクがないわけではありません。
FDAは、これらの薬を服用している人々での潜在的な骨密度の低下と骨折のリスク増加に関する警告を発しています。
FDAはまた、これらの薬剤を使用している人には重篤な感染症や四肢切断のリスクが高いことも発見しました。
この研究には2型糖尿病患者である成人、約300,000人が含まれていました。
彼らの平均年齢は54歳でした。
そして、最近まで、全員がSGLT2阻害剤またはデュラグルチド、リラグルチド、エクセナチド、セマグルチドなどのGLP1受容体アゴニストが処方されていました。
SGLT2阻害剤を服用している約152,000人の成人のうち、636人が痛風を発症しました。
また、GLP1を服用している成人は約144,000人で、そのうち836人が痛風を発症しました。
バーバラ・ケバー博士は、ニューヨーク州グレンコーブにあるノースウェル・ヘルス病院の家庭医学担当副部長です。
彼女はこの研究をレビューし、いくつかの制限があるものの大規模でよく管理されてることを指摘しました。
「この結果は、2つのグループ間で痛風を発症した患者の違いを明らかにしており、これは重要です。」
と、ケバー博士は述べました。
ただし、これを比較するための他の同様の研究がありません。
「これをリスクの高い患者の痛風リスクの軽減を目的として使用できるようになるまでには、さらなる研究を実施する必要があります。」
と彼女は述べました。
研究著者であるフラリック博士は、次のように述べました。
「2型糖尿病を患っている人は誰でも、薬のリスク、利点と費用を常に考慮しています。これらの薬(SGLT2)は非常に高価です。しかし、SGLT2阻害薬は低血糖を引き起こさず、また、体重の増加にもつながりません。
痛風のある人や痛風のリスクが高い人の間では、これらのデータはSGLT2阻害剤がリスクを減らす可能性があることを示しています。」
フラリック博士は、研究が実施されたときには、ボストンにあるブリガムアンドウィメンズ病院の薬疫学部門と薬経済学部門に勤務していました。
ニューヨーク・プレスビテリアン・メディカル・グループ・ハドソン・バレー(New York-Presbyterian Medical Group Hudson Valley)の内科医であるジェームス・トラパッソ博士は、SGLT2阻害剤の支持者です。
彼は研究には関与していませんでしたが、研究結果をレビューしました。
「このクラスの薬剤は、2型糖尿病の治療薬として私が好ましいと思うものの1つです。
痛風を軽減または予防する可能性というのはこの薬剤の更なるメリットです。この薬剤を使用する別の理由があるというのは素晴らしいことです。」 とトラパッソ博士は述べました。
この研究結果は、1月13日にAnnals of Internal Medicine誌に掲載されました。
【以下のリンクより引用】
Certain Diabetes Meds May Lower Gout Risk, Too
Health Day