甲状腺についてどれだけ知っていますか?
甲状腺は体の中で最も重要な腺の一つですが、あなたはそれについてどれだけ知っていますか?
治療に大金をつぎ込むような不可欠な臓器ではありませんが、首の前に位置する蝶形の甲状腺は、私たちの生活において非常に重要な役割を果たします。
甲状腺は、私たちの代謝を調節するホルモンを産生します。
英国の20人中1人が甲状腺障害に苦しんでいるといわれ、女性は男性よりも甲状腺疾患に罹患する可能性が10倍高いとされています。
エストロゲンの優位性(エストロゲンレベルがプロゲステロンのレベルと比して高いこと)が貢献因子であるにもかかわらず原因は不明です。
ほとんどの患者に一般的な甲状腺障害である甲状腺機能低下症は、主に40歳から50歳の女性に見られ、閉経期に頻繁に起こるため、初期段階では患者さんや医師によって同様の症状が無視される傾向があります。
簡単な血液検査で多くの甲状腺疾患が診断されますので、心配なようあれば医師の診断を受け、血液検査でTSHレベル(甲状腺刺激ホルモン)を確認してください。
潜在的な甲状腺の問題を評価するために、さらなる組織生検または画像検査が必要な場合があります。
甲状腺機能不全
甲状腺は、代謝を調節するホルモンであるチロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)を産生します。
甲状腺が十分にこれらを作ることができない状態が甲状腺機能低下症として知られています。
甲状腺ホルモンが少なすぎると体の代謝が遅くなります。
症状としては、疲労、嗜眠、体重の増加、肌や髪の毛の乾燥、便秘、筋肉の衰弱、気分の落ち込み、集中力の低下などがあります。
あなたが女性であれば、月経周期に変化が見られることがあり、両方の性別で性欲を失うことがあります。
男性はまた、勃起不全を経験することもあります。
甲状腺機能低下症は家族内で蔓延しますが、遺伝的に罹患しやすい体質だとしても何がきっかけとなって発病するのかは不明です。
それでは、中年期での変化やストレスの多い日常生活でどのようにして発症を避ければよいのでしょうか。
甲状腺疾患を専門とするスパイアエジンバラ病院のアンソニー・トフト博士は、「疲労、体重増加、便秘、気分消沈、悪寒、肌や髪の毛の乾燥、肌のかゆみなどの、非特異的原因がたくさんあります。しかし、それらのうちいくつかに思いあたるようであれば、それはあなたの甲状腺が不足していることを示唆しています。この場合、特に家族歴がある場合は、医師に血液検査を依頼してください。
甲状腺機能低下症と診断された場合、医師はおそらくサイロキシン(または一般名:レボチロキシン)と呼ばれる合成甲状腺ホルモンの一種を処方し、甲状腺ホルモン濃度は正常に戻るはずです しかし、患者の約15%は、思うような回復がみられないでしょう。」と述べました。
更に、トフト博士はこう付け加えました。
「診察にあたる医師は、すべての患者には適用されないガイドラインに従います。残念なことに、リオチロニンは気分を良くするために必要な追加ホルモンで、英国では2カ月分の薬剤に250ポンド(約36,700円,2018年9月14日現在)の費用がかかります。そのために不満を多く抱いている人々がいます。」
柔軟性のないガイドラインが変更されるまで、多くの患者はイタリアやギリシャの医薬品の購入に頼ります。
イタリアやギリシャでは薬価はわずか数ユーロです。
しかし、この方法で薬を購入するのは危険です。
NHSの専門家に言及されることはほとんどありませんが、可能な限り専門医に会うのが最善の方法です。
甲状腺機能亢進
甲状腺機能亢進症は男性よりも女性において10倍も発症率が高く、初期症状は20歳から40歳の間で始まります。
甲状腺ホルモンが多すぎると、体の代謝が速くなります。
症状には、疲労、発汗、熱不耐性、体重減少、睡眠障害、震え、動悸が早い、または不規則な心拍、および不安などが含まれます。
患者は、目の異物感や痛み、眼球の突出、場合によっては、二重に見えるなどの視覚上の問題を発症することがあります。
「甲状腺機能亢進症は、グレーブス病と呼ばれる疾患が原因というのが最も一般的です。グレーブス病は、しばしば遺伝的に受け継がれています。しかし、遺伝的素因がある場合、大きなストレスが引き金となり発症することがあります。それを治療する最良の方法は、抗甲状腺薬カルビマゾールです。放射性ヨウ素や甲状腺の手術のような他の治療法もありますが、これらは甲状腺機能が不十分なままになることがあるので、推奨しません。」とトフト博士は言います。
甲状腺腫
甲状腺腫は甲状腺の肥大であり、首の前部に腫脹として現れ、甲状腺機能低下症または甲状腺機能亢進症のいずれかで発症する可能性がありますが、多くの甲状腺腫患者の甲状腺機能は正常です。
また、甲状腺の中に発生する嚢胞や結節に起因することもあります。
「英国では、甲状腺腫は、最も一般的には、甲状腺が腫れてしこりがいくつかできます。これらは完全に良性ですが、過活動状態に陥り、甲状腺過活動の原因となる可能性があります。首にしこりがあると感じたら、それは良性である可能性が高いものの、根底に甲状腺がんがある兆候である可能性があるため検査することが不可欠です。」とトフト博士は指摘します。
唾を飲みこみながら、喉仏のあたりをさわり首まわりを調べてみると、甲状腺が拡大しているかどうかを検出することができます。
また、水を飲みながら頭を後ろに傾け、首と鎖骨の上の首の付け根のあたりを調べます。
塊や隆起が見える場合は、医師の診察を受けてください。
甲状腺腫は気管を圧迫する可能性があり、見た目も見苦しいので手術で除去するのが最善の方法です。
【以下のウェブサイトより引用】