男の子と女の子が物語りを違う形で語ること- 自閉症スペクトラムの「診断の見逃し」を説明
男児は女児より自閉症スペクトラム障害(ASD)と診断される可能性が4倍高いといわれていますが、
成長期についての調査では、以前に考えられていたよりも女児においてより一般的でそういった女児を低年齢でこの障害と診断するための、
新しい方法が必要であることを示しています。
フィラデルフィア小児病院(CHOP)による新しい研究では、自閉症スペクトラムのある少年少女が読み聞かせ中に、
特定の種類の単語を使用した話し方の違いについて調べました。
この研究では、重症度に関わらず、自閉症の女児は自閉症の男児よりも「~思う」や「~知っている」などの「認知プロセス」に関わる言葉を
多用していることがわかりました。
この結果は、『the journal Molecular Autism』誌に掲載されました。
著者らは、このような違いを識別することで、ASDの女児が確実に診断を受けられるようになり、
そして可能な限り最良の生活を送るために必要とする支援を得ることができることを示唆しています。
「これらの発見を背景に置くと、自閉症の女児は同様の男児とは異なる特性を示す傾向があるため、
標準的な診断ツールでは誤って診断されたり完全に見落とされたりすることが多いと思われます。」
と主執筆者であるジュリア・パリッシュモリス博士は述べました。
彼女は米フィラデルフィア小児病院(CHOP)自閉症研究センターの科学者です。
「自閉症の研究では、歴史的に、男性の方が女性の3倍〜6倍、多いと言われていますが、
自閉症の性差についてはまだ十分にわかっていません。
そのため、男性とは形質が異なる女性の症状は見逃されがちです。」
誤診は、多くの女児が早期介入を受けていないこと、また、女性独自のニーズを満たすために標準的な介入が
適切ではない可能性があることを意味します。
多くの自閉症を持つ女性は、大人になるまで診断されず、重大な社会的な問題と一般的な発達が見られるほかの子供とは異なる、
理解しがたい感覚があると報告されています。
「自閉症は観察が可能な行動を用いて診断される社会性の問題であるため、社会性の能力に関連する、
観察可能な方法を研究したいと思いました。」
とパリッシュモリス博士は述べました。
「そして、文法や語彙以上のものが含まれるため、読み聞かせによる方法を選択しました。それは社会的な適応感覚に依存し、
話し手が伝えることが重要であると判断するものに光を当てます。」
以前の研究では、認知プロセスワードの使用の減少が、ASDにおける社会性の問題を予測することがわかっていたため、
研究者は、参加者が認知プロセスワードと比較して、名詞(目的語)を使用する方法に焦点を当てました。
過去の研究では主に男性のサンプルを使用しましたが、この結果は女性に一般化すると仮定されていました。
そして、以前のASDの研究では、健常児間に存在する性差がASD患者でも当てはまるかどうかをテストするのに
十分な人数の女児がいませんでした。
パリッシュ・モリス博士と共著者は、102人の話が流暢な学齢期の子供たちについて研究しました。
彼らは、ASDと診断された21人の女児、41人の男児、または、健常児の19人の女児と21人の男児が含まれ、
彼らは皆、IQや母性教育は同レベルでした。
子供たちは、漁師、猫、鳥を含む一連の写真を見て、彼らが見たものに基づいて物語を話しました。
その結果、自閉症児は同程度の自閉症の重症度であっても、自閉症の女児は自閉症の男児よりも、
はるかに多くの認知プロセスに関係する単語を使用しました、
ASDの女児と健常児の女児は、同程度の数の認知プロセス関係する単語を使用していました。
興味深いことに、自閉症の男児と女児はどちらも、健常児の子供よりも多くの名詞を使用しており、
オブジェクト(物)に焦点を当てたストーリーテリングが見られました。
このように、自閉症の女児は健常児の女児や男児だけでなく、自閉症の男児と重複するユニークなストーリテリングの側面が見られました。
「ストーリーテリングを通して、自閉症の女児と男児の言語パターンにおける主要な類似点と相違点を特定することができました。」
とパリッシュ・モリス博士は述べました。
「これらの調査結果は、性情報に基づいたスクリーニングと診断方法が、私たちがより早い年齢で、
言葉により女児の自閉症を識別するのを助ける可能性があることを示しています。
これは適切に個別化された早期介入方法を開発する努力を促進するはずであり、
その結果、ASDの女児と女性に対する支援の改善が期待されます。」
【以下のウェブサイトより引用】