症例が示す、ランドウ・クレフナー症候群の診断にサンフィリポ症候群を考慮する必要性
最近行われたケーススタディによると、サンフィリッポ症候群などの代謝障害のスクリーニングが最初にランダウ・クレフナー症候群と診断された患者において、考慮する必要があります。
その研究報告書、「ムコ多糖症IIIb型のまれな症状(An Uncommon Presentation of Mucopolysaccharidosis Type IIIb)」は、イランの小児神経学会 および小児神経科&シャヒドベヘシュティ医科大学の研究センターが発行する研究ジャーナル『Iranian Journal of Child Neurology』誌に 掲載されました。
MPS IIIBは、NAGLU遺伝子の変異によって引き起こされる神経変性リソソーム蓄積症です。
この遺伝子は、ヘパラン硫酸(HS)と呼ばれる長い複雑な糖分子を分解するNAGLU酵素を作るための指示を送ります。
NAGLU遺伝子の変異は、NAGLU活性を低下させ、リソソーム内のヘパラン硫酸の蓄積を引き起こします。
これは、さまざまなタイプの分子を消化してリサイクルする小さな特殊な細胞コンパートメントです。
ランドウ・クレフナー症候群(LKS)は、3歳から10歳までの子供に影響を与えるまれなてんかん症候群であり、言葉の理解や言語そのものの喪失を 特徴としています。 LKSの子供には、多動や注意欠陥などの行動上の問題が現れます。
この報告書では、著者はイランのテヘランにあるログマン病院に入院した、言葉が遅く、てんかん発作があり、運動失調(筋肉制御の喪失)を伴った 9歳の少年の症例について提示しています。
彼は、注意欠陥、人や物を認識できない(認知障害)、会話力の低下、および同じ話の繰り返しを示すようになった4歳までは正常に発育していました。
6歳のとき、少年は脳全体を巻き込む発作である強直間代発作を起こし始め、眠っている間には顎が固定されていました。彼には断続的な尿失禁も ありました。
彼の症状は自閉症のような行動に進行し、そこで同じ音や言葉を繰り返し始め(エコラリア)、アイコンタクトは十分ではなく、反復行動がみられました。
神経学的分析では、左中側頭葉と呼ばれる脳領域の血流が少なく、脳波(EEG)に見られる脳波の変化が示されました。それは、すべてLKS診断と 一致していました。
血液、腎臓、肝臓の検査で異常は認められませんでした。
この診断に基づいて、臨床医は、言語療法などと併用してステロイドメチルプレジニゾロン、バルプロ酸ナトリウム、レベチラセタム、および静注免疫 グロブリンなど一般的に使用されるLKS薬を処方しました。
しかし、これらの治療法では、発作、言語障害(失語症)、および行動症状を緩和することができませんでした。
治療と症状の進行に対する彼の反応が悪いため、臨床医は、彼が改善しなかった理由となっている可能性のある突然変異の遺伝子分析を実施 しました。
彼らは、サンフィリッポB型の診断と一致するNAGLU遺伝子の突然変異を発見しました。そして、これが最終診断と見なされました。
尿分析により、サンフィリッポ症候群の患者に蓄積する大きな糖分子である「グリコサミノグリカン」が高いレベルで存在することが更に明らかに なりました。
「LKSの不均質性を考慮し、LKSを有すると診断された患者において、代謝障害などの他の病因を考慮することを提案します。」
と研究者らは記しています。
「この症例は、ムコ多糖症III型がこれらの代謝障害の1つである可能性があることを示しました。」
【以下のウェブサイトより引用】
Sanfilippo Should Be Considered in Landau Kleffner Syndrome Diagnoses, Case Report Suggests
SANFILIPPO NEWS