癌細胞を標的とした新しい治療アプローチ
カリフォルニア大学リバーサイド校の研究チームは、現在利用可能な抗がん剤が直面する課題を回避する、“癌細胞を標的”とする新しいアプローチを考え出しました。
標的となるのしばしば、癌細胞に制御不能に増殖して臓器に侵入するように信号を送る不正なタンパク質です。
現代の抗がん剤は、この薬剤と、私たちのタンパク質を構成する20種類の天然アミノ酸の1つであるシステインと呼ばれる特定のアミノ酸との間の
強固な結合を打つことによって機能します。
システインは、それが特定の有機官能基と反応して強い分子結合を形成することができるという点で独特のものです。
近年、食品医薬品局(FDA)によって承認されているシステインを標的とする新しい抗がん剤はごくわずかです。
癌研究者が直面する課題は、システインが癌標的の結合部位内にめったに見出されず、このアプローチの適用をごく少数の薬物標的に限定することです。
カリフォルニア大学リバーサイド校(UC リバーサイド)の研究チームは、リジン、チロシン、ヒスチジンなど、
ターゲットの結合部位内でより頻繁に発生する他の潜在的に反応性のあるアミノ酸をターゲットとする薬を開発することでこの課題を解決しました。
研究者らはまた別の課題にも取り組みました。
概念実証のために彼らが使用した標的は、タンパク質 - タンパク質相互作用(PPI)標的でした。PPIは、有効な薬物を作り出すことが特に困難である、
多数の治療標的を表します。
これは、PPIには、薬物がしっかりと結合するように作ることができるような明確に深く結合したくぼみがないためです。
医学部生物医学科学の教授である、マウリツィオ・ペレッキア氏は、次のように述べました。
「今日までに、FDAによって承認されたPPI標的に拮抗、または阻害するように設計された薬剤は1つしかありません。」
「臨床試験に入ったのは、ほんの数例です。このアプローチは、PPIの結合界面に偏在するリジン、チロシン、
またはヒスチジン残基と反応することができる薬物を設計することによって、強力かつ選択的な「PPI拮抗薬」につなげるための
新らしくかつ効果的な手段となります。」
この研究結果はJournal of Medicinal Chemistry誌に掲載されています。
UCリバーサイドの癌研究であるペレッキア氏は、学術研究者、バイオテクノロジー産業、および製薬会社は、彼らの目標と不可逆的に結びつく
「共有結合薬物」の設計を重視していると説明しました。
タンパク質標的の中の他の全てのアミノ酸よりも反応性が高いので、システインを標的とすることが最も多いとされています。
オシメルチニブ、イブルチニブ、ネラチニブ、およびアファチニブなどの腫瘍治療薬はすべてFDAによってごく最近に承認されており、
すべてがそれぞれの標的の結合部位に存在するシステインを標的としていると彼は述べました。
「我々の研究はシステインを超えて利用可能な標的空間を広げます。」
と彼は付け加えました。
「そのような“共有結合剤”は、腫瘍学においてだけでなく、神経変性疾患および炎症性疾患を含む他の疾患の治療においても、
未開発の大きなクラスの治療標的であるPPIに対する新らしい薬物候補の開発においての重要な足がかりとなるでしょう。」
【以下のウェブサイトより引用】