皮膚の痒みとメンタルヘルスは関連している
なぜ痒みが出るのでしょう？理由は様々です。
しかし、皮膚疾患のため慢性的な痒みがある人は、かいても症状が改善しないという大きな心理的負担を負っているということが段々と明らかになってきました。
湿疹や乾癬などの症状にまつわるこの関連性の性質は過去にも調査が行われていますが、科学者らは皮膚疾患や精神疾患、生活の質の交差について理解し始めたばかりであると言います。
「特定の皮膚疾患における痒みと精神障害全般の関連を示す研究は既に存在しますが、慢性皮膚疾患の横断的研究は不足しています。」と、スウェーデンにあるルンド大学の皮膚科医であるフローレンス・J・ダルガード氏は言います。
この不足を解決するため、ダルガード氏と彼女の研究チームは、イギリス、フランス、ドイツ、ロシアなどの欧州13か国で何千人もの皮膚病患者から収集したデータを分析しました。
合わせて、様々な皮膚疾患を患う3,500人超えの患者がこの研究に参加しました。
これらの被験者は身体検査を受け、社会経済的背景とかゆみの経験を問うアンケートに回答し、またうつや不安、自殺念慮の症状についても測定されました。
皮膚疾患のない1,300人以上が対照群として用意され、同様の情報を自己報告しました。
研究チームが回答を分析すると、皮膚疾患や痒み、気分障害、生活の質の低下におけるいくつもの関連が見つかりました。
痒みを報告した皮膚疾患患者ではうつ病の有病率は14.1％でしたが、痒みのない患者では5.7％に低下しました。
皮膚疾患のない対象群の被験者で痒みを報告した人のうつ病の有病率は約6％となり、一方対象群で痒みも無かった人の有病率はわずか3.2％でした。
不安についても同様です。
皮膚症状と痒みのある患者の21.4％に不安症状が見られ、痒みのない患者でこの数は12.3％に低下しました。
一方、対象群では約8％より不安症状の報告がされました。
自殺念慮の有病率は、痒みのある患者（15.7％）の方が痒みのない患者（9.1％）よりも高く、同様に、痒みのある対象群（18.6％）の方がそうでない対象群（8.6％）よりも高い結果となりました。
痒みのある患者は、痒みのない患者よりも生活の中で経験したネガティブな出来事の報告数が多く（それぞれ38.2％と32.4％）、また痒みを経験した患者は経済的な問題に直面する傾向についてもより高くなりました。
研究チームは、このデータでは因果関係を証明できないことを認めていますが（そして、メンタルヘルスの低下がある程度痒みを誘発する可能性があるとしています。）、皮膚疾患が痒みの原因であり、っこれがメンタルヘルスへの影響につながっている可能性の方が高いことを示唆しています。
「痒みは皮膚の炎症を伴い、皮膚の炎症は脳内のセロトニンネットワークを誘発することで、うつや不安を引き起こすことが、この関連性の理由であると推測されます。」と、著者は論文の中で書いています。
仮説の探求にはさらなる研究が必要ですが、少なくとも現状痒みとうつ病の関連性は、これまで以上に確実に確立されているようです。
そしてこれは皮膚疾患患者の治療に反映し、専門分野を越えた医師が一丸となって、こうした患者や、患者のあらゆる苦労に対して支援を行う必要があると、研究者は言います。
また予防プログラムも、痒みの緩和や、痒みによって引き起こされる可能性のある深刻な心理症状の発症軽減に役立つかもしれません。
「私たちの調査結果は、皮膚疾患患者の痒みの存在はうつ病や自殺念慮、ストレスと大きく関連していることを示しています。」と、研究者らは結論付けました。
「この研究は、痒みが皮膚疾患患者に大きな心理的負担をかけ、痒みを伴う皮膚疾患患者が多面的な苦しみを経験していることを裏付けるものとなりました。」
出典： 2019年11月1日更新Science Alert『Itchy Skin Conditions And Mental Health Are Linked, And We Need to Talk About It』（2019年11月4日に利用）
https://www.sciencealert.com/there-s-a-link-between-itchy-skin-and-mental-health-and-we-need-to-talk...
しかし、皮膚疾患のため慢性的な痒みがある人は、かいても症状が改善しないという大きな心理的負担を負っているということが段々と明らかになってきました。
湿疹や乾癬などの症状にまつわるこの関連性の性質は過去にも調査が行われていますが、科学者らは皮膚疾患や精神疾患、生活の質の交差について理解し始めたばかりであると言います。
「特定の皮膚疾患における痒みと精神障害全般の関連を示す研究は既に存在しますが、慢性皮膚疾患の横断的研究は不足しています。」と、スウェーデンにあるルンド大学の皮膚科医であるフローレンス・J・ダルガード氏は言います。
この不足を解決するため、ダルガード氏と彼女の研究チームは、イギリス、フランス、ドイツ、ロシアなどの欧州13か国で何千人もの皮膚病患者から収集したデータを分析しました。
合わせて、様々な皮膚疾患を患う3,500人超えの患者がこの研究に参加しました。
これらの被験者は身体検査を受け、社会経済的背景とかゆみの経験を問うアンケートに回答し、またうつや不安、自殺念慮の症状についても測定されました。
皮膚疾患のない1,300人以上が対照群として用意され、同様の情報を自己報告しました。
研究チームが回答を分析すると、皮膚疾患や痒み、気分障害、生活の質の低下におけるいくつもの関連が見つかりました。
痒みを報告した皮膚疾患患者ではうつ病の有病率は14.1％でしたが、痒みのない患者では5.7％に低下しました。
皮膚疾患のない対象群の被験者で痒みを報告した人のうつ病の有病率は約6％となり、一方対象群で痒みも無かった人の有病率はわずか3.2％でした。
不安についても同様です。
皮膚症状と痒みのある患者の21.4％に不安症状が見られ、痒みのない患者でこの数は12.3％に低下しました。
一方、対象群では約8％より不安症状の報告がされました。
自殺念慮の有病率は、痒みのある患者（15.7％）の方が痒みのない患者（9.1％）よりも高く、同様に、痒みのある対象群（18.6％）の方がそうでない対象群（8.6％）よりも高い結果となりました。
痒みのある患者は、痒みのない患者よりも生活の中で経験したネガティブな出来事の報告数が多く（それぞれ38.2％と32.4％）、また痒みを経験した患者は経済的な問題に直面する傾向についてもより高くなりました。
研究チームは、このデータでは因果関係を証明できないことを認めていますが（そして、メンタルヘルスの低下がある程度痒みを誘発する可能性があるとしています。）、皮膚疾患が痒みの原因であり、っこれがメンタルヘルスへの影響につながっている可能性の方が高いことを示唆しています。
「痒みは皮膚の炎症を伴い、皮膚の炎症は脳内のセロトニンネットワークを誘発することで、うつや不安を引き起こすことが、この関連性の理由であると推測されます。」と、著者は論文の中で書いています。
仮説の探求にはさらなる研究が必要ですが、少なくとも現状痒みとうつ病の関連性は、これまで以上に確実に確立されているようです。
そしてこれは皮膚疾患患者の治療に反映し、専門分野を越えた医師が一丸となって、こうした患者や、患者のあらゆる苦労に対して支援を行う必要があると、研究者は言います。
また予防プログラムも、痒みの緩和や、痒みによって引き起こされる可能性のある深刻な心理症状の発症軽減に役立つかもしれません。
「私たちの調査結果は、皮膚疾患患者の痒みの存在はうつ病や自殺念慮、ストレスと大きく関連していることを示しています。」と、研究者らは結論付けました。
「この研究は、痒みが皮膚疾患患者に大きな心理的負担をかけ、痒みを伴う皮膚疾患患者が多面的な苦しみを経験していることを裏付けるものとなりました。」
出典： 2019年11月1日更新Science Alert『Itchy Skin Conditions And Mental Health Are Linked, And We Need to Talk About It』（2019年11月4日に利用）
https://www.sciencealert.com/there-s-a-link-between-itchy-skin-and-mental-health-and-we-need-to-talk...