目の奥がえぐられるように痛む...男性に多い「群発頭痛」の治療は「スマトリプタン」が有効
激しい頭痛が一定期間続く「群発頭痛」。その痛さは「片側の目の奥がえぐられるように」と表現されるほどの激痛だ。神奈川歯科大学付属横浜クリニック内科の五十嵐久佳教授(頭痛外来)は、特徴的な症状が出たら、「スマトリプタン」の注射など適切な治療を受けるようアドバイスする。
耐え難いほど痛い群発頭痛だが、その原因は分かっていない。症状には、次のような特徴がある。
*片側の目の奥がえぐられるような激しい痛みが30分~3時間続く。
*痛むのと同じ側から涙が出たり、鼻水や鼻詰まりがあったりする。
*発作は1日1~4回、毎日もしくは1日置きに起こり、それが1~2カ月(群発期)の一定期間続く。
*群発期は半年、あるいは2年に1回といった具合に繰り返され、過ぎると頭痛は消えてしまう。
*ほとんどの人は、痛みが左右どちらか一方の側に起こる。
*圧倒的に男性に多く、飲酒が誘因になりやすい。
五十嵐教授は「初めて起きたときには、あまりの痛さにくも膜下出血と間違えて救急車を呼ぶ人もいます。また、目の奥が痛むので眼科に駆け込む人もいますが、こうした特徴的な症状を自分で認識できたときは、頭痛外来のある病院を受診するとよいでしょう」と強調する。
診断は問診で付くが、他の病気の可能性を除外するために磁気共鳴画像診断装置(MRI)などによる画像検査も必要だ。群発期は飲酒避ける。
群発頭痛と分かれば、治療には広がり過ぎた血管を元に戻し、周囲の炎症を抑える働きのある薬剤「スマトリプタン」(商品名イミグラン)の注射が有効。「発作は通常、注射後10~15分で治まります。自己注射キットの使用にも今年から保険が適用されているので、医師からトレーニングを受ければ発作時に自宅で注射できるようになっています」(五十嵐教授)。酸素吸入も効果的だが、こちらは保険が適用されていない。
日常生活の注意点としては群発期は飲酒を避けるのが第一。発作前の予兆として肩凝りなどを感じる人もいるが、そうしたときは入浴は湯船に漬からないでシャワーで済ませた方がよい。
五十嵐教授は「この病気はあまり知られていないので市販薬に頼る人もいますが、それでは効果は見込めません。必ず専門医を受診して、的確な治療を受けるように」と勧めている。
記事元:http://kenko100.jp/articles/111020001179/