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睡眠とメンタルヘルスの密接な関係

十分な睡眠を得られないと、感情調整能力が歪みます。
これにより、長期的に精神障害の発症リスクが増大する可能性があります。
逆に、不安やうつなどの疾患が、さらなる睡眠障害を引き起こすこともあります。

幸いにも、睡眠の質を改善し、この悪循環から抜け出す効果が裏付けられた方法が存在します。
この特集では、睡眠とメンタルヘルスの深い関係について説明します。

米国疾病予防管理センター(CDC)によると、睡眠不足は2型糖尿病、心血管疾患、肥満のリスクを高めるといいます。

睡眠は身体を物理的に維持するために不可欠ですが、注意力や学習力、記憶力、感情的調節といった認知能力の維持にも役立ちます。

良質な睡眠は、世界を正確に認識するための能力を支えています。
研究によれば、3晩以上連続して完全に睡眠を取らないと、知覚が歪み、幻覚や妄想を生じることが示唆されています。

身体的および精神的健康のための睡眠の重要性に関する最新の発見は、テクノロジーによって、睡眠時間の重要性がかつてないほど削られている中で起こりました。
ソーシャルメディアやインターネット、オンデマンドTV、ビデオゲームにより、夜間にベッドから離れる機会がますます増えています。

CDCは、成人は1日7〜9時間の睡眠をとることを推奨しており、具体的な推奨は年齢によって異なります。

しかし、2012年の国民健康調査によれば、米国成人のほぼ3分の1(29%)が、毎晩6時間未満しか眠っていませんでした。


<メンタルヘルスとの双方向の関連>

睡眠不足は、メンタルヘルスに関する様々な問題を引き起こすリスクとして認識されています。

たとえば、ミシガン州の979人の若い成人を追跡調査した研究では、不眠症があると、3年後にうつ病を発症するリスクが4倍高くなることがわかっています。

研究のレビューでは、不眠症がうつ病だけでなく、双極性障害や不安障害の発症に先行しているという証拠が見つかりました。
研究者らはまた、不眠症と自殺のリスクの増加との関連性も見出しました。

2020年、JAMA精神医学で発表された研究では、幼児期の睡眠障害と思春期の精神病および境界性人格障害の発症との関連が特定されました。

睡眠障害は、精神障害を発症するリスクを高めるだけでなく、不安やうつ病、双極性障害、統合失調症など、ほとんどの精神疾患における共通の特徴でもあります。

精神科医のダニエル・フリーマン教授と、英オックスフォード大学の同僚研究者は、睡眠障害と、メンタルヘルス悪化における双方向の関連が、負のスパイラルにつながる可能性があると考えています。

彼らは「ランセット精神医学誌」で、医師がメンタルヘルス障害を抱える人々に対処する際、睡眠障害の解決により時間がかかる可能性があるとし、以下のように記述しています。

「睡眠障害は、[精神障害]の症状、結果、または非特異的な現象であるという従来の見方があります。臨床的な結果として、睡眠障害を治療する優先順位は低くなっています。別の見方として、睡眠障害は多くの精神障害の発生原因となる要因であるということがあります。その後、精神障害による苦痛を感じ、日中の身体機能への影響が出て、そして睡眠により回復することが困難になるという悪循環が生じます。」

不眠症を治療するための認知行動療法(CBT-I)は、睡眠障害と精神障害の負のサイクルへの対処方法として効果があることが証明されています。

フリーマン教授と同僚研究者は、英国内26の大学に所属する不眠症の学生3,755人に対し、CBT-Iまたは通常ケアのいずれかを無作為に割り当てたところ、CBT-Iによる治療が大幅な改善に関連していることがわかりました。

CBT-Iを受けた学生はよく眠れるだけでなく、パラノイアの発生が少なく、幻覚も少なくなりました。

2015年のメタ分析によると、CBT-Iは不眠症を患う人の、不安やうつの効果的な治療法にもなる可能性があるといいます。

出典 2020年8月4日更新 Medical News Daily『The close relationship between sleep and mental health』 (2020年8月6日に利用)一部抜粋
https://www.medicalnewstoday.com/articles/sleep-and-mental-health#Two-way-link-to-mental-health