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睡眠と更年期

気分障害、泌尿生殖器症状、性機能の変化や倦怠感と並び睡眠障害は、更年期障害に関連する主な症状のいくつかです。

更年期は、卵胞の活動がなくなり月経が永久に止まった時に訪れます。終わりの判断は、最後の月経から無月経が12か月続くと臨床的に閉経となります。

更年期の段階

自然閉経の平均年齢は世界中で異なります。しかし、英国では、閉経は平均51歳です。早期閉経は40歳から45歳の間に発生しますが、臨床症候群として40歳より以前に一時的または永続的な卵巣機能の喪失として定義される早発卵巣不全があります。

閉経前の期間として定義される閉経周辺期は、排卵と月経周期が不規則であることが特徴で、最後の月経から12か月後に終了とされます。

女性が12か月連続して月経がくなった時点より後が閉経後(postmenopause )と呼ばれます。

 

更年期の血管運動症状

更年期障害の睡眠障害の原因は、いくつかの症状に起因する可能性があります。

ほてりや寝汗を特徴とする血管運動症状は、最も一般的に報告されている更年期障害の症状です。これらの症状に加えて、末梢血管拡張があります。これは顔と胸の周りで発生し、通常は発汗が続き、急激な冷えを引き起こします。

閉経の血管運動症状は、更年期の途中で発生する内分泌的、身体的、および一時的な心理的変化などは、一種の更年期症状として特徴付けることもできます。

更年期障害に関連するその他の更年期症状には、動悸、頭痛、筋肉痛、しびれ、膣の乾燥、めまい、尿路症状などがあります。

不安やうつ症状、性欲の低下、集中力の低下、記憶障害など、いくつかの精神症状も閉経中に報告されています。

 

閉経期の疫学的な血管運動症状

閉経後の女性の約80%がこれらの症状を経験し、そのうち25%が生活の質に影響していると推定されています。

更年期障害の血管運動症状の重症度や期間は多岐にわたります。

一般に、これらは約1年〜2年間発生します。しかし、女性の約25%では5年間におよび、さらに9%ではその症状は生涯にわたります。

米国の女性を対象とした多民族の縦断的コホート研究では、アフリカ系とヒスパニック系アメリカ人の女性の間で血管運動症状がより蔓延していることがわかりました。

これらの症状は、日系人や中華系の女性の間ではあまり蔓延しておらず、また、非ヒスパニック系白人女性の間では有病率が最も低いことが報告されています。

血管運動症状と睡眠障害との関連は十分に確立されています。

それぞれ5,000人以上の女性と12,600人の女性を対象とした自己申告による睡眠障害と更年期症状の研究では、更年期症状のある女性での更年期障害のオッズ比は、症状のない女性と比較して2.0でした。

睡眠呼吸障害:睡眠障害

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は、臨床的には最も深刻な異常であり、その発生率は一般人口で12%です。

それは、いびきを伴う無呼吸または著しい呼吸の減少(低呼吸)につながる、『開放気道閉塞を特徴とします。

日中の眠気によりOSASと診断されます。

女性、特に閉経に向かっている女性、閉経後の女性では、上気道閉塞がOSASよりも一般的な夜間呼吸障害となっています。

睡眠時無呼吸の症状とよく似ている上気道閉塞の症状には、過度の眠気、いびき、傾眠の増加、朝の頭痛、発汗、活力の低下、集中力の低下、記憶力の低下、精神的耐性の低下などがあります。

睡眠呼吸障害の原因は、生理学的または構造的変数に関連しています。

閉経後は体脂肪が再分配され、ウエストヒップ比が増加し、首の幅が増加し、気道に圧力がかかる可能性があります。

別の因果関係は、呼吸器系を刺激することが示されている女性ホルモン、特にプロゲステロンの減少です。

更年期障害、気分、睡眠

更年期の女性は、男性と比較して、気分の症状、特にうつ病や不安の頻度が増加していると報告されています。

臨床症状のある女性の70%〜90%がうつを報告していると推定されています。

エストロゲンの減少はまた、気分調節のための重要な神経伝達物質である脳内のセロトニン濃度を減少させる可能性があります。

ドーパミン作動性およびアンドロゲン活性も閉経中に変動する可能性があり、これはエストロゲンが抗うつ効果を生み出す可能性があることを示唆するものです。

むずむず脚症候群

むずむず脚症候群(RLS)は、女性の間でより一般的な症状です。

最近の調査によると、18歳から64歳までの女性の約15%がRLSの症状を持っていることがわかりました。

特に、この研究の調査結果では、RLSの有病率が閉経の影響は受けないことを示しています。

ただし、閉経により、RLSが重度になると感じる可能性が高まることがあります。

この理由は、妊娠中の鉄欠乏やエストロゲンの高レベルが続くことを含めた理論が提唱されています。

逆に、それは閉経期のエストロゲンとメラトニンの低下が原因となるメカニズムが関係している可能性があります。

これらのメカニズムは、閉経が特にRLSの有病率に影響を与えるということではなく、ホルモン補充療法が女性の臨床転帰を変えるようには思われないため論争の的となっています。

また、RLSと並んで、周期性四肢運動症候群(PLMS)というものがあります。

これは、短い間隔で0.5秒〜5秒程度で継続する突然の腕や脚の反復運動を特徴とします。

RLSは成人の人口の5%〜15%で発生し、PLMSは約30%に発生します。

 

更年期障害が睡眠に与える影響を緩和

閉経周辺期、閉経後、閉経期の女性の睡眠に影響を与える症状を治療するために、いくつかの治療選択肢があります。

更年期障害に関連した不眠症を緩和するための第一選択療法は、ホルモン療法(HT)となることがよくあります。

不眠症が気分に影響している更年期の女性もHTの効果があり、無症候性の血管運動でも同様です。

HTは乳がんの発症リスクの増加に関連していることに注意する必要があります。

ただし、これらの影響についてはHTを行っている場合に毎年、乳房検査と年2回のマンモグラムを行うことができればHTは十分な治療選択となりえます。

閉経に関連した不眠症での追加選択肢となる薬剤には、選択的セロトニン再取り込み阻害薬、抗うつ薬、催眠薬、または抗不安薬などがあります。

暗く静かな部屋で快適な室温で寝ること、昼寝を避けること、カフェイン入り飲料の摂取量を減らし、ヨガや漸進的筋弛緩法といったリラクゼーションやトレーニングによる睡眠衛生習慣の改善も、不眠の女性での睡眠の量と質を改善することがわかっています。

認知行動療法または睡眠制限および睡眠強化療法も有益である可能性があります。

 

終わりに

更年期障害とそれに関連する症状、特に更年期症状は、睡眠の質を損ないます。

睡眠の質の低下は、全身性疾患、精神疾患、および事故のリスクの増加に繋がります。

更年期障害、特に発汗や夜中に起きるホットフラッシュなどの更年期障害に関連する症状は、睡眠障害を引き起こしそれを悪化させることがよくあります。

すべての年齢層の男性と比較して、これらの睡眠の問題は女性の間で一般的であり、睡眠の問題について助けを求める女性が増えるにつれ、その有病率は増加しています。





【以下のリンクより引用】

Sleep and Menopause

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