睡眠時無呼吸とうつ病の関係
新しい研究では、睡眠時無呼吸と鬱病との関連性が調査されており、、睡眠時無呼吸が鬱病の治療に失敗する1つの理由である可能性があることが示唆されています。
うつ病やその他の気分障害を持つ人々の約20〜30%は、既存の治療法では彼らが必要とする援助を受けられません。
うつ病は「世界的に障害を引き起こす主な原因」となっています。
このため、効果的な治療法を考え出すことが最も重要です。
新しい研究では、治療抵抗性鬱病の潜在的な原因として閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)が指摘されており、睡眠状態のスクリーニングと治療が、鬱病の症状を軽減する可能性があることが示唆されています。
オーガスタ大学ジョージア医学部のウィリアムV.マッコール博士は、この研究の主著者です。
彼は、次のように述べています。
「治療抵抗性うつ病の潜在的な原因としてOSAを評価することは誰も行っていませんが、大うつ病性障害のある人の約50%にOSAが起こります。」
彼は、精神医学研究誌(The Journal of Psychiatric Research)に掲載された彼のチームの新しい論文がこれを改善することを願っています。
うつ病患者の14%がOSAに罹患
マッコール博士とチームは、大うつ病性障害と自殺思考のある人々を対象とした無作為化臨床試験で、診断が未確定であるOSAの発生率を調べました。
彼らは、もともと彼らの不眠症を治療することが鬱病の症状を改善するかどうかを確認する目的で鬱病に罹患する125人の参加者について調査を行いました。
最初の試験では、睡眠薬を服用している人、肥満や「むずむず脚症候群」の人など、OSAの危険性がある人は除外されました。
科学者たちが睡眠調査で参加者へのテストを行ったところ125人中17人(ほぼ14%)がOSAを患っていたことがわかりました。
マッコール博士らは、OSAを患っていた人々は、昼間の眠気など、通常、OSAの重度の症状がみられなかったことを確認しました。
また、参加女性17人のうち6人は肥満ではありませんでした。
これは、通常、OSAの危険にさらされているとされる人口統計グループである“肥満の男性”とは対照的です。
「私たちは、OSAのある人達のイメージとはかけ離れた結果に驚きを覚えました。」とマッコール博士は言います。
また、125人の参加者のうち52人は治療抵抗性鬱病でした。
治療抵抗性鬱病のある人の中の8人は、また、OSAでした。
将来の治療法の選択肢
研究者らは、甲状腺機能低下症、癌、頸動脈疾患などの基礎疾患が治療抵抗性鬱病の原因になることが多いと指摘しています。
したがって、鬱病を持つ多くの人々は、治療が失敗した原因を突き止めるために一連の侵襲的で費用のかかる検査を受けます。
そういった検査にはMRIスキャンや脊椎穿刺さえも含まれる可能性があります。しかしマッコール博士と博士のチームは最初に睡眠検査を勧めています。
「私たちは、治療抵抗性うつ病の検査で脊椎穿刺をする前に、最初に睡眠検査をする必要があるかもしれません。」
「睡眠時無呼吸症の人々がうつ病の症状について話していることを私たちは知っています」と彼は続けます。 「私たちは、あなたが[OSA]を持っているなら、あなたが抗鬱剤にうまく反応することができないことを知っています。」
「睡眠時無呼吸があるのであれば、CPAP装置を使用すれば、それが良くなることを私たちは知っています。そして今、私たちは、鬱や自殺傾向がある人々に睡眠時無呼吸という隠れた症状があることがわかっています。」
と博士は言います。
しかし、研究著者らは、ベータ遮断薬やコルチコステロイドを含む他の薬の副作用といった、他の要因が治療抵抗性の鬱病を引き起こす可能性があることも認めています。
彼らはまた、自殺傾向も重要な要素であることを指摘しており、更なる調査分野は、睡眠時無呼吸を治療することが自殺念慮を減少させることができるかどうかということであるべきだと示唆しています。
米国では、自殺はあらゆる年齢の人々の間で10番目に多い死因となっています。
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