研究：腸内細菌に糖尿病治療薬の働きに影響を与える可能性
2018年12月26日水曜日 - あなたの消化器系に住むバクテリアが糖尿病薬の代謝に関係するかもしれないという新しい研究が示されています。
研究者らは、消化器系に存在するバクテリアである腸内微生物叢が糖尿病薬の働きを損なう、または高める可能性があるかどうかを調べるために、人やマウスで行われた100件以上の発表済みとなっている研究をリビューしました。
「同じ薬物を服用し、同じ食事を摂っている人が2人いるとすると、2人の腸内には異なる微生物が存在するため、血糖値は同じようには作用しません。」と、研究主任のハリオム・ヤダブ氏は述べています。
彼は、ノースカロライナ州ウィンストンセーラムにあるウェイクフォレストバプテストメディカルセンターの分子医学の助教授です。
ヤダブ氏はまた、静脈内に投与した場合でいくつかの糖尿病治療薬はうまく作用すると述べました。しかし、錠剤として投与されると全く効果がない可能性があります。
ホルモンインスリンはそのような薬剤の一つです。
ヤダブ氏によると、メトホルミンという一般的に使用される糖尿病薬は錠剤としてはうまく効きますが、静脈内に与えられたときには効果がありません。
American Diabetes Association（米国糖尿病学会）によると、メトホルミンは通常、2型糖尿病患者に最初に投与される経口治療薬です。
薬は体がより多くのインスリンを使用するのを助けます。
ヤダブ氏によると、メトホルミンは腸のマイクロバイオーム（細菌叢）と相互作用することで最もよく知られている糖尿病薬です。
「マイクロバイオームはメトホルミンの働きを助け、経口経路で与えられたときにしか働きません。静脈内投与では血糖値は下がりません。」と彼は述べました。
メトホルミンは血糖値を抑えるのには役立ちますが、吐き気や下痢などの副作用は一部の人にとって耐え難いものになることがあります。
「メトホルミンの副作用のほとんどは腸に関連しています。プレバイオティクスを服用した場合にメトホルミンの耐性が高まるかどうかを調べるために、メトホルミンの副作用を研究しています。」とヤダブ氏は述べています。
栄養学アカデミーによると、プレバイオティクスは、健康な細菌の増殖を促進する、食品中の天然成分です。
プレバイオティクスは、果物、野菜、全粒穀物に含まれています。プレバイオティクスは、食品に含まれる優れた細菌なのです。
マイクロバイオームと相互作用することが判明したもう1つの糖尿病治療薬はアカルボースです。
この薬は特定の炭水化物の腸管吸収と消化を遅らせます。それは薬がマイクロバイオームの食物源に影響を及ぼしていることを意味します。
研究者らは、この薬は2型糖尿病患者に見られるマイクロバイオームの不均衡を部分的に回復させるのに重要な役割を果たすと述べました。
それでは、これが2型糖尿病患者には何を意味するのでしょうか。
ヤダブ氏は、人々が最初にこの疾患と診断されると、通常は1種類の薬剤が処方されると述べました。
それでうまくいかない場合は、別の種類の薬を試してから、おそらく複数の薬の組み合わせを試します。
「うまくいく方法を見つけるまでは試行錯誤です。しかし、私たちがマイクロバイオームのサインを持っていれば、医師はどんな薬で治療がうまくいくのかを予測することができます。
私たちはこれらのマーカーを開発しようとしています。それと同時に、マイクロバイオームの薬の働きを助けるプレバイオティクス の開発にも取り組んでいます。」と彼は説明しました。
「マイクロバイオームは私たちを助けることができます。あなたの体内にいる微生物があなたの体のためにしていることを知り、それらに適切なものを与えるのは良いことです。一般的に、主に繊維質の多い食事はマイクロバイオームをより幸せにします。」とヤダブ氏は述べました。
ニューヨークのモンテフィオーレメディカルセンターにある臨床糖尿病センターの所長であるジョエル・ゾンゼイン博士は次のように述べています。
「マイクロバイオームは糖尿病において重要な役割を果たしています。それは栄養素、抗生物質の使用、または摂取される化学物質によって変化します。マイクロバイオームが糖や脂肪の代謝に重要な役割を果たしていることに疑いの余地はありません。」
しかし彼は、マイクロバイオームが薬の効き具合にどの程度影響するかを疑問視しました。
「薬物に対する個人の反応の違いは、マイクロバイオームが及ぼす影響よりも複雑です。腸内マイクロバイオームは薬物代謝に影響を与える可能性がありますが、それが薬の効力を変えたり薬の不活性や毒性を生み出すということは疑わしいです。」
この研究は『EBioMedicine』誌に掲載されました。
【以下のウェブサイトより引用】