研究により、マッサージや音楽療法も、抗精神病薬と同様認知症症状の管理に効果的であることが判明
医学的エビデンスのレビューを行った所、マッサージや音楽療法といった薬を用いない治療法も、抗精神病薬と同じくらい認知症症状の治療に効果的であることがわかりました。
先週王立委員会が出した高齢者介護基準に関する中間報告では、抗精神病薬や抗うつ薬といった化学的抑制への「過度の依存」があったとの報告があり、これは関連のある内容です。
報告の中で、高齢者を落ち着かせてコントロールするために薬物を使用することは「非人道的、虐待的、不当」であると説明されており、連邦保健大臣グレッグ・ハントは、政府が高齢者介護施設での高齢者の薬物使用を止めるための対策を講じると述べました。
高齢者介護において抗精神病薬の処方頻度が高いことは、何年もの間知られてきました。
昨年行われたオーストラリアの研究では、高齢者介護施設入居者の5人に1人が、毎日抗精神病薬を投与されていることがわかりました。
この薬は一般的に、興奮や攻撃性といった認知症の行動的および身体的な症状の管理に使用されます。
しかしエビデンスでは、向精神薬は認知症関連の症状管理にはあまり効果が無く、重大な副作用が発生する可能性があることも示されています。
こうした薬は、人によっては転倒や骨折、認知機能障害、死のリスクを高めます。
そのため、抗精神病薬の使用を減らし、それらを非医学的治療に置き換えることに大きな関心が寄せられています。
カナダの研究チームがアナルズ・オブ・インターナル・メディシン誌で発表したこの話題に関する科学研究の最新レビューでは、認知症の攻撃性および興奮に対し、非薬物治療の少なくとも一部が、通常の薬物治療による効果と同じくらい、時にはそれい以上に効果的であることがわかりました。
「私たちは、マッサージ療法もしくはマッサージ療法に音楽療法と集学的ケアを組み合わせた方法
が最も効果的な介入方法であることを発見しました。」と、この研究の筆頭著者であり、セイントミカエル病院で老人病専門医を務めるジェニファー・ワット博士は言います。
マッサージ療法は5分間のハンドマッサージなど簡単なもので問題なく、また音楽療法には患者の好きな音楽（もしくは子供の頃に好きだった音楽）の演奏等があります。
集学的ケアとは、ソーシャルワーカーや看護師など異なる専門家が関わり、患者のニーズを探っていく方法です。
＜費用は？＞
薬物を用いない治療法に対する反対意見として、費用の問題があります。
このような種類の療法を提供するために必要なスタッフの導入には、多くの費用がかかります。
カナダのレビューでは、こうした治療法の費用対効果については調べられておらず、次回行うレビューでの実施を計画しています。
しかしワット博士は、いくつかの介入方法は皆が考えるほど時間や費用が掛からないと話します。
「例えば、私が老人病専門医として治療に取り入れる場合、音楽療法なら、各入居者のiPODを渡し、入居者の家族に彼らが重度の認知症を発症する前に好きだった音楽ジャンルを選んでもらうというような、簡単な方法があります。」と、彼女は話します。
「同様にマッサージ療法は、5分間のハンドマッサージ、もしくは手を握るようなシンプルなことで良いのです。そして繰り返しますが、こうした方法には患者を非常に元気付ける効果があります。」
とあるオーストラリアの研究で、研究者らは高齢者介護施設で入居者が摂取していた抗精神病薬の数を報告しました。
「数人の入居者にしか使用していないと思っていたところ、全体の使用パターンを見てみると、思ったよりも多くの人に使用していることに気付き驚いていました。」と、ジュアニタ・ウェストブリー博士はヘルスレポートへの取材に答えています。
この研究は、高齢者介護における抗精神病薬の処方数を減少させる複数の方法を試したところ、2年間で大幅な減少を達成しました。
抗精神病薬の処方率は13％減少し、ベンゾジアゼピン（バリウムに似た薬）の処方率は21％減りました。
出典： 2019年11月6日更新 ABC News『Massage, music therapy manage dementia symptoms as well as antipsychotic drugs, study finds』（2019年11月14日に利用）
https://www.abc.net.au/news/health/2019-11-06/alternatives-to-antipsychotic-drugs-as-effective-study...
先週王立委員会が出した高齢者介護基準に関する中間報告では、抗精神病薬や抗うつ薬といった化学的抑制への「過度の依存」があったとの報告があり、これは関連のある内容です。
報告の中で、高齢者を落ち着かせてコントロールするために薬物を使用することは「非人道的、虐待的、不当」であると説明されており、連邦保健大臣グレッグ・ハントは、政府が高齢者介護施設での高齢者の薬物使用を止めるための対策を講じると述べました。
高齢者介護において抗精神病薬の処方頻度が高いことは、何年もの間知られてきました。
昨年行われたオーストラリアの研究では、高齢者介護施設入居者の5人に1人が、毎日抗精神病薬を投与されていることがわかりました。
この薬は一般的に、興奮や攻撃性といった認知症の行動的および身体的な症状の管理に使用されます。
しかしエビデンスでは、向精神薬は認知症関連の症状管理にはあまり効果が無く、重大な副作用が発生する可能性があることも示されています。
こうした薬は、人によっては転倒や骨折、認知機能障害、死のリスクを高めます。
そのため、抗精神病薬の使用を減らし、それらを非医学的治療に置き換えることに大きな関心が寄せられています。
カナダの研究チームがアナルズ・オブ・インターナル・メディシン誌で発表したこの話題に関する科学研究の最新レビューでは、認知症の攻撃性および興奮に対し、非薬物治療の少なくとも一部が、通常の薬物治療による効果と同じくらい、時にはそれい以上に効果的であることがわかりました。
「私たちは、マッサージ療法もしくはマッサージ療法に音楽療法と集学的ケアを組み合わせた方法
が最も効果的な介入方法であることを発見しました。」と、この研究の筆頭著者であり、セイントミカエル病院で老人病専門医を務めるジェニファー・ワット博士は言います。
マッサージ療法は5分間のハンドマッサージなど簡単なもので問題なく、また音楽療法には患者の好きな音楽（もしくは子供の頃に好きだった音楽）の演奏等があります。
集学的ケアとは、ソーシャルワーカーや看護師など異なる専門家が関わり、患者のニーズを探っていく方法です。
＜費用は？＞
薬物を用いない治療法に対する反対意見として、費用の問題があります。
このような種類の療法を提供するために必要なスタッフの導入には、多くの費用がかかります。
カナダのレビューでは、こうした治療法の費用対効果については調べられておらず、次回行うレビューでの実施を計画しています。
しかしワット博士は、いくつかの介入方法は皆が考えるほど時間や費用が掛からないと話します。
「例えば、私が老人病専門医として治療に取り入れる場合、音楽療法なら、各入居者のiPODを渡し、入居者の家族に彼らが重度の認知症を発症する前に好きだった音楽ジャンルを選んでもらうというような、簡単な方法があります。」と、彼女は話します。
「同様にマッサージ療法は、5分間のハンドマッサージ、もしくは手を握るようなシンプルなことで良いのです。そして繰り返しますが、こうした方法には患者を非常に元気付ける効果があります。」
とあるオーストラリアの研究で、研究者らは高齢者介護施設で入居者が摂取していた抗精神病薬の数を報告しました。
「数人の入居者にしか使用していないと思っていたところ、全体の使用パターンを見てみると、思ったよりも多くの人に使用していることに気付き驚いていました。」と、ジュアニタ・ウェストブリー博士はヘルスレポートへの取材に答えています。
この研究は、高齢者介護における抗精神病薬の処方数を減少させる複数の方法を試したところ、2年間で大幅な減少を達成しました。
抗精神病薬の処方率は13％減少し、ベンゾジアゼピン（バリウムに似た薬）の処方率は21％減りました。
出典： 2019年11月6日更新 ABC News『Massage, music therapy manage dementia symptoms as well as antipsychotic drugs, study finds』（2019年11月14日に利用）
https://www.abc.net.au/news/health/2019-11-06/alternatives-to-antipsychotic-drugs-as-effective-study...