研究によりこれまで知られていなかったてんかん発作の引き金が明らかに
バージニア大学(UVA)医学部の研究者は、脳の皮質微小回路の問題がどのようにして、てんかん発作を引き起こす可能性があるかを明らかにしました。
研究者たちは、その問題を標的とすることは、壊滅的な形の病気の新しい治療法につながる可能性があると言います。
UVAのてんかんの研究者であるエリックR.ウェンガート氏とマノジ・K・パテル氏、そして彼らの研究チームは、『ソマトスタチン介在ニューロン』と呼ばれる特定の種類の脳細胞が、混乱した際に発作を引き起こす可能性があると判断しました。
これらの介在ニューロンは通常、脳内の過度の活動を防ぎ、発作を防ぐために組み込まれたブレーキシステムとして機能すると考えられていますが、ウェンガート氏らは、機能不全の場合、ソマトスタチン介在ニューロンが実際には、過剰な脳活動と発作を引き起こすことを発見しました。
これらの機能不全は、人間の患者に、まれなてんかん症候群を引き起こすことが知られている特定の遺伝子の突然変異によって引き起こされます。
これらの突然変異は両親からの遺伝として受け継がれず、代わりに受胎直後に発生します。
「発作の原因となる特定の神経細胞を特定することは、研究者の新しい治療法の開発への道しるべとして役立つため重要です。」
と、UVAの麻酔科に属する パテル氏は述べています。
「この研究に基づいて、脳のバランスを取り戻し、発作を予防するための新しい細胞標的ができました。」
てんかん発作の原因を理解する
研究者らは、『SCN8Aてんかん性脳症』と呼ばれるまれな神経学的疾患の調査の一環として、ソマトスタチン介在ニューロンの役割を調べました。
SCN8Aは疾患を引き起こすSCN8A遺伝子の突然変異を指します。
SCN8Aてんかん性脳症の子供は、多くの場合、投薬に反応しない再発性発作、ならびに重度の発達遅延および運動障害に苦しんでいます。
彼らはまた、てんかん関連での死亡の最大の原因である『てんかん突然死』の重大なリスクにさらされています。
SCN8Aてんかん性脳症で何が起こるかをよりよく理解するために、研究者らは患者で発見された2つのSCN8A変異のマウスモデルを開発しました。
これらのモデルにより、どのニューロンが神経機能障害の原因であるかを判断することができました。
研究者らは、両方のSCN8A変異がナトリウムチャネルに有害な変化を引き起こし、『ソマトスタチン介在ニューロン』が、「通常は非常に活性であるときにその機能を停止する」ということを発見しました。
「それは、ブレーキが壊れた車のスピードを原則できない状況に似ています。」
とウェンガート氏は述べました。
「脳活動を弱めるために、『ソマトスタチン介在ニューロン』が適切に機能していない脳は、興奮状態の暴走を引き起こし、てんかん発作を引き起こす可能性があります。」
彼らの発見に基づき、科学者たちは、興奮した状態の介在ニューロンを固定する方法を開発することによって、SCN8Aてんかん性脳症を治療することが可能であるかもしれないと信じています。
また研究結果は、てんかんをより広く理解するのにも役立つと彼らは言います。
「この研究はSCN8Aてんかん性脳症に焦点を合わせましたが、我々の結果はソマトスタチン介在ニューロンがてんかん発作の一般的な原因であることを特定しています。」
とウェンガート氏は述べました。
「これらの細胞で適切な機能を回復する方法を特定できれば、これらの方法により、さまざまなタイプのてんかんの患者へより良い抗てんかん治療を提供できるようになるかもしれません。」
研究者たちは、彼らの発見を査読付き科学ジャーナル『Journal of Neuroscience』に発表しました。
【以下のリンクより引用】
Epilepsy research reveals previously unknown trigger for seizures
Medical Xpress
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