研究者らは前立腺がんが治療に対してにどのようにしてより積極的に増殖するかを詳しく説明
癌は人体の中で増殖し広がるにつれて、時間の経過とともに攻撃性が高まる傾向にあります。
そして治療中には薬剤に対する耐性が生じるため、これが加速する可能性があります。
前立腺がんにおいては、一部のがんは小細胞神経内分泌がん (SCN前立腺がん) として知られる、治療抵抗性のまれな腫瘍に進化します。
研究者らは今回、より一般的な種類の前立腺がんがSCNがんに変化する分子段階を初めて記録し、詳細に明らかにしました。
この腫瘍の進化をより深く理解できれば、SCN前立腺がんの発症を防ぐ新しい治療法につながる可能性があります。
トーマス・グレーバー氏と共に新たな研究を共同主導したオーウェン・ウィッテ博士は次のように述べています。
「私達は初めて、これらの非常に悪性度の高い腫瘍を引き起こすプロセスを明らかにする真の機会を得ることができました。」
両研究者は、UCLA イーライ・エディス・ブロード再生医療・幹細胞研究センターおよびジョンソン総合がんセンターの一員です。
SCN前立腺がんは、新たに診断される前立腺がん全体のほんのわずかな割合にすぎませんが、治療後に成長を続ける腫瘍ではより一般的です。
どちらの場合も、SCN がんは特に増殖が速く、治療が困難となります。
研究者らはこれまでに、より一般的な前立腺腺がんとSCN前立腺がんの間の分子的な違いを特定していましたが、それらの変化がどのようにして起こったのかについてはまだ理解してはいませんでした。
「これまで、これらの小細胞神経分泌がんがどのように発生するのかについて具体的なタイムラインが存在せず、臨床でそれらの治療方法を設計するのは非常に困難でした。」
とグレーバー氏は述べました。
科学誌Cancer Cellに掲載されたこの新しい研究では、研究者らは前立腺がんのマウスモデルを使用しました。
このモデルでは、健康なヒト前立腺細胞がマウスに移植され、その後に腺がんとなり、さらにSCN癌になるように誘導または操作されました。
「正常細胞から始めてこの進行を最後まで追跡することで、あらゆる時点で何が起こっているかを正確に追跡する独自の能力が得られました。」
と、UCLAブロード幹細胞研究センター研修の大学院生であり、このプログラムおよび研究の筆頭著者あるオルガ・チア・チュン・チェン氏は述べました。
チェン氏らは、少なくとも10週間にわたり、2週間ごとに腫瘍の生検材料を収集し、各時点での活性化された遺伝プログラムの詳細な分析を実施しました。
前立腺腺癌とSCN癌の間には数十カ所の違いがあるにもかかわらず、研究チームは、前立腺腺癌がSCN癌に進展する予測可能な経路は2つだけであることを発見しました。
研究者らはまた、一部の肺がんが同様の経路をたどってSCN癌に進行することも示しました。
「主要な経路が 2 つしかなかったというのは本当に驚きでした。」
とグレーバー氏は述べました。
「そして、それは私たちに今後の治療法への大きな希望を与えてくれます。なぜなら、何百ものルートを塞ぐよりも2つのルートを阻害する方法を見つける方が、はるかに簡単だからです。」
研究者らは、これらの新たに発見された進化経路を阻止する方法を開発するため、今後更なる研究を計画しています。
彼らがSCN癌の進行にとって重要であると特定した分子変化のいくつかは、薬剤の標的となる可能性があります。
研究者らは、本格的なSCN前立腺がんや肺がんを治療する薬剤を開発するという困難な課題ではなく、薬剤によって悪性度の低いサブタイプの進行を阻止し、SCNがんが発生しないようにできるのではないかと仮説を立てています。
「ここで言えることは、これはがんがより悪性化するために必要な再現可能なプロセスであり、癌がそのルートをたどることを予測できれば、もしかしたら、それを防ぐことができるかもしれないということです。」
とウィッテ博士は述べています。
【以下のリンクより引用】
Researchers detail how prostate cancers grow more aggressively to evade treatment
Medical Xpress
当社関連商品カテゴリー:癌