社会的および視覚的な神経回路網が自閉症の一部の子供では繋がらない

自閉症スペクトラム障害（ASD）の最初に最も多く報告される症状には、他者との相互作用に対する子どもの嫌悪感があります。

具体的には、他の子供たちが遊んだり、歌ったり、踊ったりするのを見るなど、幼い子供の注意を通常引き付ける社会活動や刺激に興味がないように見えるのです。

カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部の研究者は、2019年12月17日にeLife誌のオンライン版で公開された新しい研究において、新しい視覚追跡プログラムと脳イメージングを組み合わせることで、社会的刺激を無視し、動いているカラフルな幾何学的画像を見るのを好むASDを持つ幼児は、　　より深刻な社会的症状と、社会的および視覚的注意の脳の神経回路を接続する脳活動のレベルが低いことがわかりました。

これは、ASDを持つ幼児のサブタイプでは、自閉症の幼児の約20％が子供の写真よりも幾何学的画像を好むという、視覚的および社会的な脳神経　回路の間に断絶があることを示しています。これらのASDを持つ幼児では、楽しい社会的感情的刺激ではなく、カラフルで動く形が、神経活動、注意、学習を制御します。」

と、上級著者のひとりでUCサンディエゴ校の神経科学の教授であり、自閉症センター・オブ・エクセレンスの共同ディレクターであるカレン・ピアス博士、そして共著者で神経学科の教授であるエリック・クールシュネ博士は述べました。

社会的および視覚的神経回路網の日々の切断により、注意、経験、および学習が、低レベルであるものの、カラフルで回転する形のような視覚的の顕著な刺激へ向けられるようになります。

これは、症状の原因となる可能性があり、一部のASDを持つ幼児で社会的障害が観察される場合があります。

しかし、この発見は、ASDと診断された幼児や児童の治療のための新しい道を提供するかもしれないと彼女は付けくわえました。

「現在、子供は自閉症の診断を受けると、通常、応用行動分析の原理に基づいたかなり一般的な治療を紹介されます。将来的には、ASDの診断後、その子供はより詳細な生物学的評価を受けて、彼らの視線と脳ネットワークの活性化パターンに関する情報がより具体的な治療法を示す可能性が　　あります。」

と彼女は述べました。

「治療期間後のある時点で2回目の生物学的評価が行われた場合、脳画像と視線の追跡を併用して治療の有効性を判断することも可能です。」

ピアス博士と同僚は、ASDの診断と治療における視線技術の可能性を数年間調査してきました。

たとえば、2010年には、彼らは、簡単な1分間のアイトラッキングテストで、ダンスやヨガをする子供の映画よりも幾何学的な形の映画を好む14か月の幼児が、より長い標準的な行動診断テスト（ADOS）を使用してASDと診断されたと報告しました。

逆に、発達が通常通りである乳幼児は「社会的」画像を見ることを好みました。

この新しい研究では、研究者はアイトラッキング（カメラが画面上のどこで何を見ているかをカメラが監視および記録する方法）と、異なる脳回路間の　相互接続性を詳述する『機能的磁気共鳴画像（fMRI）』のデータを組み合わせました。

「基本的な神経科学では、人間の脳には多くの、いわゆる「静止状態」のネットワークがあり、それぞれが異なる感覚、注意、認知、社会機能に関与　　していることがわかっています。これらのネットワークは明確な行動を行っていない、自然な睡眠中でも活動しています。」

とクールシュネ博士は述べました。

「デフォルトモードネットワーク、またはDMNという1つのソーシャルネットワークは、自分や他の人のことを考えているときに非常に活発になります。　　自閉症の人が社会的困難を抱える理由の中心はDMNの異常であると考えられます。DMNは誰かが見ているもの、脳の発達を促進する、誰かが視覚的に参加するものを理解するなど、社会的または非社会的刺激-貴重な情報を提供します。」

ASDを持つ幼児とASDでない幼児の両方のグループでの比較結合データを調べ、研究者は、ASDの子供のDMNや視覚および注意ネットワークなどの社会的脳回路の間で、典型的ではない神経相互作用（連結性が低いこと）を発見しました。

低連結性が大きければ大きいほど、特に幾何学的な嗜好があるASDを持つ幼児では、社会的コミュニケーションの困難さがより深刻になります。

ピアス博士は、この調査結果により、依然としてASDの大部分が神秘的で複雑な部分に新しい情報と詳細が追加されると述べました。

【以下のリンクより引用】

Social and visual neural networks do not connect in some children with autism

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