社会的ストレスが閉経後の骨密度の低下に結びつく
多くの社会的ストレスにさらされている高齢の女性は、そのような心配のない生活を送っている同年代の女性よりも、閉経後に骨が脆性になり 骨折を起こしやすい可能性が高いと、最近の研究では示唆しています。
研究者は、閉経後の女性11,020人を6年間にわたって追跡し、定期的な骨密度(BMD)検査と気分についての評価を実施しました。
研究の参加者は、社会的ストレス、または否定的な相互作用や関係、彼女たちへの社会的支援、良好な関係、社会的機能、または社会活動の制限などの度合いについて評価されました。
研究では、社会的ストレススコアが1ポイント増加するごとに、首周囲でのBMDが0.082%低下し、股関節のBMDでは0.108%の低下、 および脊椎下部のBMDでは0.069%の低下していたとわかりました。
「骨折は、骨量の減少につながるさまざまな危険因子により引き起こされ、高齢の女性では2人に1人に影響を与える、大きな社会的な負担と なっています。」
と、研究の主著者であり、アメリカ・アリゾナ州にツーソンにあるアリゾナ大学の研究者であるショーナ・フォリス博士は述べました。
「私たちは、高い社会的ストレスが、高齢女性の骨密度の損失を増加させる1つの危険因子であることを発見しました。」とフォリス博士は 述べました。
閉経期およびその後のエストロゲン産生の減少は、女性の新しい骨組織の産生を遅らせる可能性があります。
時間が経つにつれて、このプロセスはBMDの減少につながり、骨粗鬆症のリスクを高めます。
骨粗鬆症によって薄くなった骨は脆く、そのため簡単に骨折してしまいます。
骨粗鬆症と精神的健康との関係に関するこれまでの研究の多くは、骨の薄化または骨折による機能障害が、うつ病や不安などの気分障害の 一因であるかどうかに焦点を当てていたと研究者らは指摘しています。
『Journal of Epidemiology&Community Health』誌で発表されたこの研究では、年齢、教育、慢性的な健康問題、体重、喫煙状況、アルコールの 使用、ホルモン療法、閉経年齢、身体活動、骨折歴などの骨の健康に影響を与える可能性のある他の要因を研究者が考慮した後でも、 高いレベルの社会的ストレスはBMDの低下と関連していました。
社会的機能が低いことは、首と腰のBMDでのより大きな減少に結びついていたことが研究でわかりました。
そして、社会的支援が低いことは、首のBMDのより大きな低下に関連していました。
この研究は、社会的ストレス要因が骨密度に直接影響することは証明しておらず、研究者はさまざまな社会的ストレス要因と転倒または骨折との関連性も調べていません。
また、社会的ストレスの緩和が骨の健康に影響を与えるかどうかはこの研究からはわかりません。
それでも、この研究結果は、ストレスをより良く管理し、仕事をしている年配の女性は骨がより健康で骨折リスクもより低い可能性があることを 示していると、北米閉経学会の名誉理事で、バージニア州シャーロッツビルのバージニア大学医療システムの中年の健康管理責任者である ジョアン・ピンカートン博士は述べています。
「不安があるか、社会的ストレスレベルが高い女性の場合には、マインドフルネス、認知療法、自己鎮静法、ヨガ、カウンセリング、コミュニティの 構築、または必要に応じて薬物療法により、心理社会的ストレスレベルを低下させることができます。」
女性が骨粗鬆症になったとしても、骨が脆くなることを防ぐためにできることはまだあるとピンカートン博士は付け加えました。
「カルシウム、ビタミンDの摂取および筋力トレーニングは、さらなる骨量の減少を防ぐ可能性があります。」
「多くの女性は骨粗鬆症の治療薬に伴う副作用を恐れていますが、骨折が人生を変えてしまう可能性がある一方で、薬の副作用は、 実際にはまれなのです。」
フォサマック(アレンドロン酸ナトリウム)、アクトネル(リセドロン酸ナトリウム)、ボンビバ(イバンドロン酸ナトリウム)などの骨粗鬆症治療薬は、 体が古い骨を除去する速度を遅らせることで作用し、骨を再生して骨折を起こしにくくします。
これらの薬は、吐き気や腹痛のほか、大腿骨のひび割れや顎骨の損傷など、まれではあるもののより深刻な副作用を引き起こす可能性が あります。
代替治療には、エストロゲンまたは2つの注射薬、デノスマブとテリパラチドなどがあります。
【以下のウェブサイトより引用】
Social stress tied to lower bone density after menopause
Reuters