神経内分泌腫瘍の治療におけるエベロリムスの有効性
第III相RADIANT-4試験のサブグループ解析で、mTOR阻害剤エベロリムスは、胃腸管の進行性の神経内分泌腫瘍(NET)を有する患者において、プラセボと比較した場合、無増悪生存率を6〜8ヶ月改善したことがわかりました。
これらの結果は、2016年のアメリカ臨床腫瘍(ASCO)消化器癌シンポジウムで発表される予定です。
「私の意見では、進行性のNET患者において、エベロリムスは、これまでのいくつかの治療法を経験した疾患において、効果的で新しく、刺激的な治療選択肢になります。」と、トロントにあるサニーブルックオデットがんセンターの腫瘍内科医で、研究著者であるシムロン シン医学博士は会議に先立つ会見において、このように述べました。
進行性NETの患者302人を2対1に無作為化したRADIANT-4試験では、被験者は10 mgのエベロリムスまたはプラセボのいずれかを毎日投与されました。
RADIANT-4試験はまた、肺に起因する疾患を有する患者が含まれていますが、現在の分析は、胃腸管のNET(N = 175)だけでなく、原発不明(N = 36)のNETを有する患者が含まれていました。
分析では、消化器系のNETを持つ患者は、エベロリムス群では、無増悪生存期間の中央値は13.1カ月で、プラセボ群での5.4ヵ月と比較して、疾患の進行において推定44%のリスク低下があることがわかりました。
NET起源で、最も一般的な部位は直腸(患者の23%)、続いて回腸(患者の41%)でした。
原発不明のNET患者では、無増悪生存期間の中央値は、エベロリムス群で13.6カ月となり、プラセボ群で7.5ヵ月と比較して、疾患の進行においては推定40%のリスク低下となりました。
「この研究で興味深いことは、治療前どうだったかにかかわらず、患者が軒並みエベロリムスの恩恵を受けているように思えたことです。」とシン博士は述べました。
すべての患者は、手術、化学療法、またはソマトスタチンアナログによる治療後に、疾患の進行がありました。
消化器系起因のNET患者の70%は手術を受けた経験があり、59%はソマトスタチンを摂取、19%は化学療法を受けていました。
エベロリムスは、現在、転移性エストロゲン受容体陽性乳癌、膵臓癌、腎細胞癌、および上衣下巨細胞性星細胞腫を有する成人および子供の患者の治療用に米国食品医薬品局(FDA)で承認された経口薬です。
サブグループ内の5%以上の患者で報告された最も一般的な高悪性度の副作用は、下痢、高血圧症、口内炎、腹痛、倦怠感、および急性腎不全でした。有害事象プロファイルでは明らかになっていない新たな安全性シグナルと、エベロリムスの以前の研究とが一致していました。
(記事元)http://www.cancernetwork.com/neuroendocrine-tumors/everolimus-effective-treating-neuroendocrine-tumors