禁煙で腰痛が緩和する?
禁煙すべき理由は既にたくさんありますが、慢性腰痛を患う人や慢性腰痛を避けたいと考える人には、さらに理由が増える可能性があります。
喫煙は慢性痛、特に腰痛の発症に関連していることが、最近の研究でわかりました。
この関連性の正確な理由については現在も調査中であり、研究は喫煙が慢性腰痛を引き起こすということを示す手前で止まっています。
しかし、腰痛への影響を見る為に被験者に喫煙を求めるランダム化比較試験を実施するのは倫理的ではないものの、喫煙者と非喫煙者の観察データにより、喫煙と腰痛の関連を十分に裏付けられています。
この証拠は、「かなり確実に喫煙と複数のマイナスの結果を関連付ける」のに十分であると、クリーブランド州にあるクリーブランドクリニックヒルクレスト病院で疼痛処理専門医を務めるクロウフォード・バーネット医師は言います。
研究では、喫煙は骨粗しょう症や腰部椎間板症、その他腰への影響、骨の治癒の伴う問題の増加につながることがわかっています。
また研究では、脊椎損傷やその他腰の問題は短期的な問題で収まる場合がありますが、喫煙者においては、結果的に慢性痛に発展する確率が高い傾向にあることが示されています。
確かにタバコに含まれるニコチンには短期的な痛みの軽減作用があり、これにより既に慢性痛を患う喫煙者の禁煙を難しくしています。
しかし、喫煙は無数の健康問題や肺がん及び心臓病などの命にかかわる疾患リスクの上昇を引き起こす上、ニコチンは腰にも悪い影響を及ぼすようです。
「問題なのは、耐性が非常に早く構築されることです。」とバーネット医師は説明しています。
「同じ効果を得るためにはますます多くのニコチンが必要になり、最終的に効果は全くなくなります。しかしその時点では身体はニコチンを欲するようになります。」
そのため、喫煙者は禁煙によって痛みを一時的に緩和することができても、そのニコチンは同時に真逆の方向に働いているのです。
「ニコチン自体は血管を狭める血管収縮薬であるため、身体の血管に触れると収縮させ、狭まることで供給される酸素量が減ります。」とバーネット医師は言います。
「痛みについては、もし腰痛がある場合、治癒するためにより多くの血流が必要となるところ、それが減るのです。患部の血流は減り、ディスクのようになることで、症状が悪化します。」
スウェーデンの建設作業員331,941人を対象にしたとある研究では、喫煙者は腰部脊椎管狭窄症の手術を行う確率が高いことがわかりました。
脊柱管の狭窄は通常加齢による消耗によって生じますが、喫煙は椎間板変性の増加と関連していました。
また2018年に脊柱ジャーナル(The Spine Journal)で発表されたこの研究では、”用量依存的な”関連も見られ、ヘビースモーカーまたは1日15本以上タバコを吸う喫煙者は、平均的な喫煙者(1日1~14本吸う人)や元喫煙者よりも腰部脊椎管狭窄症の手術が必要となるリスクが高いことがわかりました。
さらに、喫煙は2重の悪影響をもたらします。
なぜなら研究では、治療予後が悪く、手術を受けた患者は神経刺激装置のような植え込み型装置を使って痛覚を遮断、もしくは脊髄手術を受けるリスクが高まることとの関連が示されているからです。
「外科医の多くは、喫煙患者の場合脊髄手術を選択しないだろう」と、バーネット医師は言います。
処置中の感染のような問題リスクの上昇に加え、喫煙は身体の治癒能力も損なうと、彼は言います。
「治癒するには血液中の酸素が必要となるため、酸素量が制限されていると、治癒することができないのです。」とバーネット医師は説明します。」
「傷を治癒し、血を固め、創傷離開を起こさず、骨移植をしたくないと考えるでしょう。患者の治療予後に莫大な影響を与えるのです。」
別の研究では、喫煙は脳や神経レベルd絵経験する痛みに影響することが示されています。
2014年に ヒトの脳マッピングジャーナル(journal Human Brain Mapping)で発表された研究では、喫煙と、いわゆる亜急性疼痛と呼ばれる4~12週間継続する腰痛の慢性痛への変移、脳生理学との関連に焦点が当てられました。
特に脳の側坐核と内側前頭前皮質(mPFC)と呼ばれる領域に焦点が当てられました。
「側坐核とPFCの間で共有された情報によって捕らえられた痛みには、一種の感情的な要素があるようでした。」と、研究当時コロラド大学ボルダー校で心理学と神経科学を専攻する大学院生であり、ノースウェスタン大学にあるフェインバーグ医学学校で研究助手を務めていたこの研究の筆頭著者ボグダン・ペトレ氏は言いました。
「また、研究ちゅうに禁煙した被験者の小集団において、この関連において共有された情報が劇的に減少したこともわかりました。」とペトレ氏は言います。
特定の種類の脳の活動と脳イメージングを通して見ることができる接続は、喫煙が慢性痛リスクに移行するリスクを高めることと関連しているようでした。
「ここでは因果関係を主張することはできませんが、喫煙と依存行動と1年後の痛みの継続に関連していることが知られる電気回路の接続には、何かしらの密接な関連があるようです。」とペトレ氏は言いました。
専門家らは、一般的に言って喫煙がなぜ慢性痛を引き起こすのかを正確に理解するにはさらなる研究が必要であると述べています。
しかし、既に喫煙を止める理由は無数に存在するものの、これは無視するべきではないと臨床医らは述べています。
そしてこれは、持続する腰痛を減らし、予防するための包括的なアプローチの一環として、患者が医療従事者と話し合うべき事柄です。
出典: 2019年5月2日更新 U.S. News 『Could Quitting Smoking Help Relieve Your Back Pain?』(2019年5月27日に利用)
https://health.usnews.com/health-care/patient-advice/articles/smoking-and-chronic-back-pain
喫煙は慢性痛、特に腰痛の発症に関連していることが、最近の研究でわかりました。
この関連性の正確な理由については現在も調査中であり、研究は喫煙が慢性腰痛を引き起こすということを示す手前で止まっています。
しかし、腰痛への影響を見る為に被験者に喫煙を求めるランダム化比較試験を実施するのは倫理的ではないものの、喫煙者と非喫煙者の観察データにより、喫煙と腰痛の関連を十分に裏付けられています。
この証拠は、「かなり確実に喫煙と複数のマイナスの結果を関連付ける」のに十分であると、クリーブランド州にあるクリーブランドクリニックヒルクレスト病院で疼痛処理専門医を務めるクロウフォード・バーネット医師は言います。
研究では、喫煙は骨粗しょう症や腰部椎間板症、その他腰への影響、骨の治癒の伴う問題の増加につながることがわかっています。
また研究では、脊椎損傷やその他腰の問題は短期的な問題で収まる場合がありますが、喫煙者においては、結果的に慢性痛に発展する確率が高い傾向にあることが示されています。
確かにタバコに含まれるニコチンには短期的な痛みの軽減作用があり、これにより既に慢性痛を患う喫煙者の禁煙を難しくしています。
しかし、喫煙は無数の健康問題や肺がん及び心臓病などの命にかかわる疾患リスクの上昇を引き起こす上、ニコチンは腰にも悪い影響を及ぼすようです。
「問題なのは、耐性が非常に早く構築されることです。」とバーネット医師は説明しています。
「同じ効果を得るためにはますます多くのニコチンが必要になり、最終的に効果は全くなくなります。しかしその時点では身体はニコチンを欲するようになります。」
そのため、喫煙者は禁煙によって痛みを一時的に緩和することができても、そのニコチンは同時に真逆の方向に働いているのです。
「ニコチン自体は血管を狭める血管収縮薬であるため、身体の血管に触れると収縮させ、狭まることで供給される酸素量が減ります。」とバーネット医師は言います。
「痛みについては、もし腰痛がある場合、治癒するためにより多くの血流が必要となるところ、それが減るのです。患部の血流は減り、ディスクのようになることで、症状が悪化します。」
スウェーデンの建設作業員331,941人を対象にしたとある研究では、喫煙者は腰部脊椎管狭窄症の手術を行う確率が高いことがわかりました。
脊柱管の狭窄は通常加齢による消耗によって生じますが、喫煙は椎間板変性の増加と関連していました。
また2018年に脊柱ジャーナル(The Spine Journal)で発表されたこの研究では、”用量依存的な”関連も見られ、ヘビースモーカーまたは1日15本以上タバコを吸う喫煙者は、平均的な喫煙者(1日1~14本吸う人)や元喫煙者よりも腰部脊椎管狭窄症の手術が必要となるリスクが高いことがわかりました。
さらに、喫煙は2重の悪影響をもたらします。
なぜなら研究では、治療予後が悪く、手術を受けた患者は神経刺激装置のような植え込み型装置を使って痛覚を遮断、もしくは脊髄手術を受けるリスクが高まることとの関連が示されているからです。
「外科医の多くは、喫煙患者の場合脊髄手術を選択しないだろう」と、バーネット医師は言います。
処置中の感染のような問題リスクの上昇に加え、喫煙は身体の治癒能力も損なうと、彼は言います。
「治癒するには血液中の酸素が必要となるため、酸素量が制限されていると、治癒することができないのです。」とバーネット医師は説明します。」
「傷を治癒し、血を固め、創傷離開を起こさず、骨移植をしたくないと考えるでしょう。患者の治療予後に莫大な影響を与えるのです。」
別の研究では、喫煙は脳や神経レベルd絵経験する痛みに影響することが示されています。
2014年に ヒトの脳マッピングジャーナル(journal Human Brain Mapping)で発表された研究では、喫煙と、いわゆる亜急性疼痛と呼ばれる4~12週間継続する腰痛の慢性痛への変移、脳生理学との関連に焦点が当てられました。
特に脳の側坐核と内側前頭前皮質(mPFC)と呼ばれる領域に焦点が当てられました。
「側坐核とPFCの間で共有された情報によって捕らえられた痛みには、一種の感情的な要素があるようでした。」と、研究当時コロラド大学ボルダー校で心理学と神経科学を専攻する大学院生であり、ノースウェスタン大学にあるフェインバーグ医学学校で研究助手を務めていたこの研究の筆頭著者ボグダン・ペトレ氏は言いました。
「また、研究ちゅうに禁煙した被験者の小集団において、この関連において共有された情報が劇的に減少したこともわかりました。」とペトレ氏は言います。
特定の種類の脳の活動と脳イメージングを通して見ることができる接続は、喫煙が慢性痛リスクに移行するリスクを高めることと関連しているようでした。
「ここでは因果関係を主張することはできませんが、喫煙と依存行動と1年後の痛みの継続に関連していることが知られる電気回路の接続には、何かしらの密接な関連があるようです。」とペトレ氏は言いました。
専門家らは、一般的に言って喫煙がなぜ慢性痛を引き起こすのかを正確に理解するにはさらなる研究が必要であると述べています。
しかし、既に喫煙を止める理由は無数に存在するものの、これは無視するべきではないと臨床医らは述べています。
そしてこれは、持続する腰痛を減らし、予防するための包括的なアプローチの一環として、患者が医療従事者と話し合うべき事柄です。
出典: 2019年5月2日更新 U.S. News 『Could Quitting Smoking Help Relieve Your Back Pain?』(2019年5月27日に利用)
https://health.usnews.com/health-care/patient-advice/articles/smoking-and-chronic-back-pain