米国ではクラミジア、淋病と梅毒の疾患率が常に高い
米国疾病管理予防センターからの新しい報告によると、性感染症の改善に対する進捗状況は逆行しています。
全国的にクラミジア、淋病と梅毒の疾患率が前例のないほど高くなりました。また、一方で先天性梅毒(妊娠中の女性から胎児への感染)の割合も、増加しています。
これら3つの性感染症は2年連続で増加しており、専門家は史上最高の疾患率は特に公衆衛生、特にSTD(性行為感染症)予防における投資が乏しいことを反映していると述べています。
2015年クラミジアの症例は1500万件あり、2014年から6%増加しました。淋病は、39万5000件で2014年から13%増加と最大です。また、2万4000件の梅毒は2014年から19%増加しました。
15歳~24歳の若年齢が、全てのクラミジアの診断例の約3分の2、淋病と診断される患者の約半数を占めています。
ゲイやバイセクシャルの男性が、梅毒の症例の大部分を占めています。
先天性梅毒の場合、流産しやすいだけでなく、新生児に骨の変形をもたらしたり、失明や難聴になる可能性が6%増加しています。こういった状態は大変危険ですが、予防が可能です。
これらの症状のすべてが、一人のパートナーとの性交渉やコンドームの使用といった、安全なセックス対策で予防が可能です。
これらは、一般的に抗生物質での治療が可能ですが、長期的な対策ではないかもしれません。抗生物質耐性の上昇率が、世界中の医師が効果的な治療法を見つけることがより困難だということを意味しています。
CDC(アメリカ疾病予防管理センター)によると、未診断、または未治療の性感染症は、不妊、慢性疼痛およびHIVのリスクの増加につながる可能性があります。
これらの細菌に感染すると、無症状である場合もあり、症状があっても一時的なトラブルで、変な排出物、排尿時に熱傷感や痛みがあるなど、他の病気と誤解される場合があります。
定期的な検診がSTD予防には重要となります。
STD疾患率の上昇は、国の支出の優先順位を反映しているのです。
STD疾患率の増加は、特定の属性グループの中での性的行動の変化に反して
検診や治療を行うクリニックの資金の減少に起因していると、UCLA医学公衆衛生、HIV感染症の専門家であるジェフリー・クラウスナー博士は述べています。
「歴史的に見て、我々は性病の予防と管理に投資してきたときに感染症を多く減少させることができました。」とクラウスナー博士は述べました。
例えば、第二次世界大戦中、性感染症により兵士が戦闘不可能となってしまうため、性病の抑制は国家的優先課題となりました。
この間、医師は梅毒の治療法を発見し、軍はコンドームの配布およびSTD教育を含め主要な公衆衛生キャンペーンに乗り出しました。
2015年の分析によると、一人当たりの公衆衛生支出は2008年以降減少しています。研究者は、インフレ調整後一人当たりの公衆衛生支出は、1960年の39USドルから2008年には281USドルに上昇し、それ以降、支出は9.3%下落したことが分かりました。
CDCはまた、性感染症の高疾患率の主な要因として、州および地方の診療所への予算削減をあげました。
2012年には、州および地方のSTDプログラムの予算は、52%カットされました。これは、STDの検査や治療を受けれる人の数が減ってしまうことを意味します。
同年、21軒の地方のSTD専用クリニックが閉鎖されました。
「STD率が上昇し、性感染症を予防するための国のシステムの多くが侵食されてきました。」と、CDCのHIV / AIDS、ウイルス性肝炎、STD、および結核予防のための国立センターの所長であるジョナサンマーミン博士は声明の中で述べています。
「我々は、サービスを再構築、展開し、再起動しなければなりません。そうしないと、ヒトと経済的な負担が増加していきます。」
(記事元)http://www.huffingtonpost.com/entry/std-rates-in-the-us-rise_us_5807bcf6e4b0b994d4c36002