米国では学校閉鎖により多くの医療従事者が在宅を余儀なくされる
2020年4月6日(Healthday News)- 新型コロナウイルスのパンデミックにより学校が閉鎖したままになっていると、米国の医療従事者の7人に1人は子どもの世話のために仕事を休まなければならないようです。
エール大学とコロラド州立大学の研究チームは、米国国勢調査のデータを使用して、医療従事者での育児の必要性について予測を行いました。
「学校を閉鎖することには、多くの妥協や犠牲が伴い、ヘルスケアシステムに負担をかけるほどの思いがけない育児についての犠牲を引き起こす可能性があります。」
と、エール大学の生物経済学と生態系管理の准教授である研究の共同執筆者のエリ・フェニシェル氏は述べました。
この研究によると、米国の医療従事者の約29%には、3歳から12歳までの子供がいます。
働いていない成人または13歳以上の兄弟が世話をできない世帯では、医療従事者の15%は、学校が閉鎖された場合に子供の世話が必要となります。
彼らが、他に子供の世話を依頼できない場合、彼らが不在となることによりコロナウイルスのパンデミックに対応する米国の医療機関の対応能力に支障が出る可能性があると、『ランセット公衆衛生ジャーナル』誌で4月3日に発表された研究では警告しています。
しかし、著者らは、学校閉鎖により、どれほど新型コロナウイルスによる死亡に影響を及ぼすのかについて正確に予測することは困難であると述べました。
彼らは、これはウイルスの伝染と感染力の推定値が矛盾しているためであり、医療従事者の数が少ないとCOVID-19患者の生存にどのように影響するかを示しています。
「学校を閉鎖して、一般的な距離を保つということは、曲線を曲げて病院の能力を下回るようにし、COVID-19の死亡率を下げることを狙いとしていますが、曲線を曲げるためにどのように距離を取るのかということも、低く抑える必要がある病院の収容能力に影響を与える可能性があります。我々は両方を考慮する必要があります。」
とフェニシェル氏は述べました。
トレードオフ(何かを得て別の何かを失う事)を理解することは、COVID-19に対する公衆衛生の対応を計画するための鍵であると彼は言います。
「感染した患者の生存率が医療従事者の減少に敏感に反応する場合、学校の閉鎖により、COVID-19による死亡が増加する可能性があります。」
とフェニシェル氏は付け加えました。
この分析では、学校の閉鎖は以下の人には特に困難であると予測されています。
● ナース・プラクティショナー, 上級看護士(22%が育児を必要とする)
● 医師助手(21%)
● 診断技術者(19%)
● 医師、外科医(16%)
● ひとり親であり、特別養護老人ホームでの感染管理補佐を行うスタッフ(約13%)
医療従事者の間で育児ニーズが満たされていない可能性が最も高い州には、サウスダコタ、オレゴン、ミズーリです (これらの州では21%の医療従事者が育児を必要とします)。
研究者らは、感染した患者の死亡率が2%から2.4%以上に上昇し、医療従事者の数が15%減少した場合、学校の閉鎖による予防よりも多くの死亡者が出る可能性があると推定しました。
コロラド州の農業および資源経済学の助教授であり共同執筆者であるジュード・ベイハム氏は、次のように述べています。
「米国の医療制度は、特に老人ホームでの感染を制御している医療従事者の間では、学校の閉鎖による労働力不足に偏りがちであるように思われます。」
「これらの潜在的な医療従事者の不足は、学校閉鎖の潜在的な利益とコストを評価する際の優先事項であるはずであり、学校閉鎖計画の一部には、彼等に代わり育児を行う施設などについての取り決めも行う必要があります。」
と彼は付け加えました。
【以下のリンクより引用】
School Closures Will Force Many U.S. Health Care Workers to Stay Home
Health Day