糖尿病患者におけるフェノフィブラートの分子作用と糖尿病性網膜症への臨床効果、およびその他の細小血管エンドポイントに関する最新報告
フェノフィブラート系薬剤は、糖尿病網膜症(DR)やその他糖尿病によって誘発される細小血管合併症の新しい治療として注目されています。これは、近年実施された大規模かつ良設計の二つの臨床試験が 2型糖尿病患者の腎臓および神経学的転帰の減少に加えて、DRの進行およびレーザー介入の必要性の大幅な減少を示したことで世に広まりました。これら二つの試験では、基準値のDR患者において最も進行の減少が見られました。
もともとフェノフィブラートは脂質改善薬と捉えられていましたが、現在では複数のメカニズムによって、糖尿病の細小血管エンドポイントに効果をもたらすことが分かっています。フェノフィブラートは、脂質制御や炎症、血管形成、アポトーシス細胞に対する一連の有益作用を伴って、多様な遺伝子の発現を調節する働きがあります。これらの要因は、根底にある糖尿病の原因にかかわらず、DRの発症において重要であると考えられています。
細胞実験では、糖尿病状態下でのストレスシグナルの減少と併せて、網膜内皮機能および色素上皮細胞の生存率改善を実証しました。さらにフェノフィブラートは、糖尿病および網膜血管新生のマウスモデルにおける網膜転帰を改善しました。これらの前臨床試験の結果を考慮すると、1型糖尿病を含む他の形態の糖尿病におけるフェノフィブラートの有効性を確立するため、さらなる臨床試験が必要とされます。
フェノフィブラートはDR管理において、改善可能なリスク要因のコントロールや定期的な眼科検診に併せての、効果的な補助療法となり得ます。
今後も最新情報の更新に合わせて、臨床診療への取り入れを継続的に改訂すべきです。
PMC Journals, 2013年12月
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3837039/