糖尿病治療薬は、糖尿病でない人の心疾患リスクを軽減する
ダンディー大学の研究によると、一般的に使用されている糖尿病治療薬メトホルミンは、心臓血管疾患を引き起こす、
心筋の肥厚を元に戻すことができます。
ダンディー大学の分子臨床医学部長であるチム・ラング教授が率いる科学者たちは、メトホルミンが非糖尿病患者で心臓病治療として
再利用される可能性があることを発見しました。
本日、『European Heart Journal』誌に発表されたMET-REMODEL試験では、過去60年間、2型糖尿病を安全に治療するために
使用されていたメトホルミンが、前糖尿病および既存の心臓病患者の左室肥大(LVH)を減少させました。
LVHは、心臓の左のポンプ室内の筋肉壁の肥厚であり、心臓発作、脳卒中および心不全の重大な危険因子です。
LVHはしばしば自覚症状がなく、ほとんどの人は心臓発作や脳卒中を経験して初めて自分にその疾患があることを知ります。
以前の大規模研究では、LVH患者は有害な心血管疾患のリスクが高く、
LVHを低下させると死亡率が大幅に低下する可能性があることが示されています。
ラング教授は次のように述べました。
「心血管疾患は世界的に死亡の主な原因です。
メトホルミンが心血管疾患患者に有益な効果をもたらすことができることを以前の研究では示しました。
しかし、臨床試験において、冠動脈疾患がある糖尿病でない人のLVHに対するメトホルミンの効果を確認したのは、これが初めてです。」
「この研究には、最先端のMRI技術を使用して、12ヶ月にわたってメトホルミンまたはプラセボを使用した、冠動脈疾患を有する前糖尿病患者への治療が含まれていました。」
「LVHの主な原因は、高血圧、肥満、インスリン抵抗性であり、これらも冠状動脈疾患の主要な原因であると考えられています。
メトホルミン群ではプラセボ群と比較して、左心室の危険な肥厚が2倍も減少しました。」
「またプラセボ群に変化がなかったことと比較して、メトホルミン群では、血圧、酸化ストレス、体重の減少(平均3.6 kg)が見られました。
この研究からの発見が、より大規模な研究で立証されれば、メトホルミンは世界中の何百万という患者に希望を与えるかもしれません。」
ブリティッシュハート財団(BHF)によって資金が提供されたMET-REMODEL試験は、メトホルミンが臨床試験で有害な肥厚心筋壁を元に戻すことができることを示す、世界初の臨床試験です。
他の健康状態を治療するためにメトホルミンなどの安価ですぐに入手ができる薬を再利用することで、
潜在的に、国民保健サービスは毎年何十億ポンドも節約できるのです。
MET-REMODEL試験の主執筆者であり、主任研究者であるモハプラデープ・モハン博士は、
血圧治療はLVHの標準治療法ですが、LVHは血圧がよく管理されている患者にもありえるため、この治療方法は特に有効ではないと述べました。
これは、新しい治療戦略がこれらの患者には必要であることを浮き彫りにしました。
博士は、次のように述べています。
「これに関連して、我々は血圧薬でない薬剤を必要とし、それがメトホルミンは心筋の壁の肥厚を減らすのに役立つはずだと考える十分な理由となりました。」
「メトホルミンは心血管の健康状態を改善する可能性があり、患者の平均寿命を延ばす可能性があるという我々の考えを研究により強めています。
臨床診療の観点から、この薬物はすでに承認されており、最小限の副作用で十分に忍容性があります。
我々の調査結果がより大きな研究によって裏付けられているならば、LVHを標的とするためのメトホルミンの使用は、新しい治療選択肢となります。
この研究に資金を提供してくれたBHFに感謝し、この研究の参加者全員に非常に感謝しています。」