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経口抗凝固薬がマウスのアルツハイマー病に効果を示す?

心血管の健康とアルツハイマー病などの神経変性疾患との関連性については、十分な確立がされています。
そんな中、新しい研究では、経口抗凝固薬(血栓や脳卒中の予防薬)がアルツハイマー病の治療に役立つ可能性があることがわかりました。

アルツハイマー病の背後にある原因は多様で複雑ですが、科学者により、脳血流障害がこの疾患の一因となるメカニズムの一つであることが判っています。

これは特に、アルツハイマー病と重複することの多い、脳血管性認知症として知られる種類の症状において顕著です。
脳血管性認知症は、血栓形成もしくは血管損傷によって引き起こされます。
認知症例の半数は、脳の神経系への血流を減少させ、細胞死を招く脳血管性認知症によって引き起こされています。

最新の研究に携わる研究者達は、抗凝固剤の血栓予防作用がアルツハイマー病リスクに影響を与える可能性について調べることにしました。


<血管の健康と抗凝固薬>
この研究は、スペインのCentro Nacional de Investigaciones Cardiovasculares(CNIC)で実施され、ダビガトランとして知られる特定の経口抗凝固薬が脳を保護する作用に焦点が当てられました。

ダビガトランの主な作用は、血栓の形成を止めることです。
この薬は一般的に、脚の血栓もしくは肺塞栓症を伴い、肺の血栓形成を引き起こす静脈血栓塞栓症を治療するために処方されます。

またこの薬は、こうした症状の再発リスクを避ける予防手段としても使用されます。
その他、心房細動を患う人の脳卒中や血栓を防ぐ目的でも使われています。
心房細動は、心拍に異常がある場合に発症し、血栓および脳卒中リスクを上昇させます。
通常ダビガトランは錠剤またはカプセルの形で経口服用されます。

研究で研究者らは、マウスにダビガトランを使用した長期的な抗凝固治療を施しました。
そして、この治療がマウスの脳循環に影響を与えるのか、それとも脳内の静脈や動脈内の血流に影響を与えるのかについてを調べました。

1年間の治療後、マウスの脳の血流に記憶喪失や記憶障害は見られませんでした。
ダビガトランは、脳の炎症や血管の損傷、アミロイド・タンパク質プラークといった特定のアルツハイマー病の症状を緩和する作用も示しました。

「アルツハイマー病に対抗するには、この病気に伴う様々なプロセスを標的とした個別の併用療法が必要となります。」と、Centro Nacional de Investigaciones Cardiovasculares(CNIC)の研究者であるマルタ・コルテス・カンテリ博士はプレスリリースの中で述べています。
「脳循環の改善が一つの目標です。この研究は、経口抗凝固薬を用いた治療が凝固傾向にあるアルツハイマー病患者に効果的な治療法となる可能性を示しました。」


<脳と心臓>
心臓の健康状態は、人の脳の健康や認知状態に大きな役割を果たすことはよく知られています。
研究では、運動や地中海食の実施、血圧低下といった特定のライフスタイルの変更が、心臓に良い影響をもたらすだけでなく、認知症リスクを減少することが示されています。

現状、脳血管性認知症やアルツハイマー病を治療する、もしくは治癒する方法は存在しません。
しかし、最新の研究に携わる研究者は、こうした抗凝固薬に関する発見により、この種類の薬剤を別のアルツハイマー病治療薬として使用することに関する更なる関心を高める可能性があると考えています。

彼らはまた、心臓と脳の繋がりを標的とした新しい治療法を推進し続けていきたいと考えています。

「神経変性疾患は、脳血管疾患と非常に密接に関連しています。」と、CNICのジェネラルディレクターであり、本研究の筆頭著者であるバレンティン・フスター博士はプレスリリースで述べました。
「脳と心臓の関連性に関する研究は、今後10年間の研究において大きな課題です。」

この研究の次の目標は、凝固の素因を有するアルツハイマー病患者を診断および特定する方法を見つけることです。
「これは今後数年間の中で重要な研究ラインとなるでしょう。」と、カンテリ氏は述べました。

出典: 2019年10月7日更新 Medical Daily 『Oral Anticoagulants Show Promise in Fighting Alzheimer’s in Mice』(2019年10月9日に利用)
https://www.beingpatient.com/oral-anticoagulants-alzheimers/