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結腸癌の研究:ヨーグルトは前癌状態の細胞の成長を防げるのか?

新しい観察研究において、腸の前癌性細胞(腺腫)の成長のリスクの低下とヨーグルトの消費パターンとの間の関連性が示されています。

米国国立がん研究所(NCI)の推定によると、2019年には米国で結腸直腸癌の新たな症例が145,600件発生することが示されています。

NCIはまた、成人の約4.2%が一生のうちに一度は結腸直腸癌の診断を受けるとも述べています。

結腸直腸癌を発症する危険性には多くの要因がありますが、最も著名なものの1つは不健康な食生活です。
しかしながら、それと同様に、健康的な食事をとることがこの形の癌を予防するのに役立つかもしれません。
結腸直腸癌にならないようにするには、どういった食事内容が最も役立つかということについては不明のままです。
そのため、この研究は、異なる食品と腫瘍または前癌性細胞の増殖リスクとの関連性を調べることから始まりました。

「腺腫」は、通常は良性のまま成長します。しかしながら、これらのいくつかは悪性または有害な腫瘍に成長する可能性があります。
アメリカ・マサチューセッツ州ボストンにあるハーバード大学の研究者らは多くの研究機関と共同で、
男性の腺腫リスクの低下とヨーグルトの高い摂取量との間の関連性を見出しました。

これらの結果はブリティッシュ・ メディカル・ジャーナル(BMJ)の『Gut』に掲載されています。  

ヨーグルトを食べているる男性のリスクは19%低い
「一部の研究者は、早急に結腸直腸腺腫の新たな修正可能な因子を同定必要性を強調しています。
そして、いくつかの研究では、ヨーグルト摂取量を増やすと、腸内微生物叢によって媒介され、それが結腸直腸癌のリスクが低下させる可能性があると報告しています。」
「しかし、ヨーグルト摂取量と[大腸癌]の前駆体との関連性を評価した研究はまだありません。」
と、研究著者らは論文の中で説明しています。 

ヨーグルト摂取と前癌性腸管発育の発症リスクとの関連性を調べるために、研究著者のシャオビン・ゼン博士らは、
男性32,606人および女性55,743人での食事内容と腺腫の形成に関する情報を分析しました。
研究者らは、医療従事者追跡調査および看護師健康調査からのデータ調査しました。

1986年から2012年において、全ての参加者が腸内視鏡検査の受診率が低かったことに同意しました。
この検査では腸の下部の内側に異常な成長があることを検出できます。

また、4年に1回、参加者全員が自分のライフスタイルや食習慣に関する情報を提供しました。これにはヨーグルトの摂取に関する情報が含まれていました。

研究期間を通して、研究者らは男性の間で5,811件の腺腫、そして女性の間では8,116件の腺腫の発生を記録しました。
1週間に2回以上、ヨーグルトを摂取したと報告した男性は、ヨーグルトを全く摂取しなかったと報告した男性と比較して、
腸内で従来の腺腫である前癌性細胞の成長を発症する可能性が19%低いことがわかりました。
さらに、1週間に2回以上ヨーグルトを食べた男性では、腺腫の異常な成長を起こす可能性が26%低く、直腸以外の悪性腫瘍に成長する可能性が高いことがわかりました。

ヨーグルトの摂取と1cm以下の鋸歯状腺腫(前癌病変)の発生との間に関連性は見られませんでした。
しかしながら、研究者らは1cm以上の大きな鋸歯状腺腫を発症するリスクがより低いことへの関連性を報告しています。
ゼン博士らは、ヨーグルトの摂取量と女性の腺腫リスクとの間に関連性は確認できませんでした。  

ヨーグルトには抗炎症効果がある可能性
これは観察研究でしたが、関連性を確立することのみで因果関係については説明できていませんが、研究著者はこのような大規模コホートにおいて、
この関連を見出したという事実は因果関係がある可能性を示していると言います。
しかし、なぜヨーグルトの摂取が腸の異常な成長の防止に役立つのでしょうか。 研究者はいくつかの理論を持っています。
「ヨーグルトで使用されている2つの一般的なプロバイオティクスであるブルガリア菌とサーモフィラス菌を含んだ製品は、
ニトロレダクターゼ、糞便活性化細菌酵素、および可溶性の糞便胆汁酸などの発がん物質のレベルを下げる可能性があります。」  

また、彼らは次のように述べています。
「ヨーグルトの摂取量と結腸対直腸腺腫の間のより強い関連性は、結局、結腸内のpHが低いということが原因である可能性があり、
これは腸内をプロバイオティクスがより住みやすい環境にします。」

彼らはまた、ヨーグルトの消費をより低いレベルの炎症と結びつけています。
「ヨーグルトはまた、結腸粘膜に抗炎症作用を及ぼし、腸バリア機能不全を改善することによって腺腫のリスクを軽減する可能性があります。」

今後、研究チームはヨーグルトの摂取量と癌リスクの低下との関連性の根底にある可能性のあるメカニズムについて、さらなる研究を行う予定です。 

【以下のウェブサイトより引用】 
https://www.medicalnewstoday.com/articles/325516.php