統合失調症の治療に有効な治療薬
統合失調症の治療にはどの抗精神病薬が最も有効で安全なのかというこ
とについて、独Munchen工科大学のStefan Leucht氏らは、ランダム
化比較試験のデータを用いてネットワークメタ解析を行い、15剤の抗精
神病薬を比較した有効性と安全性にて順位を付けた。薬剤の有効性には
差が認められ、また有害事象については様々であった。論文は、
Lancet誌電子版に2013年6月27日に掲載されている。
統合失調症の治療薬の選択肢は多いのだが、比較されていない薬剤は少
なくない。著者らは、第1世代の抗精神病薬2剤と第2世代の13剤につ
いて、それぞれ単剤で統合失調症の治療に用いた場合の有効性と、有害
事象の発生率などを比較して、順位を付けることにした。そのため利用
可能なデータを抽出して統合し、メタ解析を実施した。
統合失調症または関連疾患の急性期の患者を対象として行った。主要転
帰は有効性とし、陽性陰性症状評価尺度を用いることによって、全般的
な症状の変化を比較した。評価を行っていなかった研究については、簡
易精神症状評価尺度の変化について比較した。2次評価指標は治療中止
や、体重増加、錐体外路症状の発現、血中プロラクチン濃度の上昇、
QT延長、有害事象としての鎮静について検討した。
この研究の結果、15剤全てがプラセボに比べて有意な効果を示していた
。今回の研究によって得られた情報では、個々の患者に対する抗精神病
薬の選択に役立ち、診療ガイドラインの改正にも結びつく可能性がある
だろうと著者らは述べた。
(http://www.thelancet.com/journals/lancet/)