肛門癌の増加はHPVのせいなのか
2019年11月20日(HealthDay News)- 過去15年間で肛門癌の発生率は急上昇しており、それは性感染によるヒトパピローマウイルス(HPV)が原因である可能性があると新しい研究が示唆しています。
「私たちにとって非常に衝撃的だったのは、肛門癌の発生率が非常に急速に増加したことです。」
と主任研究者のアシュシュ・デシュムク博士は述べました。
彼は、アメリカ・ヒューストンにあるのUTHealth School of Public Healthの医療サービス研究、管理および政策学部門の助教授です。
全体的に、肛門がんの発生率と死亡率は年間3%近く増加しており、最も急上昇しているがんの1つになっています。
一部のグループは他のグループよりも激しく上昇しています。
肛門がんの症例と病気による死亡は、50代および60代の人々で2倍以上です。
また、1980年代半ば以降に生まれた黒人男性の肛門がん率は、1940年代半ばに生まれた黒人男性と比較して5倍に増加しています。
また、後期ステージの肛門がんの診断は年間7%増加しています。デシュムフ博士はこれは非常に厄介だと述べました。なぜなら、一旦癌が広がると生存率が非常に低いためです。
逆に、肛門癌が早期に発見された場合、5年生存率は70%近いことを彼は指摘しました。
HPVはワクチンで予防できます。理想的には、15歳以前の男の子と女の子にはワクチンを2回、また、16歳~26歳で予防接種を開始する場合は3回投与することです。
ただし、ワクチン接種に適格なアメリカ人の50%はワクチン接種を受けておらず、これにより今後数十年で新たな感染の波が起こり、肛門癌の発生率が増加する可能性があります。
デシュムク博士は、HPVワクチンは性感染症を予防するためのワクチンではなく、癌を予防するためのワクチンと呼ばれるべきだと述べました。
肛門癌は、2009年に女優のファラ・フォーセットがそれにより亡くなっているにも関わらず、ほとんどの人が関心を持っていません。
この病気は、「デスパレートな妻たち」に出演したマーシャ・クロスも診断されています。
肛門がんは消化管の終端に発生します。大腸がんや直腸がんとは異なります。その場所と、それらのがんとは異なる細胞が関与しているためです。
この研究では、デシュムク博士と彼の同僚は、がん登録簿を使用して、肛門がんの約69,000件の症例と2001年から2016年までの12,000人以上の死亡に関するデータを収集しました。
この調査結果は、National Cancer Institute誌で11月19日に掲載されました。
アルン・スワミナス博士は、ニューヨーク市のレノックスヒル病院の炎症性腸疾患プログラムのディレクターです。
彼は、肛門癌の発生率が増加していることは明らかだと述べました。
肛門癌のリスクが最も高いのは、同性愛者および両性愛者の男性だけでなく、喫煙者、肥満の人々、HPVに感染した女性も含まれるとスワミナス博士は述べました。
デシュムク博士は、肛門がんのリスクが高い人、特にゲイやバイセクシュアルの男性は定期的に検査を受けるべきだと助言しています。
スワミナス博士は「肛門癌の90%がHPVによるものであることを考慮しそしてそれのワクチンがあるということは希望の光だ」と付け加えました。
ほとんどのアメリカ人が予防接種を受けていれば、肛門癌の新しい症例の大部分を阻止できる可能性が高いと彼は言います。
「ワクチンが利用できるようになってから10年しか経っていないので、新しい癌症例の曲線が下方に曲がるまでには時間がかかるでしょう。」とスワミナス博士は説明しました。
【以下のリンクより引用】
HPV Blamed for Rising Rates of Anal Cancer
HealthDay