肥満の若年成人が減量することで、死亡リスクを半減できる可能性がある
ある研究では、成人初期や中年期に、体重を肥満を示す値から過体重を示す値まで減量できた人は、その後の死亡リスクが半減することがわかりました。
世界保健機関(WHO)は、世界の肥満の有病率は、1975年以来ほぼ3倍になったと推定しています。
2016年には、6億5,000万人以上の成人が肥満でした。
米国疾病予防管理センター(CDC)によれば、米国では、1999年から2018年の間に、成人の肥満の有病率が人口の30.5%から42.4%に増加したといいます。
肥満は、心臓病、脳卒中、2型糖尿病、一部の種類の癌リスクの増加と関連しており、予防可能な早期死亡の主な要因のひとつとなっています。
しかし、体重の他、年齢や喫煙の有無、食事、運動などの要因との複雑な相互作用のため、肥満が原因となっている可能性のある死亡数の推定値は、大きく異なります。
さらに、科学者たちは、若い成人期に太りすぎていることで、その後体重を減らしても元に戻すことのできない有害な有害な生理学的変化を引き起こすかどうかについて、まだ確信を持てていません。
マサチューセッツ州のボストン大学公衆衛生学校の研究者が率いる研究チームは、成人期の初期に肥満になり、その後減量することで、晩年の死亡リスクを低下できるかどうかを調べようとしました。
同科学者らは最近、調査結果をJAMA Network Openジャーナルにて発表しています。
<健康な体重>
医師は多くの場合、ボディマス指数(BMI)と呼ばれる測定値を使用して、人が健康な体重であるかどうかを判断します。
これを計算するために、医師は人の体重(キログラム)を身長(メートル)の2乗で割ります。
専門家は健康なBMIを18.5〜24.9と定義し、過体重を25.0〜29.9、肥満を30以上としています。
分析を実施した研究者は、全米健康栄養調査(NHANES)に参加した米国人24,205人のデータを分析しました。
調査の一部として、科学者は40~74歳の参加者の体重を記録しました。
また研究者は、中年期の参加者の10年前の体重、および25歳時点(この調査で成人期初期と定義された年齢)での体重を確認しました。
研究を実施したチームは、成人期初期から中年期までのBMIの変化と、NHANESの追跡期間中に測定された死亡率への影響を調べました。
次に、性別、過去および現在の喫煙、教育レベルなど、死亡リスクに影響を与える他の要因を考慮に入れました。
10.7年の平均追跡期間中、参加者の5,846人が死亡しました。
同チームは、若年成人期に肥満を示していたBMIが、中年期までに過体重を示す値に変化すると、同期間にBMIが引き続き肥満の値を示していた例と比較して、死亡率が54%低下したことを見出しました。
また、若年期と中年期の間に肥満から過体重に移行した人々の死亡リスクは、同期間を通して過体重であった人のリスクと同等でした。
これらの結果は、肥満の有害な影響を元に戻すことができることを示唆しています。
<早期死亡の予防>
科学者たちは、肥満を示すBMI値の人が中年までに過体重の範囲内に入るまでBMI値を低下させた場合、研究でみられたすべての早期死亡の3.2%を防ぐことができたと推定しています。
さらに、過体重または肥満を示すBMI値の人が中年までに健康な範囲までBMI値を減らした場合、すべての早期死亡の12.4%は回避できたと計算されています。
「この結果では、特に若い年齢で、肥満の一次予防および二次予防を行うことによって、人々の健康を改善する重要な機会が示されました。」と、上級研究著者のアンドリュー・ストークス教授は述べています。
別の研究著者である、ボストンにあるブリガム・アンド。ウィメンズ病院の予防医学部長であるジョアン・マンソン博士は、肥満とさまざまな慢性疾患の関連性について言及しています。
「この研究は早期死亡の防止に焦点を当てていましたが、健康な体重を維持することで、高血圧、糖尿病、心臓病、さらには癌などの多くの慢性疾患の負担も軽減されます」と彼女は言います。
しかし、太りすぎや肥満が原因で発生する公衆衛生上の課題を踏まえると、研究では、参加者が減量に成功することは稀であることがわかりました。
25歳時点でBMIが過体重の範囲にある人のわずか1.3%がNHANESインタビューの10年前にBMI値が健康な値であったのに対し、肥満から過体重になったのは0.8%、肥満から健康なBMIになったのはわずか0.2%でした。
また、成人期の初めに体重が減ることは死亡リスクの大幅な低下に関連していたものの、人生の後半に体重が減った人には同様のことは当てはまりませんでした。
これは、晩年の体重減少が、ライフスタイルをより健康なものに変えたためではなく、健康の悪化に起因する可能性があるためであると、著者らは考えています。
科学者らは、次のように記述しています。
「この食い違いは、人生の初期と後期における減量の性質が異なることを反映している可能性があります。高齢期での体重減少は意図的ではないことが多く、基礎的な健康状態や年齢に関連した筋肉量の減少に関連する一方で、人生の早い段階での体重減少は脂肪量の変化によるものである傾向があり、慢性疾患の発症による影響である可能性が低くなります。」
<過体重や肥満のリスク>
若年期に健康、または過体重を示すBMI値であった人が、中年期に肥満範囲のBMI値へ移行すると、BMI値が健康的な範囲にとどまっていた場合と比較して、前者32%、後者は47%の死亡リスク増加と関連していました。
ただし、研究者たちは、健康的なBMI値から過体重を示すBMI値に移行しても、健康的な体重を維持した場合と比較して、死亡リスクに大きな変化は見られなかったと報告しています。
これは他の研究と一致しており、過体重の範囲にあることで必ずしも寿命が短くなるわけではないことが示唆されていますが、これについては議論の余地があります。
科学者たちは自身の研究報告をまとめ、研究にはいくつかの制限があったと説明しています。
成人初期と中年期の間の体重変化を評価するため、科学者は参加者の10〜25年前の体重の記憶に頼っていました。
さらに、チームは成人初期の身体活動や食事を考慮に入れることができませんでした。
最後に、科学者らは、減量できた参加者の割合は少なかったことも、推定の精度に影響していると述べています。
出典 2020年8月25日更新 Medical News Today『Weight loss in young adults with obesity may halve mortality risk』(2020年8月26日に利用)
https://www.medicalnewstoday.com/articles/weight-loss-in-young-adults-with-obesity-may-halve-mortali...
世界保健機関(WHO)は、世界の肥満の有病率は、1975年以来ほぼ3倍になったと推定しています。
2016年には、6億5,000万人以上の成人が肥満でした。
米国疾病予防管理センター(CDC)によれば、米国では、1999年から2018年の間に、成人の肥満の有病率が人口の30.5%から42.4%に増加したといいます。
肥満は、心臓病、脳卒中、2型糖尿病、一部の種類の癌リスクの増加と関連しており、予防可能な早期死亡の主な要因のひとつとなっています。
しかし、体重の他、年齢や喫煙の有無、食事、運動などの要因との複雑な相互作用のため、肥満が原因となっている可能性のある死亡数の推定値は、大きく異なります。
さらに、科学者たちは、若い成人期に太りすぎていることで、その後体重を減らしても元に戻すことのできない有害な有害な生理学的変化を引き起こすかどうかについて、まだ確信を持てていません。
マサチューセッツ州のボストン大学公衆衛生学校の研究者が率いる研究チームは、成人期の初期に肥満になり、その後減量することで、晩年の死亡リスクを低下できるかどうかを調べようとしました。
同科学者らは最近、調査結果をJAMA Network Openジャーナルにて発表しています。
<健康な体重>
医師は多くの場合、ボディマス指数(BMI)と呼ばれる測定値を使用して、人が健康な体重であるかどうかを判断します。
これを計算するために、医師は人の体重(キログラム)を身長(メートル)の2乗で割ります。
専門家は健康なBMIを18.5〜24.9と定義し、過体重を25.0〜29.9、肥満を30以上としています。
分析を実施した研究者は、全米健康栄養調査(NHANES)に参加した米国人24,205人のデータを分析しました。
調査の一部として、科学者は40~74歳の参加者の体重を記録しました。
また研究者は、中年期の参加者の10年前の体重、および25歳時点(この調査で成人期初期と定義された年齢)での体重を確認しました。
研究を実施したチームは、成人期初期から中年期までのBMIの変化と、NHANESの追跡期間中に測定された死亡率への影響を調べました。
次に、性別、過去および現在の喫煙、教育レベルなど、死亡リスクに影響を与える他の要因を考慮に入れました。
10.7年の平均追跡期間中、参加者の5,846人が死亡しました。
同チームは、若年成人期に肥満を示していたBMIが、中年期までに過体重を示す値に変化すると、同期間にBMIが引き続き肥満の値を示していた例と比較して、死亡率が54%低下したことを見出しました。
また、若年期と中年期の間に肥満から過体重に移行した人々の死亡リスクは、同期間を通して過体重であった人のリスクと同等でした。
これらの結果は、肥満の有害な影響を元に戻すことができることを示唆しています。
<早期死亡の予防>
科学者たちは、肥満を示すBMI値の人が中年までに過体重の範囲内に入るまでBMI値を低下させた場合、研究でみられたすべての早期死亡の3.2%を防ぐことができたと推定しています。
さらに、過体重または肥満を示すBMI値の人が中年までに健康な範囲までBMI値を減らした場合、すべての早期死亡の12.4%は回避できたと計算されています。
「この結果では、特に若い年齢で、肥満の一次予防および二次予防を行うことによって、人々の健康を改善する重要な機会が示されました。」と、上級研究著者のアンドリュー・ストークス教授は述べています。
別の研究著者である、ボストンにあるブリガム・アンド。ウィメンズ病院の予防医学部長であるジョアン・マンソン博士は、肥満とさまざまな慢性疾患の関連性について言及しています。
「この研究は早期死亡の防止に焦点を当てていましたが、健康な体重を維持することで、高血圧、糖尿病、心臓病、さらには癌などの多くの慢性疾患の負担も軽減されます」と彼女は言います。
しかし、太りすぎや肥満が原因で発生する公衆衛生上の課題を踏まえると、研究では、参加者が減量に成功することは稀であることがわかりました。
25歳時点でBMIが過体重の範囲にある人のわずか1.3%がNHANESインタビューの10年前にBMI値が健康な値であったのに対し、肥満から過体重になったのは0.8%、肥満から健康なBMIになったのはわずか0.2%でした。
また、成人期の初めに体重が減ることは死亡リスクの大幅な低下に関連していたものの、人生の後半に体重が減った人には同様のことは当てはまりませんでした。
これは、晩年の体重減少が、ライフスタイルをより健康なものに変えたためではなく、健康の悪化に起因する可能性があるためであると、著者らは考えています。
科学者らは、次のように記述しています。
「この食い違いは、人生の初期と後期における減量の性質が異なることを反映している可能性があります。高齢期での体重減少は意図的ではないことが多く、基礎的な健康状態や年齢に関連した筋肉量の減少に関連する一方で、人生の早い段階での体重減少は脂肪量の変化によるものである傾向があり、慢性疾患の発症による影響である可能性が低くなります。」
<過体重や肥満のリスク>
若年期に健康、または過体重を示すBMI値であった人が、中年期に肥満範囲のBMI値へ移行すると、BMI値が健康的な範囲にとどまっていた場合と比較して、前者32%、後者は47%の死亡リスク増加と関連していました。
ただし、研究者たちは、健康的なBMI値から過体重を示すBMI値に移行しても、健康的な体重を維持した場合と比較して、死亡リスクに大きな変化は見られなかったと報告しています。
これは他の研究と一致しており、過体重の範囲にあることで必ずしも寿命が短くなるわけではないことが示唆されていますが、これについては議論の余地があります。
科学者たちは自身の研究報告をまとめ、研究にはいくつかの制限があったと説明しています。
成人初期と中年期の間の体重変化を評価するため、科学者は参加者の10〜25年前の体重の記憶に頼っていました。
さらに、チームは成人初期の身体活動や食事を考慮に入れることができませんでした。
最後に、科学者らは、減量できた参加者の割合は少なかったことも、推定の精度に影響していると述べています。
出典 2020年8月25日更新 Medical News Today『Weight loss in young adults with obesity may halve mortality risk』(2020年8月26日に利用)
https://www.medicalnewstoday.com/articles/weight-loss-in-young-adults-with-obesity-may-halve-mortali...